NUMERO DEUX SPECIAL 028







★「トータル・テクノ」を目指すサウンドレーベル"aerostitch Re-cords"にインタビュー。

DJプレイではなく、テクノのライブを体験したことはあるだろうか? そのチャンスがこの夏7/21(土)札幌にある。1998年にスタートし、今まで2枚のセルCDをリリースしている札幌のテクノ・レーベルaerostitch re-cords。そのレーベル・コンセプトは「トータル・テクノ」であり、発表された作品はサウンド、ジャケット・ワーク、プロモ・ムービーのすべてが一体となって表現されるコンセンプチュアルなものだ。この夏、Aerostitchのオーガナイズにより、11組にもおよぶアーティストを参加するテクノのライブ・イベント"CAMP"がおこなわれる。VJもフューチャーされ、音+映像の融合に期待したい。今回、同レーベルの代表であり、サウンド・クリエイターであるオオグロジュンイチと、ビジュアルワークを担当しているミウラマコトにプロフィールとイベント"CAMP"についてインタビューしてみた。

text by Shinichi Ishikawa(NUMERO DEUX)



NUMERO DEUX SPRCIAL 028
"Techno Not Techno" Interview With Aerostitch records
取材日時:2001.06.27(wed) 22:00-23:00
取材協力 :Aerostitch records / ICC(INTERCROSS CREATIVE CENTER)
inteviewer : SHINICHI ISHIKAWA(NUMERO DEUX)
Photograph by Tomohide Uchiyama
Art Direction & Design:NUMERO DEUX
NUMERO DEUX Copyright.




Interview With Aerostitch Re-cords
Junichi Oguro & Makoto Miura

Junichi Oguro(1974-)
obsession-GT / grogman
Sound Create

エアロステッチレコードの代表で、Obsession-GTと自分のソロ名義であるgrogmanでサウンドを作っているオオグロです。音楽については幼稚園ぐらいのころから「自分でやりたい!」と思ってエレクトーンを習い始めました。当時は音楽を習うなら エレクトーンかピアノという世代なので。でも、僕は譜面を見てそれを練習するのが凄く嫌いで、なかなか覚えずよく怒られました。それよりも自分で自由に新しい曲を作っていくのが好きなので、それで作曲するようになりました、小学校高学年ぐらいからですね。そのあたりで音楽の基本的なことを身につけました。それから、中学、高校とバンドをやったり、レーベルに参加したりして音楽活動をしていました。。好きな音楽は、ハードロックが好きな時もありましたし、ジャズとか…コルトレーンとかは今でも聴くのが好きですね。今のサウンドスタイルになったの高校の終わりごろです。それを人に聴いてもらうと「これはテクノみたいだね」といわれて、自分自身はその時はテクノって聴かないし、意識したことはないのですが、「じゃあテクノってどんな音楽なのかな」と思って聴いたりしましたね。そうすると、テクノの持つ、進化していく音楽というか新しい部分を取り込んでいくところが自分のスタイルと合致しているなと感じました。楽器はずっとキーボードをやっていて、それからはシーケンサーも使用して作曲するようになりました。



自分が主催でおこなうのは現在の活動のメインであるエアロステッチが初めてですね。1998年に始めました。主催で始めた理由は、自分がうまく表現できるフィールドを作りたかったからです。 僕がデザイン/映像をやっているミウラ君知り合ったのは、世界のクリエイターのニュースを発信しているオンラインマガジンSHIFTのBBSのミウラ君のコラボレート希望という書き込みをみて、メールで連絡をとって彼のデザインをサイトで見せてもらったのが気に入って、エアロステッチに参加してもらうことになったのです。最初はお互い日本のどこに住んでいるかわかなかったのですが、地理的に可能なら会おうということになってみると、住所は歩いていけるぐらい近所で(笑)。歳も同い年で、驚きましたね。なにかの縁を感じました。インターネットがなければ、この出会いはなかったと思います。僕はエアロステッチはトータル・テクノ…つまりサウンドだけではなくて、ヴィジュアルもあって自分の考えるテクノを表現そしたかったので、自分とセンスのあうビジュアル・デザイナーはずっと探していたのです。そして三浦君でに出会えたのはとてもラッキーなことだと感じています。ネットをやる前から、いっしょになにかをやるためにいろいろな人に求めたり/会ったりしたいたのですが、なかなかうまくいかなくて、その点、情報源という部分でネットは素晴らしいと思います。

エアロステッチではアルバムが2枚と非売品で2枚リリースしています。そのうち、一枚はネットで全国よりアーティストを募集して集めたコンピレーションです。エアロステッチは基本的には、テクノユニットであるObession-GTと僕のソロ名義のgrogmanそして三浦君のtruegrahixx*、そして、Obession-GTでヴォーカル/作詞をおこなっているササキ君と、僕が東京のイベントで知り合った仙台のスズキさんがいます。

エアロステッチは通常のレーベルのように単にアーティストを集めてリリースをおこなっていく、というより、いろいろなコミニュケーションによって様々な活動のフィールドをひろげてサブ・カルチャーの場であっていきたいと思っています。ですので、エアロステッチは自分のライフスタイルをレコード・レーベルという形で置き換えていると思います。


Makoto Miura(1974-)
true graphixx*
Visual Design

エアロステッチでは、トゥルーグラフィックス名義で、CDのジャケットのアートワークや、映像クリップを作っているミウラです。僕はもとも音楽は学生のころはよくロックを聴いてました。ヒットチャートのチエックをしていましたが、同時に兄の影響でYMOやクワフトワークなども聴いてましたね。そのうち時代的にハウスミュージックが登場してきて「踊れる電子音楽」というのが好きになって、特にテクノにはかなりハマりました。電子音が好きなんです。中学ぐらいのときです。そして現在にいたってますね。でも、サウンドを自分で作ったりしたことはないです。興味はありますが。グラフイックスに本格的に興味を持ったのは、高校を卒業してから、看板とかロゴ・タイプを作る仕事をやっていてそれで、デザインをするようになったきっかけですね。僕はデザインの学校には行ってはいないですが、ちいさい頃からロゴ・デザインには興味があったのです。そして、マックを買って自分でTruegrahixx名義で活動をはじめてTシャツを作ったりしてました。でも、誰かとコラボレートしたくてSHIFTのBBSに書き込みをして、オオグロ君と知り合ってエアロステッチに参加することになりました。

トゥルーグラフィックス名義で、時々VJもおこうなうのですが、その時、 お客さんを見ているとわかりますね。ノッといるときと、ノッていないときは(笑)やっぱり自分でやっていて、映像と音楽が凄く合っているなぁ、という時はお客さんもノッてくれてますね。逆に「なんかこのサウンドにあわせる素材ないなー」と思って流しっぱなしにしている時はみんなノッてないですね。そういう雰囲気はビシバシ伝わってきますね。イベントでは映像と音楽は必ず合せたいですね。





Techno Live Event
"CAMP"
07/21(sat)@FLORE CAFE

今回イベントのおこなう"CAMP"はエアロステッチでは初めてオーガナイズする本格的なイベントです。おこなう理由としては、ミーティングで今年のテーマとして、それまではわりとCDなどのカチッとしたプロダクトを作ってきたのですが今年はコミニュケーションとメディア進出、そしてイベントをやろうということになって、それでCAMPというテクノイベントを企画してみました。。最近は、DJイベントというのがひとつの傾向ですが、それよりも"CAMP"はトラックを作っている人の表現の場を作りたかったのです。そういう場は少なく感じて。イメージ的には室内のレイブというか、どんな方でも気軽に来れるイベントにするつもりです。ですのでミウラ君にはビジュアルとしては今回は「ポップな感じ」というのを頼みました。アンダーグランドな感じはしたくなかったのです。

僕としてはテクノというのは誤解をうけているような感じがしていて、テクノというのは電子音だとかジャンルとかではなくて、考え方という感じがするのです。テクノというのはいろんな音楽を吸収していって、新しくなっていく音楽だと思うのです。そのあたりを言葉で表現するのは難しいのですが、それならイベントとして実際やってみていろいろな人に体験してもらいたくてCAMPを企画したともいえます。ですので今回参加してもらっているアーティストのセレクトに関してはそのコンセプトを理解してくれるような方々にお願いしました。

CAMPというのは、これから札幌でいろいろな動きで出てくる入口になればいいな、と思っています。みんなにいろいろな活動をやっている人がいるということを知って欲しいですね。「テクノって何だ?」と興味のある人ならどなたにでも見にきて欲しいです。(オオグロ)

音と映像から五感で感じるテクノというのを体験して欲しいですね。DJイベントとは違うライブならではのパワーを堪能して欲しいですね。(ミウラ)



more Information
aerostitich re-cords
http://www.aerostitch.net





after hours
取材を終えて

今回の取材では主催イベントのプロモーションを兼ねていたので、記事は"CAMP"の話題がメインになったが、興味をもった方はぜひ、イベント前にエアロステッチがリリースしている2枚のCDアルバムにも注目して欲しい。インタビューにあるとおり、代表であるオオグロ氏は独自の「テクノ観」があり、しっかりとしたヴォーカルのある明確なサビを持つナンバーなど、一般的なクラブ・テクノのトラックとは異なる印象を受ける。僕の印象としては、UKのプライマル・スクリームや、ケミカル・ブラザーズのような、ロックよりのテクノ・サウンドという感じがする。"CAMP"ではどのようなライブを観せてくれるか楽しみだ。
Shinichi Ishikawa(NUEMRO DEUX)









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