NUMERO DEUX UROTANGE

UROTANGE DISC REVIEW 20 November.2001


"URO"は札幌の音楽情報発信グループ。おもな活動としては、フリーペーパーの発行や、毎週月曜21時より音楽情報プログラム「週刊U-ROCK(ウーロック)」を FMラジオカロス78.1MHzにて担当。









THE CRANBERRIES / WAKE UP AND SMELL THE COFFEE http://cranberries.com/

もうすでに古い話になるが、ウォン・カーウェイ監督の映画「恋する惑星」を見て、主題歌にヤラれた人も多いのではないでしょうか? フェイ・ウォンの歌う「夢中人」はとてもキャッチーでアップテンポな曲ながら、なぜか無性に切なくさせてくれる曲だった。その「夢中人」のオリジナルを歌っていたのがこのクランベリーズ。ドロレス・オリオーダン率いるアイルランド出身のロックバンド、クランベリーズが91年のデビューアルバムに収録していた「ドリームス」。それがオリジナルなのだ。それから時は過ぎて、ことしで10年目。若手だったバンドもいまやベテラン。ひとりのうら若き女性だったドロレスもいまや一児の母となった。最新作では、デビューアルバムと2作目でプロデュースしていたステファン・ストリートが復帰、当時に戻ったかのようにキャッチーでさわやかな楽曲が多く収録されている。とくにファーストシングルの「アナライズ」にはびっくり。「ドリームス」そっくりなのだ。10年過ぎても、母になっても、デビュー当時のテイストを残しているバンドはそんなにいない。ましてや、似ていながらも新たな輝きを放つことなど希有なこと。クランベリーズのハートは何年経っても崩れない。そして、汚れない。真のロックスピリッツとは音だけでなく、そういうところにもあるということなのだろう。(児玉)


MODJO / MODJO http://modjo.com/

神はその昔世界の言葉をバラバラにしたとかなんとか。実際どこでどうして言語が違ってきたかはよくわからないが、ひとつだった言葉を分けたという言い伝えは別としても、国それぞれの文化を重んじるように国独自の言葉も重んじるべきだと、いつも思っている。日本語の歌詞しか使わない浜崎あゆみなんかは(といいつつアルバムタイトルが英語だったりするのはよくわからないが)なかなかいいんじゃないかと思う。モジョはフランスのユニットだが、歌詞は英語を使っている。どこの国のアーティストもグローバルな成功を意識すれば歌詞は必然的に「英語」ということになってしまうのだ。とても残念だ。狭い「国」とか、音楽の「ジャンル」とかの垣根は無意味だと思うが、かといって英米の潮流に合わせるのは、もう、いいんじゃなかろうか。特に彼らの音楽は新鮮なのにすごく懐かしく、なんだか昔聴きまくった音楽のように自然に身体にしみ込んでくるのだ。それにアルバム内の楽曲もラウンジ系からR&Bまでと、とにかく幅広いし、興奮するし、落ちつく。だから彼らには自由・平等・博愛のフランスっぷりをなびかせまくって活躍して欲しい。こんなにすごいアーティストなのに。これからの世界的活躍間違いなしなのに。残念だ。(城山)


EELS / SOUL JACKER http://eels.artistdirect.com/

まず、強烈なインパクトを持ったジャケット。ドロップ型のサングラスをかけたヒゲ面の男が、赤い地色をバックに白いイヌを抱いている姿。これだけでやられてしまうこと大なのだが、もし、試聴機で聴いてみたならば、もうダメ。ぶっとい音のリフとしゃがれた声でスタートするざらりとしたロックソング「ドッグ・フェイスド・ボーイ」。ジャージーな雰囲気とロックの豪快さ、それに劇的なアンサンブルをかぶせた「ザッツ・ノット・リアリー・ファニー」。1、2曲目だけで胸の辺りにズキンときちゃって即買い間違いなしなのだ。90年代半ばにL.A.で結成されたイールズは、マルチプレイヤーであるEが中心のバンド。Eは30代にして、すでに家族や友人を多くなくしている。だからこそ、Eが歌うテーマには“死”を扱うもの多い。「フレンドリー・ゴースト」では「もし、死ぬのが恐いなら 生きてるのは恐くないんだろ」と生きていることの尊さを、「ソウルジャッカー パート」では「ソウルジャッカーに俺の魂は盗めない」と生きていく強さを歌う。このEのソウルにひとたび触れたなら、日常生活の中で抱えた重大な悩みごとなど、とたんにちっぽけに見えてくるだろう。(玉手)








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