NUMERO DEUX SPECIAL 017



"TECHNO TRANCE DUB"
0719(wed).2000 at KING XMHU KEN ISHII + DJ COOO + IMAI/live by YAMAOKA / OKAYAMA / Film work by INDY ISHIDA




去る、「海の日」の前日0719(wed)、ケン・イシイをフューチャーしたイベント、"TECHNO TRANCE DUB"が札幌キングムーでおこなわれた。


「大きなハコをもりあげないとダメなんですよ」、イベントの当日、キングムーのまだ人気のないVIPルームで、主催であるYATUKA CRAETIVE OFFICEの松永氏にお話しを聞いた。同氏はDJ TOK.Mの名前で、札幌のクラブシーンをプレイしてきたこの世界では名を知られている存在である。今回のケン・イシイをフューチャーしたイベントも過去のつながりからということだ。現在、DJよりも同オフィスにてイベント・オーガナイザーとして、札幌のクラブシーンをもりあげようと手腕を振るっている。いろいろお話をうかがったが、一番印象に残ったのははじめに書いたフレーズ。大きなハコをもりあげて、小さなハコはよりディープに特化すべき、という氏の基本的なポリシーであった。そのコンセプトのより、年内も数々のイベントが予定されている。


INTERVIEW WITH KEN ISHII
ケン・イシイ インタビュー
by Shinichi Ishikawa(NUMERO DEUX)




●札幌には何回かこられていますよね?

来てますね。ライヴだとだいたいペニーレーン(24)で、DJだとここ(キングムー)とかプレシャスホール。僕は生まれたのは札幌なんですよ。病院だけ、ですけど。その後は横浜です。札幌は親の実家があるんで、ちいさいころからちょくちょく来ているから、街の感じも知ってます。印象としては、都市としての機能もあるし、アートワークも身近にあるので、サイズとしてちょうどいい。ちよっと行けば自然もあるし。

●DJプレイしてみて東京と札幌のお客さんの違い、そして日本と外国の違いはありますか?

若干ありますね。札幌は東京よりも自分から先にいく(踊りにいく)人が少ないかな、という感じます。外国と日本の違いについては、まず、日本ひとつと他のたくさん国とを比較するというのは、無理があって、どこでもいいハコがあって、いいプレイができれば、いいところだから。もちろん、細かいところで微妙には違いはあります。ただ、それはそれぞれで、国ひとつひとつあげて説明しなきゃならない(笑)。

実は、月曜までオランダにいたのですが、そこでジャズ・フェステバルに出演しました。レイブみたいなでっかい野外のライブだったのですが、この国は基本的にオープンマインドな人間が多くて、例えば、サックス・プレイヤーのダルファーといっしょにやったんですけど、僕が出る前は演奏があって、それに対してお客さんが座って拍手するという感じだったのですが、僕の時は、ダンス・ビートにサックスが重ねる感じで、すると観客のお兄さんから、おばあさんまで立ちあがって踊りだすんですよね。反応がとても良くて、ミュージシャンとして、とても楽しかった。よい曲ならどんな音楽でも、いい反応が返ってくる。

●それでは日本より外国のほうが環境的にもいいということでしょうか?

いや、日本のほうがテクノの良いセンスを持っている人が多いな、という感じはします。曲をちゃんと聴いてくれる、音楽好きが多いと感じますね。ヨーロッパとかはたしかにクラブシーンはでかいですけど、その分、ふだんはレコードは買わないけど、踊りにだけいく、という人も多いですから。日本のほうが、曲に対して敏感に反応する人は多いと思います。

●アルバムを作るのとDJプレイをするというのはわけて考えますか?

それはあると思う。アルバムの場合は自分の頭の中にあるアイディアをいかに表現するか、というのを考えますし、DJをするときは(ダンス)フロアに対して、楽しめるふうにやっていきたい、というのはある。アルバムはダンスフロアについては、あまりこだわっていないし。

●新作はサントラの曲(「ホワイトアウト」)でもありますが、作るときその辺を意識したりしましたか?通常のアルバム製作との違いは?

意識というか、今回は台本の段階から、このシーンにあう曲ということで依頼されてるので意識せざるをえない(笑)。普通にアルバムを作る時は、基本的にひとりでできるけど、サントラの場合は、映画の監督さんとかたくさんの人が関わっているので、その中で自分らしさを出していくかという部分で、心構えは、違いますね。でも、曲はいままでの自分のスタイルは出せたと思う。

●8月にはフルアルバムが出ますが、前作とは違う部分はありますか?

前作("SLEEPING MADNESS")は新しいことをやろう、という部分が濃くて、いろんなテクノ/エレクトリックでないアーティストと一緒にやってみた。今回はサントラということで、自分のなんだけど、半分自分でないような感覚があって、映画のメインテーマがあって、他の曲もそれをもとにどう作っていくか考えたりしまて。自分のなかでは、テクノの初期衝動に近い感じで作っている。最近は新しいテクノの形式が出ているいうのもあって、そこにパワーを感じて、今回は原点に戻ったという感じがある。ここ最近では一番テクノぽいかもしれない。ビートが強いのも多いし。いままでやってきたテクノの2000年ヴァージョンという集大成的なところもある。

●基本はやはりテクノなんですか?

もともと機械的な音が好きだったのですけど、僕が聴きはじめた時は、エレポップとかはもうすでに過ぎていて、過去のものを聴きなおすという時代で、結局どれを聴いても後追いだから、その時なにか出てこないかな、と思っていたら、デトロイト・テクノが出てきて、これはリアルタイムだから、新譜が待ち遠しいというのか良かった。自分が生きているスピードと同じでてきたから。10代後半のころですね。

自分の基本は、やはりロックでないし、ソウルでもないし。絶対的にテクノだし。テクノロジーをつかっていろんなことができる、という感覚がある。テクノの魅力というのは、頭デッカチと思われるかもしれないけど、プレイヤーミュージックではないというところ。一般的に楽器が弾ける人が、音楽ができるんだ、というというのがずっとあったと思う。でも、自分は音楽を聴くのは好きだったけど、特に楽器を弾きたい訳ではなかったけど、テクノロジーがあって、アイディアがあれば、ノン・プレイヤーでもできる、という部分で入っていきましたから。

●イシイはさんはパイオニアとして日本でもテクノが盛りあがりををみてきたと思いますが、それについて感じるところはありますか?

ある意味痛快ですね。僕がテクノを聴き始めたころは、東京でもテクノがかかるクラブは少なくて、渋谷でも一軒あったかな、という感じだったので、そういう状況では国内でやってもダメかな、と思ってヨーロッパからやってみた、というのがあって。ゼロからはじめた感じです。今では地方都市もDJとしてまわれたりして、いい状況だと思う。本当に10代のころに野外フェステヴァルとか体験すると人生変わると思う。僕の同世代の人とかみんなそうだし。やはり、10代のころの音楽経験がカラオケかダンスミュージュックでは全然違うと思うし。カラオケというのは日本だけですからね。ヨーロッパはダンスミュージックのシーンがあるから。

●最近の若いテクノのアーティストについて。

自分より若い人に接する、自分も歳をとったな、と感じます。これからアーティストを目指す人には、テクノにプラス・アルファが必要な感じがする。テクノのアーティスストを目指す人はそれこそ、たくさんいますから。みせかた、とかなにか工夫が必要だと思う。それと、僕は最初は、契約とかすべて一人でやっていて、マネージャーとかいる訳もなく、ヨーロッパのイベントにも行ってましたから、結構鍛えられた。ツアーなんて本当に知らない場所への旅ですからね。でも、それでなんでも自分でできるようになったかな、という気はする。とにかく、目指す人にはやり続けることが重要だから。もちろん苦しい時期はあるけど、それは誰にでもあるし。やめると絶対なにも見えないけど、やり続ければ、見えるかもしれないという可能性はある。あきらめない、前むきに。

●最後に今後の予定など。

8月にアルバムが出るんで、それからほとんどツアーです。今年前半は、レーコテングでDJは全然やってなくて。アルバムを出したらやろうと思って、オファーをまとめたらツアーのようになってしまって(笑)。





KENISHII NEW ALBUM FLIT SPIN 〜Theme Track For WHITEOUT 〜2000

KENSIHII SITE
http://www.kenishii.com








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