NEWS

NEWS No.16060「東京・リトルプレスのある風景(1)ジュンク堂池袋店 」

2016.10.17

池袋ジュンク堂
Photo by Yusuke Morimoto
NUMERO DEUX NEWS 16060 
アートなニュース。

表現は楽しい。小さくて大きい「紙メディアの世界」=リトルプレス
ジュンク堂書店 池袋店=大型書店とリトルプレスの「交際」

リトルプレスとは…個人や団体が制作から流通までを手がける小さな出版物。Zine(ジーン)ともいう。少し前なら、インディマガジンとかさらに昔はミニコミ誌とか呼ばれる種類のものかもしれない。もっと昔ならズバリ「自主制作」という感じですね。歳がばれるなぁ。意味合いはいろいろ変わっていく。「リトルプレス」のニュアンスは、規模さえ小さければテーマは自由。取材記事等のある雑誌ふうのものから、個人のアート作品に近いものまで幅広く感じる。

2016年9月。まだまだ暑かった都内。リトルプレスをあつかう魅力的なお店を7つ訪れてみました。今後、7回に分けて、ひとつひとつ紹介していきたいと思う。

その1はジュンク堂池袋店。名前のとおり場所は池袋。駅から5分程度のいい場所。ご存知のとおり、この書店は札幌でも中心部にある大型書店。紹介する池袋店も9階建でで、すべて書籍という本好きにはたまらない空間。平日の22時まで開店しているのは仕事帰りにも利用しやすく、毎日のように本を見にくる人もいるかと思う。

なんといっても9階建てですから、見るところはたくさん。「今日は、9階のアートコーナーを覗いていみようかな」という楽しみ方もありかと思う。さて、僕は思うのはこんな全国展開の大型書店が、大きく「リトルプレス」を取り扱うというところに、凄く時代の変化を感じる。それも上階の本棚の片隅ではありません。1階の入口から近い平積みもある専用コーナー。この事実は本当に驚く。何が起きたのか。

本屋さんの入口そばといえば激戦区。本屋さんとしては「一番売りたい本」「売れる本」を置きたいところでしょう。その一部になぜリトルプレスなのか。ここで、考えるのは、ジュンク堂池袋店は、ルトルプレスという名称も知らない人にもむけても、売ろうと考えている、ということ。そんなジャンルにこだわることなく「おもしろい本がありますよ」という戦略でコーナーを用意しているのではないか。これは、単なるリトルプレスの取扱店ではなく「リトルプレスという楽しみ」を貴重な店舗スペースを使用して「提案」していることがわかる。これはひと昔前の大型書店なら、考えられなかった。

話はすこしそれますが、僕はこれには「ブログ」という存在の一般化も少し関係していると思う。なぜかといえば、今はブログの書籍化というのもひとつの大きなジャンルになっている。ブログをやっている人というのは、プロではなかったり、小規模でやっている人が多いかと思う。でも、お客さんは今はプロかアマかなんて関係なく手にとって買っていく。昔は素人の本というのは売りにくかった。でも、今はブログの書籍化のように素人だったり、無名だった人の本がベストセラーになる可能性が凄くある。その影響も受けて、リトルプレスも注目をされているのではないかと思う。それに、今は印刷物制作のハードルも、パソコンのソフトの普及や、利用しやすくローコストなネットの印刷業者の存在も見逃せないと思う。

さて、本書店のリトルプレスの品揃えも、特定の傾向があると感じた。それはアート的なビジュアル中心ではなくて、誰もが興味をもちやすい、生活、仕事、趣味に関した雑誌、読み物ふう品揃えは多い。このあたりが、老舗の大型本屋さんのセレクトだなという感じがする。アートやサブ・カルチャー好きのお客さんというよりも「本好き」のお客さんをターゲットにしていると思う。ジュンク堂池袋店さんにはリトルプレスの未来、そして「書店」の未来を見たような感じがした。リトルプレスと大型書店が手をつなぐ。素敵なことだ。

Text by
アート・メディアライター 石 川 伸 一 (NUMERO DEUX)

ジュンク堂池袋店
所在地:東京都豊島区南池袋2-15-5
JR池袋駅/東武東上線池袋駅 東口より徒歩約5分
東京メトロ有楽町線/副都心線/丸ノ内線池袋駅 39番出口より徒歩約5分
西武池袋線池袋駅 西武南口より徒歩約2分


ARTICLE

CATEGORY

LATEST ENTRIES

ARCHIVES

CLASSIC CONTENTS

website design by shie sato

SAPPORO ART & DESIGN MAGAZINE NUMERO DEUX 札幌 アート&デザインマガジン ニュメロデュー

copyright @ NUMERO DEUX allrights reserved.
top