NEWS

NEWS No.16066「リトルプレスを読む 2冊目『北海道と京都と その界隈』(札幌)」

2016.11.06
Cwh5HW0UsAArrRv

NUMERO DEUX NEWS 16066アートなニュース

紙って、本とは何だろう?〜ポップはすごい。

A.いつもの前書き

本の未来。それは、紙なのか、デジタルなのか。都市中心部も郊外の国道沿いにも大型書店ある。反面、スマートフォンや、デジタルパッドで急速に電子書籍の使いやすいサービスも登場していく。いったいどうなるのだろう? そんな一種の戦争状態の中で、静かなブームが紙のメディア「リトルプレス」(ジーン、ミニコミ誌、インディマガジンとも呼ばれる小規模出版物)である。

この現象は何なのだろう?リトルプレスというのは、ミニコミといった名称で1960年代くらいから現在まで続いている。それが、今あらためて注目を浴びるのは、印刷物の制作がコスト・技術的に容易になったこと。インターネットによって宣伝もやりやすい。そんなデジタルな発展が、電子書籍の登場と同時に、リトルプレスという小規模印刷物の発表にも優しくなったのはおもしろい。そしてデジタル情報に対して「紙」の持つアナログ感が、アート的な意味合いで注目を浴びているか。また、テーマも多様になったのも理由になっていると思う。

最近、本サイトにて、都内を中心にリトルプレスをお店を書いている連載記事を書いている。全7回を予定。現在まで5つのお店を紹介している。ジュンク堂池袋店  /  代官山蔦屋書店  / ユトレヒトタコシェ / MOUNT ZINE 。このあたりで、実際に魅力的なリトルプレスの紹介していこうかと思う。そういうことで、前回は札幌のススキノの鴨々川界隈を中心に、文化的なテーマを扱うBocketを紹介した。今回は再び札幌発のリトルプレスを紹介したいと思う。

B. 「北海道と京都と その界隈」を読む

今回紹介するのは札幌発のリトルプレス「北海道と京都と その界隈」。本紙は、2016年4月に初号発行。現在3号まで発行されている。タブロイド判の新聞風のスタイル。僕はこうしたカタチも好き。綴じものとは違った味わいがある。小脇に抱えて街を歩いて、空き時間に楽しみに読みたい気分になる。多少かさばっても気にならない。

さて、その内容は、京都と北海道をテーマにしたもの。なんとも、不思議な距離感。制作している2人の人物が、これら地域に縁があり、観光地という共通点もある。だから、作ってみた、という感じでらしい。こういう気軽な理由もリトルプレスのいいところ。そのためか、内容も軽くを目を通したところ、観光ガイドとも、固い文化的考察とも違った印象を受ける。でも、違うのだ。続けよう。

内容は、酒器のお店の取材記事、朝ごはんについて、ドライブインのレポート、その他ちいさな記事も散りばめられている。繰り返そう。その記事も観光ガイドとも文化的考察とも違うように思える。でも、よく読んでみるとわかった。どの記事もガイドであり考察なのだ。ただ、すこしやり方が違うだけ。そこに本紙の美しいクリエイティブがあると感じる。そして、記事ひとつひとつの完成度の高さ。入り口。タイトルまわりからポップに思わせる。でも、しっかり読み込むとテキストのヴィジュアルのデザインも、読み手を「いいものいただきました」という気分にさせてくれる。プロのお仕事を感じた。入手したのは代官山蔦屋。その空間にも似合っていた。ポップなのも味。

アート・メディアライター  石 川 伸 一 (NUMERO DEUX)

『北海道と京都と その界隈』
編集・発行:畠山尚デザイン制作室
タブロイド判 / 16P
https://www.facebook.com/sonokaiwai/

 

 


ARTICLE

CATEGORY

LATEST ENTRIES

ARCHIVES

CLASSIC CONTENTS

website design by shie sato

SAPPORO ART & DESIGN MAGAZINE NUMERO DEUX 札幌 アート&デザインマガジン ニュメロデュー

copyright @ NUMERO DEUX allrights reserved.
top