INTERVIEW

047:MUSIC – REPLICANT / RobaRappa / Caponica

2007.07.21


Photograph by Asami Hosino 

"Spring Sounds"
多様な「春」の解釈、そして深みのある3つのサウンド・アーティストの紹介。

 リアル感覚では春とは「始まり」と「終わり」が存在する混沌とした時期。「5月病」という無気力症状のもとも春にある。実にネガティブなイメージだけど、「Spring」という語感は好きだし、明るいポップなイメージは楽しくて、それにすがりたいこともある。そういう絵本は大好きだ!春はとっても嫌なアンバランスを感じさせながら、そのさわやかなイメージに憧れて、「好きになりたい!」と永遠に想う不思議な季節ではないだろうか。 

多様な「春」の感覚について、理解をしてくれそうな深みのあるサウンドを作り、かつ「ポップ」さを忘れない本ペーパーマグネットがおすすめする札幌市内で活躍する3組のサウンド・アーティストを紹介しよう。
特定のジャンル・イメージでとらわれがちな札幌のインディシーンにとって、これらのポップでナイーブな感覚を持つアーティストの存在をぜひチエックして欲しい。
                                                

Shnichi Ishikawa NUMERO DEUX

 

Photography place
今回のインタビューの撮影場所としてして協力していただいたカフェ「riva」(写 真)便利な場所にあって、営業時間も長く、居心地のよい素敵なカフェ。打ち合わせにも、楽しいおしゃべりにも最適。アルコールもあります。

cafe&lounge riva 12:00-24:00 札幌市中央区南1条西2丁目サンエス2番街ビル7階 tel 222-3001

NUMERO DEUX SPECIAL 047 Spring Sounds
Interview with REPLICANT / RobaRappa / Caponica
取材日時:2003.03.23(sun) /03.25(tue)
取材協力:riva
Interview by NUMERO DEUX
NUMERO DEUX Copyright. *本取材記事はニュメロデューが発行している札幌市内を中心に配布しているフリーペーパー、「マグネット」よりの転載です。便宜のためアップしています。


Photograph by Asami Hosino 

—–今回の特集は「Spring Sounds」というタイトルで 3組のポップなバンドを紹介するのですが、「春」についての印象(または季節について)を教えてくれませんか?

Yamasaki Sanae(Vo./Synth./Piano/etc.)(以下Y):新しい事の訪れを感じさせたり、社会的なイメージのする春は少し苦手かもしれません。天気が良かったりするのは好きなんですが、気分としてはあんまり(笑)。季節の中では秋が好きです。

Sasaki Hideyuki(E.guitar/Bass/Vo./etc.)(以下S):四季の中では冬が一番好きです。空気がシャキっとしてて、おいしい気がします。寒いのは嫌いなんだけど、冷たさにやさしさを感じます。春はあまり好きではないかもしれません。イメージとしては出会いの多い季節ですけど、逆 に「個」を意識しますね。

—–音楽をはじめるキッカケを教えてください?

Y:音楽をはじめたのは5年くらい前に、友達に誘われたのがきっかけです。高校生だったので、かなり適当な感じでした。当時はパステルズとか、アズテックカメラとかを聴いたり、変な音楽とかニューウェイブも好きだったので、めちゃくちゃでしたね。

S:僕は高3の時、サッカー部も引退したし受験勉強の息抜きにでもと思いギターを買ったのですが、うまく弾けずほったらかしてましたね。大学に行って音楽サークルに入部し、それから徐々に始めたという感じです。

Y:おたがい同じ大学の音楽サークルだったのですが…その時は特にふたりでバンドはやっていませんでした。

—–作曲・作詞のアイディアはどのようにして生まれてきますか?

Y:私の場合、あるメロディーとイメージが浮かんでくるような感じで、だいたい歌詞のイメージもその時にできてきます。映像だとか、音の質感も頭の中に浮かんできて。形にしていくと最初のイメージと少し変わってきたりもするんですが…。 曲ができるってこと自体は私にとってはとても日常的なことで、いつもメロディーが 頭の中で流れてる感じです。歌詞はイメージを言葉にしてゆく、といった感じなので わりとすんなり出来ます。詞は抽象的な場合が多いかも。

S:僕の場合は曲が先で、後から歌詞をつけることが多いですね。歌詞は何か月もかかってしまうこともあります。山崎さんが曲を作った場合、担当する楽器のアレンジに関してはほぼ任せてもらっています。彼女のイメージどおりにやるのではなく、イメージを崩す感じですかね。イメージどおりにやるのであれば、僕よりも演奏能力のある人とやったほうがベストだと思うし。 アルバムを作るときは、あらかじめコンセプトを持って作るのではなく、 一曲一曲作っていってます。それをアルバムとしてまとめた時、自然とつながっている感じが僕はいいなと思います。

—–音楽以外の楽しみを教えてくれませんか?

Y:本を読んだり、絵を描くのも好きです。漫画も。ボリス・ヴィアンとか大島弓子とかが好きですね。サッカーも、周りの影響で見たりします。セルタってチームのユニホームも持ってたりします。

S:僕は、音楽以外となると、あまりないですね。寝るのが好きです(笑)。

—–今回のCDをリリースするいきさつを教えてください?

Y:2000年に参加した、東京のクローバーレコードというレーベルのコンピレーショ ンCDがアメリカのレーベルRadio Khartoumの手に渡って。その中の1曲を気に入ってくれた、アメリカのレーベル、Radio Khartoumのアレクサンダーからコンタクトがあって、CDをリリースすることになったんです。

最初はミニアルバムで、ということだったんですが、ミニアルバム用にまとめた音源を渡したら「フルアルバムでいこう」といった提案がレーベル側からあって。フルアルバム用に作りなおしたりしてるうちに、どんどん時間がたって……(笑)。

アメリカのレーベルなのでやりとりは全てメールで。音源は郵送で、って感じです。アレクサンダーはとてもマメな人で……曲や詞に関しては色々なやりとりをしましたね。タイトルなどの言葉使いにも非常にこだわりがあって、そこで結構衝突のようなものもありました(笑)。

やっぱり相手も「レーベル」っていう形であれ、モノを作っている人なので、イメージしているものもそれなりにあるようだったし。でも、なんだかんだ言って私たちの意見はずいぶん聞いてもらってるし、ちゃんと形にすることができて……感謝してます。

CDはマスタリングとミキシングは800cherriesのタカハシさんにやってもらいました。タカハシさんにはライブにも参加してもらってます。ジャケットは、レーベルのほうでデザインしてもらいました。

S:ライブはベースとドラムのサポートが入り、4人編成のバンドスタイルでやっています。録音は打ち込みですが、ライブに関してはやっぱり生ドラムが好きですね。1年間この4人のメンバーでやってきたので、CDリリースにあわせて行った1月のライブが終わったときは感慨深かったです。

—–最後に今後ご予定を教えてください?

S:1年以上録音していないので、新曲を作っていきたいですね。僕は別 のバンドもやっていて、山崎さんもソロ活動をすると思いますが、今までどおりレプリカントとしていい曲を作っていきたいです。

 

CD REPLICANT / "Kuuki No Soko" Label:US RadioKhartoum RKH-302 Release Date: 2002.11.22 Now On Sale: wierd-meddle records(南2西1),mirco tiger(南2西6) http://www.ismusic.ne.jp/repl/

 


Photograph by Asami Hosino 

—–今回の特集は「Spring Sounds」というタイトルで 3組のポップなバンドを紹介するのですが、「春」についての印象(または季節について)を教えてくれませんか?

Fuse Koichi(Guitar & Programming)(以下F):僕は季節は秋が一番好きで、もしかしたら、春というのは一番苦手かもしれない。期待もあるけど、不安もともなう、なんか恥ずかしい気分になりますね。広い意味で雪が溶けていろいろ出てくるという感じがします。あと、仕事柄僕は冬は音楽活動に集中できるのですが、春になるとまた働かなくてはいけないので、それでブルーな気分になりますね。

Ogawa Tsuyoshi(Bass)(以下O):春は好きですね。暑いのと寒いの嫌いだし。秋は暗い(笑)から嫌だなぁ。でも、いつでもいい気もします。家にいるし(笑)。

Nomura Sachiyo(Vo.)(以下N):夏が一番好きですね。春というと新学期、転職の季節というイメージがあります。

—–ロバラッパをはじめるキッカケを教えてください

F:インターネットで音楽活動をしたい人の募集掲示板があって、一昨年の9月にNomuraさんがヴォーカル希望という告知をしていて、それで連絡をとったら、おたがいやりたい事が近かったので一緒にやることになりました。翌年の7月にOgawaさんの加入で最高のメンバーが揃ったと思います。

N:私はバンド活動は皆無でしたが、仕事以外で歳をとっても続けられる趣味がほしいと思っていました。好きな音楽のジャンルが共通 していて、センスの良さそうな人がいいな、と思っていたら布施さんに出会えたのです!

O:僕もネットで募集を見て連絡をとりました。加入した理由はFuse君の音楽が気に入ったのは間違いないんだけど、それに加えて全然面 識のない人とやってみたかった。札幌は狭いから、いつも知り合い同士で組んで活動するパターンが多いけど、そこから離れたかった。

—–作曲・作詞のアイディアはどのようにして生まれてきますか?

F:最初のデモを作る時は僕が作ります。詩に関してはNomuraさんが担当しています。作曲は普段の生活の中でのちょっとした出来事で心を動かされる瞬間にインスピレーションを受けて、その感情をサウンドにしたいですね。形式とらわれずピュアを表現したい。同時に聴き手と気持ちを共有できる楽しいものにできればいいな、と思ってます。

N:歌詞は尺にあわせないといけないので言葉が限られるしネイティブではないので変な英語に聴こえないように気をつけています。詞の内容は恋愛がテーマの曲って皆歌ってるんで、違うテーマをどんどん取り上げたいですね。世の中恋愛で悩んでいる人ばかりじゃないと思うのです。

—–音楽以外の楽しみを教えてくれませんか?

F:車の運転かな。知らない街を走るのは好きですね。 Ogawa:映画、サッカー(セリエ、プレミア)そして海外旅行には年1回を目標に行ってますね。

N:読書と料理と服作りです。原書を読んだり、料理はフォッカッチャやナンを作ります。

5.今回のCDをリリースするいきさつを教えてください?

F:CDを出すことは皆で決めました。せっかく作った曲なのでいろんな人に聴いてもらいたいです。製作は結構大変でしたね。マスタリングも自分達でやったというのもあるんだけど。

O:音源がないと何もはじまらない、と感じていたんですよね。録音自体はそれほど大変じゃなかった。録音の後が大変だったよね。

F:ヴォーカルについては録音する側からすると安易に編集はしたくなかった。コンピューターである程度の事は編集してなおせるんだけど、そういう消極的な使い方を機材でしたくなかったので、何テイクも録りました。それでも最初のころのテイクが良かったですね。野村さんが風邪の時に録音していたテイクの声が枯れていて、それが良かったというのもありました。

N:何テイクもとるとキーは合ってるんだけど疲れてくるから、気分がのらなくなるんです。

F:Ogawaさんが加入した時点で今回アルバムの曲はある程度出来ていたのでそれに対して客観的なアドバイスをもらえて助かりました。

—–今後の予定を教えて下さい。

F:CDのリリースするので、その関連した作業で忙しくなりそうです。 N:新曲リリースして、ライブで新曲を発表して。あとは海外デビュー(笑)。 O:自分達のペースを守りながら活動していきたいですね。

CD Roba Rappa / "Let Me Breeze" Label:LOTUS records Release Date:2003.4 Now On Sale:キクヤ(南3西3), トラットリア リデ−レ (北9西20 2-13 /(011)614-6818)http://www.ne.jp/asahi/lotus/robarappa/

 

 


    Photograph by Ikue Yamamoto

—–今回の特集は「Spring Sounds」というタイトルで 3組のポップなバンドを紹介するのですが、「春」についての印象(または季節について)を教えてくれませんか?

Kobayashi satomi(vo/keybord/guitar)(以下K):やっぱり私は北海道で生まれ育ったのでイメージとしては『雪解け』ですね。雪解けって聞こえはいいけど現実はドロドロじゃないですか。でもそれが逆にいいですね。雪がとけてドロドロだけど暖かいな〜って言う感じが好きです。

Miyakawa kunitoshi(guitar)(以下M):うん、僕もドロドロのイメージは強いかな。北海道の春は『正しい春』という感じがしますね。雪解けと共に草木も芽吹いてきて生命力の強さ、たくましさを感じます。それとスピード感。阿部公房の「飢餓同盟」という本の中に『春は、今日は昨日の二倍、明日は今日の二倍』ていう一文があるんですよ。全くそのとおりです。日々加速してる感が春は強いです。

—–音楽をはじめるキッカケを教えてください?

M:遡ると、僕が小さい頃に兄貴の歌が入ったテープを聞いて「俺のテープも欲しいな」って思って自分で歌った歌をテープに入れたところからかな。今は歌ってないですけど。もともと親父がギターをやっていて小5の時に親父が兄貴と僕にギターをくれて、そこからちゃんとギターをやり始めましたね。最初はベンチャーズとか弾いてたんですけど、コピーは難しいからそのうち自分で曲を作って弾く事が多かったと思います。

K:私の家も父がピアノをやっていて音楽に自然と触れる環境で育ったんですよ。小学校1年生から6年生までピアノをやってました。あと小学生の時、ミュージカルを観てそのCDを聴いては毎日歌ってるなんてこともありましたね。執着はなかったけど歌うのは小さい頃から好きでよく歌ってました。でもちゃんと歌い始めたのは中学生の時。合唱部に入って歌ってました。

M:さっとん(小林)も俺も昔からそれぞれのことをやっていたんですけどバンドを組んだのはお互い大学入ってからなんです。それぞれ別 のバンドを何度か経験して去年このカタチになりました。

—–作曲・作詞のアイディアはどのようにして生まれてきますか?

M:ギターを弾いて遊んでる時なんかに思い浮かびます。弾いてるうちに『おっコレは』っていう取っ掛かりをつかむんですよ。そこからは自分の好みであったり、ジャンルから曲の形ができていってると思いますね。俺のギター奏法にはクセがあるからそういうのが”カポニカらしい曲”になってるんじゃないですかね。

K:歌詞は私が作るんですが、想像の中の世界を描いてますね。曲の中に見える景色とか、曲からもらうイメージを歌詞にしてます。でも実際そこまで考えて作ってないかな。景色がこう見えて、こういう色があって、と一つ一つを説明している感じではないです。うーん、説明ししづらいですね。曲があって、詩ができるっていうスタイルは一貫してますね。曲を作る時はミヤさんと一緒で遊びでギターを弾いてる時に出来る事が多いです 。

—–音楽以外の楽しみを教えてくれませんか?

M:「タバコかな。煙を吐くのが楽しいんです。冬に白い息を吐くのって楽しくないですか?それと同じ感覚です。あと肺にずしっと入ってくる感じが好き。あとは絵。写 生も好きだしマンガを描くのも好き。マンガって言っても絵だけなんですけど今でもたまにノートに描いたりします。」

M:「私も絵を描くの好きです。幼稚園の頃ってお花屋さんやケーキ屋さんになりたいとか言うじゃないですか。私は絵描きになりたいって言ったんですよ。そのくらい昔から好きです。人の顔を描くのが好きで高校の時は映画俳優の顔を描いて遊んでました。最近は人の顔より猫を描いてる事が多いかな。そして映画とお風呂!映画は昔は1日に5〜6本寝ずに観てました。お風呂は熱いお風呂が好きなんですよ。熱いお風呂に肩まで入って『苦しい〜』ってなるのがイイですね〜。」

—–今回のCDをリリースするいきさつを教えてください

M:ライブに来れない人にも聴いていただけるように、というのがキッカケですかね。でも割とCDを作ることは当然の事だと思ってたんで『じゃあそろそろ録音しようか』ってなって出来たって感じです。でもコレが簡単じゃなくて!

K:発売日を先に決定してしまったがためにですね、大変なだったんですよ。

M:僕らはSTEREO WANTというレーベルに所属してるんですけど僕らを含めたそこのメンバーがアートワークをしてくれて。発売は去年だったんですけど、12月の寒空の下、発売日ギリギリまで撮影やCD制作を寝ずにやってもらいまして。CDを10日で作り上げました。本当に、多くの方々に感謝です。

—–最後に今後ご予定を教えてください?

M:僕らは結成して半年しか経っていないのでもう少し足場を固めるべく地道に練習を沢山積みたいなと思ってます。あと僕らは二人という形式でやっているのでフットワークが軽いですからストリートで演奏してみてもいいかな、なんて思ってます。

CD caponica / “Cuchulainn” Label:STREO WANT ¥500 / Release Date:2002.12.21 Now On Sale:玉光堂新札幌店(厚別 中央2条5丁目/011-891-8846)

 

 


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