Numero deux
SPECIAL



007 OCT.1999"AgraCULTURE"
interview with Nanae Hara(FURNITURE DESIGN AGRA)



北海道旭川市。駅より歩いて15分程度のところにある"FURNITURE DESIGN AGRA"(あぐら家具企画)。ここから世界にむけてオリジナルの家具がひとりの女性によって作られている、という情報をしかるべき筋からキヤッチ。出不精で無免許な私が札幌よりバスに乗って取材にいってみました。
Shinichi Ishikawa / Numero deux

 



---もともと東京出身で大学の専攻は油彩ですよね?それがなぜ北海道で家具を作ることになったんですか?

専攻は油彩だったのですが、そこは立体も作るとこだったんです……その流れで家具も作るようになりました。大学を卒業して旭川の家具メーカーに就職したのは、私はバイクで走ったりするのが好きで、北海道もちょくちょく来ていたんです。それで、いい家具屋さんないかなーと思っていたら、友人に旭川にいいところにあるけど、アンタみたいの入れてくれないよーっていわれて。それでも、紹介してもらって、会社をみせてもらったり、いろいろ話をしたら、「来年の4月から来なさいよ」っていわれて、 それで就職。後から知ったんですけど、そこは木工とか真剣に考えている人が探して、探して、探して、行きつくような会社だったんです。いろいろな工程を全部やらせてくれるところで、凄く勉強になりました。そして、4年前に会社を辞めて独立したんです。

---あぐら家具企画をはじめて...

商品の用意は全然してなくて。だから、始めた時はずーっと作ってましたね。当初は、宣伝はまったくしないつもりで。なぜかというと、私の作る家具は「またがる」タイプのチェアがメインなのですけど、これはもの凄い発見だから、人に知られたら絶対真似される、誰にも見せないつもりだったんです。ところが、ある日札幌のキュレイターから展示会をしませんか、というお話があって。それから、展示会をちょくちょくやってます。やるなら、いろいろな人に来てもらいたいので、メディアに案内を送ってます。それで「またがる」タイプのチェアが真似されるかなーと思っていたんですが、いまだにないですね。でも、「またがるチェア」っていうのは未来の家具のひとつの形態になると思います。飲み食いするのは向かないと思うけど、打ち合わせをしたりするの使ってみるといいですよ。

---キャスターつきの家具も作っていますね

 ええ、それは私も便利だからと思ってつけているんです。同じように家具を作っている若い世代の人達もみんなキャスターをつけているんですよ!つまりキャスターというのは今の世代の欲求なんですよ。これは日本のみならず世界でも、今家具を作り始めた人の共通のセンスなんですよね。のっかたまんま動く、という感覚ですね。これは時代の欲求だと思います。

---ギャラリーで展示会をおこなっていることから、ご自分の作るものがアートだとは思いませんか?

思いませんね。私はあくまで家具屋さんというスタンスです。アートとするならすごく物足りないものらしいです。私は例えば椅子を作るとするなら、座ることしか考えないですから、見て楽しむということあまり考えない。私の作るものはフェイクファーを使っているので、その色とか考えたリしますが、本質的な部分でファーというのは見て楽しむというよりも、さわり心地を楽しむものですから。ウチの家具はすべてファーだけとりはずしができるので、汚れたら水洗いで洗濯してもらえればオッケーです。アクリルなんで、洗うととてもきれいになります。

---実用性重視ですか?

はい。棚とかは、ちゃんとA4の紙ははいるようにと考えています。可愛いのに1センチ足りなくてA4の書類がはいらない、というのは嫌じゃないですか。もちろん見た目が可愛いというのも考えない訳でもありませんが使ってみて良さを感じてくれ、という気持ちのほうが強いです。

---「またがる家具」=「またがる感覚」

「またがる感覚」というのを知ってほしいです…日常的にまたぐという行為をしてもいいんだ、ということです。このことについては、西洋人も保守的でスペインの展示会とかにもっていったんですけど、説明してもまったく理解してくれなくて。それでも、実際にまたいでもらうと、「ワンダフル!」という感じで初めて理解してもらえました。

---最後に、今後の目標・予定など

とりあえず、あんまり考えていないんですが、とにかく自分の好きなものを作って、それが売れればラッキーという感じでいきたいですね。まぁ、もちろん売れたほうがいいので、そのへんの努力はしていくつもりですが、なにを作ったら売れるかわかんないですよ。まだ研究が足りない(笑)。でも、将来の家具の理想というか、ありかたは考えていきたいですね。- fin. -

(AFTER HOURS)

インタビューの当日、別の取材が入っていたにもかかわらず、ていねいに取材に応じてくれたイイ人です。興味のある方は、有料ですが、カタログ(オールカラー)をメールで取りよせるのがいいと思います。現物を見てみたい、ということでしたら、旭川にある"Deeper"というショップの2階に「アグルーム」というショールームがあるので、そこに行ってみるのもいいでしょう。詳しくはサイトのほうをチエック。

(ABOUT)

FURNITURE DESIGN AGRA(あぐら家具企画)
Nnane Hara(原ななえ)
Left10 Asahikawa1-19 Hokkaodo
http://city.hokkai.or.jp/~agra/
agra@hokkai.or.jp

(PRESENT!)

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