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NEWS ’15No.01– 「チームラボ 学ぶ!未来の遊園地」

2015.01.31

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NUMERO DEUX NEWS 2015No.01–
 「教える」「学ぶ」ことは心を動かすこと。

2105年になった。その最初の記事は「学ぶ」をテーマにした展示企画のニュースからはじめてみたい。さて、僕は時々、メディアプランナーとして大学等やイベント等でお話をさせていただくことがある。その時、僕の役割としては自分の持っている知識や体験を通して、メディアについて「学んで」欲しいと思っている。そこで感じることは「学ぶ」に対応する「教える」ことの難しさである。スライドやペーパーを準備しているうちに「教える」ことの、とんでもない難しさが頭にのしかかる。思いつめる。教えるということは、知識等の提供はもちろんなんだけど、聞き手の「心」も動かさないといけないと思うのだ。考えすぎかもしれないが、考えないといけないことだと思う。では「心を動かす」学び方とは何なのだろうか?

チームラボは都内にある東京大学発のベンチャー企業。2000年に設立。「ウルトラテクノロジスト集団」としてプログラマ、ロボットエンジニア、数学者、建築家、Webデザイナー、グラフィックデザイナー、CGアニメーター、編集者などさまざまなスペシャリストで構成され、科学やアート、技術を融合したモノづくりをおこなっている。作品として東京スカイツリーの1階にあるデジタル技術を駆使した壁画「隅田川デジタル絵巻」を見た人もいるかもしれない。

「 チームラボ 学ぶ!未来の遊園地」は、市内の商業施設内におこなわれた、子どもむけの体験型展示企画。それを取材に行ってみた。特設会場のチケット売場は行列ができていて、客層はほぼ親子連れ。自分が場違いに感じる。会場内に入るとワンフロアの中心にカフェスペースがあり、それを囲むようにインタラクティヴな展示等が6作品が配置されていた。タイトルに「学ぶ」があるとおり、教育型展示という面もあり、各展示作品には教育としての機能について説明文も添えてあった。しかし、展示作品自体は、そんな「お勉強」くささは少なく、素直に楽しめる内容になっている。総論として「テクノロジー」と「ビジュアル」の組み合わせのセンスがとてもいい。 この両方のバランスが良いのがチームラボ の強みだと思うのだ。そして、優れた作品というのは、大人も子供も楽しめる。ここにはそれがあった。

僕が一番印象に残ったのは「まだ かみさまが いたるところにいたころの ものがたり」という展示(本記事上写真及び下動画)。これは、書道家紫舟とのコレボレーション企画。壁面いっぱいに投射された映像の上から象形文字が静かに降りてくる。それに触れると、その文字が表す動物等に変化して、スクリーンに動きのある物語(アニメーション)がつくられていく。古代の日本では自然のいたるところに神々が宿っており、それらと交信するために象形文字が作られた…というイメージから生まれた作品である。インタラクティブな仕組み(テクノロジー)と象形文字とそれに触れることによって生まれるグラフィック(ビジュアル)のセンスの良さが光る。

さて、最初に「学ぶ」ことをは「心を動かす」ことの必要性を書いてみた。学びとはその形態が座学、ワークショップ、展示等どういった形態を問わず生徒の「心を動かす」ポイントが必要だ。それが知識欲となり、勉強を続けさせるモチベーションになると思う。この「チームラボ 学ぶ!未来の遊園地」の展示には、わかりやすいテクノロジーと美しいビジュアルという要素がバランスよく配置され、それが「心を動かす」要素となっていると思う。それがそろって、はじめてその作品によって「教えたい」テーマが、体験者の「学び」につながっていくと思う。つまり「学び」には「教える」側のエレガントな魅力、が必要なことを認識した展示企画だった。

Text&photo  by 石 川 伸 一 (NUMERO DEUX)

▲「まだ かみさまが いたるところにいたころの ものがたり」

「 チームラボ 学ぶ!未来の遊園地」
2014 .12 .6 —2015 .1 .18  at: SAPPORO Factory
by:Ultra-technologists Group teamLab

 


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