NUMERO DEUX REVIEW

札幌でひっそりと上映された残念な映画レビュー×2

今回、レビューした2作品は結構おもしろいし、オシャレとも思える新作あるのに、あまり話題にもならずなぜかひっそりと上映が終わってしまった作品。惜しい気がするので取り上げてみました。(2000.02.04)




「Human Traffic」(監督ジャステイン・ケリガン・1999・イギリス)

平日はサエないバイト。週末は親の車に友達をつめこんでクラブをハシゴ。翌日は前半死んでて、後半は同じ友達とダラダラ反省会。こんなイギリスの若者達の「お遊びライフ」がていねいにも時間のテロップ入りで進んでいく。とにかく全編に「たるーい」感覚が伝わってくるのがとてもいい。そうだよね、クラブに行くときのなんとなく面倒臭い感じ、クラブ中のなんとなく感じる疎外感、意味の無い会話、明けは当然眠い。身もフタもないがクラブ・カルチャーを過大評価していないところが良い。フォローするなら、その「つまらない感じ」がクラブ遊びの魅力だと僕は思っている。それが嫌ならカラオケでも遊園地でも行けばいいでしょう。本作を観たらクラブに行って帰ってきた気分になった。ダルくて気持ちいい。
(Text by Shinichi Ishikawa)



「アイスリンク」(監督ジャン=フィリップ・トゥーサン・1998・フランス) 

気どらない作品。逆にそこにセンスを感じる。
アイスリンクを舞台に映画を制作する監督、クルー、俳優たちの 苦労をコミカルに描いている。といってもコメディ作品のような狙ったギャグはなく、アイスリンクでの映画制作にともなう、まじめなトラブル(照明で氷がとける、移動撮影の難しさなど)が 「しまった、失敗したねー」という感じであまり深刻にならずライトに描かれているのが、楽しませる。制作現場でありがちな細かな問題もしっかりあって、作り手の気持ちで観ても楽しめる。さらに、いくつか人物たちのちいさなエピソードが挿入されていて、最後まで飽きない作品になっている。特に斬新な技法がある訳ではない、でもおもしろい。そんな映画の「基本」を感じさせる作品。誰にでもおすすめできる作品。
(Text by Shinichi Ishikawa)








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Shincihi Ishikawa(NUMERO DEUX)
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