NUMERO DEUX REVIEW
KINO PROGRAM SELECT APRIL.2000

シアターキノのスタッフであるmidoriさんに4月に上映されるプログラムから『ブエナ★ビスタ★ソシアル★クラブ』をレビューしてもらいました。
text by Midori



『ブエナ★ビスタ★ソシアル★クラブ』


97年に"USロック界の異端ギタリスト"ライ・クーダーが キューバの老ミュージシャン達と録音したアルバム『ブエナ ビスタ・ソシアル・クラブ』。この作品を聴いてキューバ音楽 に惚れ込んだヴィム・ヴェンダース監督によって撮られた本作 には、キューバという国のあらゆる魅力が詰まっています。

それまでキューバといえば"革命"のイメージしか持っていなかった 無知な私は、キューバにはこんなに素敵な街や人々や音楽が あるのだと感動しました。名曲"Chan Chan"に合わせて映し出され るハバナの街並み、波しぶきが道路まで飛ぶ海岸線、ラクダ型の ピンクのバス…そんな景色の中でゆったりと人生を過ごしてきた 『ブエナ・ビスタ〜』のメンバー達。"Chan Chan"の作曲者で ギタリストのコンパイ・セグンドは92歳にして葉巻をくゆらせ 『人生は花と女とロマンスさ』(名言!)と語り、72歳のシンガー、 イブライム・フェレールは一線を退きなんと靴磨きで生計を立てて いたそう。

そんな"忘れられていた"ミュージシャン達が一生に一度 の晴れ舞台・NYのカーネギーホールで遂にコンサートを開きます。 会場総立ちの大喝采のなかでキューバの国旗を掲げて演奏する姿は、 彼らの長い人生の中でも最も輝いていた瞬間ではないでしょうか。

そんな彼らを幸せそうな眼差しで見つめるライ・クーダー、カメラ の向こう側のヴェンダース監督、そしてスクリーンの向こうの私達 までもいつのまにか微笑んでいることに気づくのです。 音楽は、国境も年齢も超えて心に届くのだということを改めてこの 『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』から教わった気がします。

レビューの感想などありましたらここまでおよせください。






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