NUMERO DEUX UROTANGE

UROTANGE DISC REVIEW 12 March.2001


「洋楽って何を聴いたらいいのかわからない」、という方のためのガイド的な誌面作りがコンセプトで札幌市内のC D店など約50カ所以上に配布されているフリーペーパー「UROTANGE」(ウロタン)が、ライティングするディスクレビュー。このグループは、その他「週刊UROTANGE」というラジオ番組(ラジオ・カロス78.1MHz/金曜12:00より)も担当しています。









VA / CREATION RECORDS INTERNATIONAL GUARDIANS OF ROCK'N'ROLL 1983-1999


80年代にはジーザス・アンド・メリーチェインを生み出し、マンチェスターブームの時はプライマルスクリームがスクリーマデリカを発表、90年代初頭グランジブームへ時代が変わるとティーンエイジ・ファンクラブがバンドワゴネスクをリリース、 そして今やビートルズに次いでイギリスを代表するバンドとなったオアシス。常にクリエイション・レコードはミュージックシーンの中心にいた。僕の中でもいつもクリエイションが中心だった。なにげなく行った中古CD屋でもクリエイションのレーベルロゴを見かけると必ず買った。知らないアーティストであっても買った。絶対の信用があったからだ。 このCDは2枚組になっている。1枚目は主に80年代、2枚目が90年以降といった内容だ。 クリエイションの歴史をたった2枚に収めるなんて無理なこと。はっきり言って僕はこのCDの選曲に不満を持っている。それはオアシスやプライマルのような人気のアーティストを何曲も収録しているからだ。他に収録しなきゃいけないアーティストがいるだろ! マイ・ブラッディ・ヴァレンタインはどうした? モーマスは? ジャズ・ブッチャーズをなぜ入れない?ビフ・バン・パウは? 最後はすっきり終わってほしかったよ。ただのベスト盤じゃないんだから。(dan)


DOVES / LOST SOULS


僕は切なさを感じさせるメロディーに弱い。大人になるにつれて忘れていった甘酸っぱい記憶を呼び起こされるようで、なんだか胸を掻きむしられるくらいに淋しくなるのだ。そういう意味でも80年代に起こったマンチェスタームーブメントは僕にとって音楽的にどうのこうのというよりも、聴くだけで懐かしかったり、切なかったり、無性に淋しくなったりする音楽だったりする。もちろんハッピーな曲も無数にあるのだが。ダヴスは昨年にイギリスでデビューを果たした3人組。日本でも今月になってようやくそのアルバムが発売される。デビューなどと書くとなにやら青臭い新人くんなイメージを持ちそうなものだが、彼らの場合、落ち着きのある、さもベテランかのようなサウンドを聞かせてくれている。80年代のイギリスを匂わせるメロディーもあり、洋楽に初めて触れたころを思い起こさせてくれる。懐かしい雰囲気と静かな音作り、そこへおしゃれな感覚をミックスしたような、なんとも凄い新人バンドが登場してきたものである。忘れていたひとかけらのココロの破片が見つかるような気分にさせてくれるバンドというモノはそう多くはないだろう。このアルバムに失われた魂(LOST SOULS)とは良くつけたものである。(児玉)


LINKIN PARK / HYBRID THEORY


音楽界にロックというジャンルが誕生し数十年。80年代から90年代、爆発的に浸透したロックというジャンルは楽器の発達やコンピュータの導入によりその階層下に、代表的なところでヘヴィメタル・オルタナティヴなどのカテゴリを形成した。カテゴリを分けたことによりロック愛好者達はさらに音楽へ情熱を注ぎやすくなったのは確かであるが、90年代中期以降、ますますカテゴリの細分化は過剰に進み、ファンが分散したためかロックのアルバムは売れ行きが急速に衰え現在に至る。実際、いち愛好者である自分も小さなジャンルのなかで凝り固まってチマチマと演奏しているようなイメージを受けるためか純粋に「いい」と感じる音楽が減っている感を日々強く抱く。

 今回紹介するリンキンパークは評論家から《ヘヴィロック》というレッテルを貼られているが、本人たちはただ単に「重い音がする」ギターを中心にプレイしているだけで、ラップからメタルまで色々なジャンルの音楽の溝を埋めてひとつにまとめようという姿勢で、ヒップホップやエレクトロニックの要素を取り入れ、カリフォルニアを中心にまさにボーダレスに活動している。彼らの音をわかりやすく説明するために日本人アーティストに例えるなら、基本は昨今売り出し中のRIZEに近く、そこにDRAGON ASHのような凝った技術を導入している、というところであろう。このアルバムはデビューアルバムながら全米チャート初登場16位、すでに100万枚を売っている、ということからも素晴らしい作品であることがご理解いただけるであろうし、なにより両の耳がこのアルバムを押せ、と訴えかけている。(城山)






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