INTERVIEW

045新しい笑い、新しい体験「scherzo」

2007.07.19


Photograph by Asami Hosino 

新しい笑い、新しい体験
関東ノリでも、関西ノリでもない新しい笑いだね」と、京都のクラブ「メトロ」公演にて感想があったという、札幌在住の加賀城匡貴による映像を中心としてステージ「スケルツォ」。

    2月1日(土)からの今回で4回目の公演は、札幌、京都、東京でおこなわれる。公演直前の彼に話しを聞いてみた。
*本取材記事はニュメロデューが発行している札幌市内を中心に配布しているフリーペーパー、「マグネット」よりの転載です。便宜のためアップしました。
Shnichi Ishikawa NUMERO DEUX

NUMERO DEUX SPECIAL 045 scherzo
Interview Masaki Kagajo(scherzo) / 取材日時:2003.01.11(sat) 11:00-12:00
取材協力:Ouchi / Interview by NUMERO DEUX
NUMERO DEUX Copyright.

加賀城匡貴(スケルツォ) インタビュー

    「高校を卒業をしたぐらいから「お笑い」をしたいなぁ、というのは漠然とあったのですよ。」

—– 表現のアイディアはどこから生まれてきますか?

    仕事をしていたり、散歩をしていたりすると、突然思いつくんですよ。そうしたらすぐメモしますね。例えば「砂防ダム」という言葉が思い浮かんで、なんか良い響きだなぁ、と思ってメモします。その段階でなにか具体的な表現が思いつく訳ではありませんが、後々、スケルツォのアイディアがそのメモを見て思い浮かぶことはありますね。日々思い浮かぶ単語から、発想が生まれるんです。

—–表現の活動を始めるキッカケを教えてください?

    人と同じなのが嫌な性格かもしれません。高校を卒業をしたぐらいから「お笑い」をしたいなぁ、というのは漠然とあったのですよ。そして、大学入試に失敗して、その時に親が「大学とは違う4年間もあるんだぞ。それを探してやってみろ」と言ってくれたんです。そこで自分の価値観の変換があって、大学に行かなくても自分の興味のあるコトを追求する4年間もあるんじゃないか、と思ったんです。「お笑い芸人」以外の方法で、自分独自の「笑い」の表現方法を探すためにテレビ、ラジオの仕事を制作スタッフとしてやってみました。そして自分でやりたい表現が映画だと感じてイギリスの映画学校に行ってみることにしたのです。

—–映像を作ることについて馴染みはあったんですか?

    もともと親類からもらったヴィデオカメラを使って友達と遊んでことがあって、それが「笑い」を映像にパフォーマンスを加えた表現をやりたいな、という現在のアイディアに結びついたかもしれません。高校卒業を記念して友達とママチャリで親類の旭川まで行ったんですよ。その様子をロードムービーふうに撮った映像が、はじめての本格的な映像作品ですね。そしてそれをコンクールに応募して、「大林宣彦のふるさとビデオ大賞(97年)」を受賞したんですよ。その時、大林監督が「この人は撮りたいことがあってカメラがある訳ではなくて、楽しい出来事の間にたまたまカメラがあったんだ」と言ってくれて、それは今でも心に残っています。それは本当に僕の気持ちで、だから映像作家を意識したことはないんですよ。

「ステージには、DJとナレーターがいて、映像に言葉をつけていく、という形ですね。」

——イギリスの学校はどうでしたか?

    イギリスの学校では、コースがあって、語学の心配はあったんですけど、僕は監督希望で学びました。映画の歴史を学ぶ授業と、プロの人のセミナー、グループで実際の映画製作をおこなう授業がありました。その時僕は凄く視野が狭くて、他人影響されたくなくて、歴史を学んだり、確立された技法を学んだりするのは嫌だったんですよ。ところが、実際授業は歴史、技術が中心で、まわりの学生も「あの映画、あのシーンの撮りかたを学ぶ」という感じで、その時は違和感を感じてしまって、一年で中退してしまいました。

—–「スケルツォ」を初めておこなった時のことを教えてください?

    やったキッカケというのは、あるバンドのライブに行ったんですよね。そこで思ったのはなんで、みんなライブの時、右にギターがいて、真ん中がヴォーカル、ベースが左、ドラムが後ろなんだろう。なんで、決まりきった形でやるのか。少しでも変えてみたら、おもしろくなるのに、という気持ちが盛り上がってきて、よし、一度自分のやりたい表現をやってみよう!と思ってやったのが第一回目のスケルツォなんです。

    映像+ライブパフォーマンスというスタイルは最初から確立されていました。ステージには、DJとナレーターがいて、映像に言葉をつけていく、という形ですね。具体的な例としては、ステージに電話を置いて、映像はテレビ電話のカクカクした映像で、やりとりをしながら、映像は外に飛び出して、話し相手がどんどん遠くの町へ行く、というのをやったりしましたね

—–時計台ホールでおこなったのは理由があるのですか?

    場所選びとというのは重要だと思っていて、この劇場でやるイベントはこんなジャンルとか、先入観のイメージのつかないところでやりたかったのです。そういう意味で時計台ホールを選んでみました。初イベントながら席はいっぱいにすることができました。友人、知人ばかりでしたけどね。

     

     

    「メトロ」で公演をおこなうことによって、札幌という地元でやっていくヒントがみつけたい思ったのです。

—–スタッフは何人ぐらいで、どのような人たちですか?

    スタッフは10人ぐらいです。常に僕のそばにいた人たちで、昔からつき合いがあるので、「スケルツォ」を初めてやるときも、安心できる部分もありました。彼ら、決して映像に詳しい訳ではないですし、イベントをやることについては素人です。でも、彼らとの作業がやりやすいのは、僕の指示することについて、その意味とかを説明しなくても、やってくれるんですよ。結果や意味について、できあがりまで待ってくれます。完成して、意味が「わかった」という人もいるし「わからない」という反応もありますね。

    その人たちをふくめて「スケルツォ一座」という訳ではないんです。「スケルツォ」は僕の作品であり、ブランド名です。服で例えるなら、僕は「スケルツォ」のデザイナーで、スタッフは素材、モデルという感じですね。自分個人のプロジェクトで、スタッフも流動的ですが、相互関係の中で面白いものが出来上がります。一緒にやるスタッフはとても重要です。

——「スケルツォ」は前回から道外でもおこなっていますが、東京ではやらないで京都でやっていますよね。その理由を教えてください?

    全国でやりたいですが、東京でやりたい!という気持ちはそんなに強くはないんですよ。それ以外の地方都市でやることのほうが興味がありますね。僕は東京って特殊な感じがするんですよ。違う国でやるような感じがします。今回は東京でもおこないますが、それほどそこでやる気負いのようなものはないですね。

    それより京都のほうが興味があります。会場の「メトロ」はイギリスの学校で知り合った人に教えてもらったんですが、京都のクリエイターの人って東京に出たがらなくて、地元でやっていくという意識が強いらしいんですよ 地元に独自のカルチャーシーンを作ろうという意識が強くてその中心にあるのが「メトロ」なんですよね。

    ここは基本的にクラブなんですが、ステージなどもおこなえるスペースです。メトロでやりたかったのは、僕は札幌に住んでずっとやっていきたい、という気持ちがあって、そのために地元京都のカルチャーに愛着をもって重要な場所となっている「メトロ」で公演をおこなうことによって、札幌という地元でやっていくヒントがみつけたい思ったのです。

    だから、東京よりも地元にこだわっている京都でやりたかった。 実際、知人のほとんどいない場所でのイベントというのは、動員の部分で心配でしたが、予想以上のお客さんに集まってもらえました。見知らぬ 表現への関心の高さを感じましたね。。そして、「関東ノリでも、関西ノリでもない新しい笑いだね」という感想をいたいたのが印象に残っています。でも、北海道ノリとも異なる、僕個人としての「笑い」の表現ができたと感じました。

—–今回のスケルツォのスタイルを教えてください?

    今回は従来のスタイルを基本にしながらも、僕のイラストなどの「静止画」を中心にします。動かない「絵」にサウンドやナレーションをつけることによって、どれだけ世界を広げていけるのか、というのにトライしてみようと思います。

—-では、最後に読者にメッセージをおねがいします。

    僕は高校卒業して4年間で自分にとっての「笑い」の意味が変わったんです。それまでは、単に笑えるものが好きだったですが、今は物事をちよっと視点を変えることによって、生まれてくる心の動きというのも「笑い」になるんじゃないかな、と思ったのです。「お笑い芸人」の笑いとは異なる「笑い」を知ったと思います。そして、僕が今、その「笑い」と感じるものを表現しているのが「スケルツォ」なんです。来ていただいたお客さんにそのあたりを感じでいただければ嬉しいですね。

「スケルツォ」公演スケジュール

札幌 アーバンホール(中央区南3西4アーバン札幌ビル Tel.011-221-2537)
2003年2月1日(土)開演/20時30分
2003年2月2日(日)1回目開演/15時30分 2回目開演/18時30分

京都 京都クラブメトロ(京阪丸太町駅2番出口途中 Tel.075-752-4765)
2003年2月8日(土)開演/18時30分

東京 東京国際フォーラム映像ホール(丸の内三丁目5-1Dブロック Tel.03-5221-9000)
2003年2月10日(月)1回目開演/17時30分 2回目開演/20時30分

東京 日仏会館ホール(渋谷区恵比寿3-9-25(恵比寿ガーデンプレイスそば) Tel.03-5424-1141)
2003年2月11日(火)1回目開演/15時30分 2回目開演/18時30分
※開場は30分前です。

全席自由 2,000円(チケットぴあ・ローソンチケットで販売)
スケルツォ ウェブサイト http://www.scherzosketch.com/

         

         

               

     


ARTICLE

CATEGORY

LATEST ENTRIES

ARCHIVES

CLASSIC CONTENTS

website design by shie sato

SAPPORO ART & DESIGN MAGAZINE NUMERO DEUX 札幌 アート&デザインマガジン ニュメロデュー

copyright @ NUMERO DEUX allrights reserved.
top