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ホテルのロビーで観たい「美術」とは?

2020.12.06

cross

アート・フォーホテル
アンビエントなビジュアル

見知らぬ土地でのホテル。キャスターつきのバッグをひいてチェックイン。ロビーで先客の手続が終わるまで待つ。眺めるまわり。ホテルは多くはトラベラーが訪れる場所であり、旅の印象にも残る場所。

ロビーの一人がけソファに座って考える。ここにふさわしいアート作品はどういったものだろう?こういったことを考えるは僕は好きである。

つまり、ギャラリーや美術館ではない場所で、どういった作品を置くかということである。僕はこれは結構重要なことではないかなと思っている。

僕が勝手に考えるなら、ホテルに展示する作品には2つの方向性があると思う。ひとつは、そのホテルの「所在地」に着目した作品を飾るということである。

わかりやすくいえばホテルのある地域にある「名所」(または地方特有の気候の風景など)をテーマした作品。

このパターンは僕も実際に見ることも多いし、みなさんも見た経験はあると思う。ベタといえば、そうなんだけど意味性あるし、効果的でもある。トラベラーに「この地」に来た、という実感を思い起こすに違いない。

では、もうひとつの方向はどうだろうか? それは、ロビーという空間に合う作品をつくるということだ。作家がその時自分の中で好きなテーマで作品を作る、というのは違う。これは結構難しいテーマとなる。

そして、その課題に挑戦したのが、今回の展示の高橋弘子の作品だと思う。作品に近づいてみると「島」の絵である。とても不思議な。おそらく作家か考えた架空の島ではないだろうか。

架空の世界の中で、ひとの手を作られたのか、自然にできたものなのか。そのつくりは盆栽のような雰囲気も感じられる。

観る側にアヴァンギャルドな見どころはあるものの、テーマは自然物なので受け入れやすい作風だ。どこか清涼感するあるし、ロマッチックでもあるし、ミステリーでもある…これらの要素って、トラベルにあると楽しいことでは?そんなことを考えてしまった。旅のような作品ではないか。

ぜひ、作品を展示場所に観にいって欲しい。アート作品の鑑賞は現物を直接観る、のが基本だと思うし、作品のある場所に「観に行く」というフィジカルな行動が大事だと思うのだ。

 

高橋弘子作品展「テリトリー」
2020年12月2日(水)~2021年2月28日(日)
クロスホテル札幌(北2西2)2Fロビー
観覧自由/観覧料無料

 ishikawa

Text by  メディア・プランナー  石 川 伸 一 (NUMERO DEUX)
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