NUMERO DEUX UROTANGE

UROTANGE DISC REVIEW 13 April.2001


「洋楽って何を聴いたらいいのかわからない」、という方のためのガイド的な誌面作りがコンセプトで札幌市内のC D店など約50カ所以上に配布されているフリーペーパー「UROTANGE」(ウロタン)が、ライティングするディスクレビュー。このグループは、その他「週刊UROTANGE」というラジオ番組(ラジオ・カロス78.1MHz/金曜12:00より)も担当しています。









AEROSMITH / JUST PUSH PLAY
http://www.aerosmith.com/news.html
アメリカのロックバンドの中で、日本でトップの人気を誇るのはボン・ジョヴィとエアロスミスなのだろう。彼らの発表するアルバムは必ず日本のチャートの上位に入っている。洋楽低迷と言われる日本でこの好調ぶりはなんとも嬉しい。一時期はセールス的にも精神的にも低迷していた彼らだが、87年発表の「パーマネント・ヴァケーション」の成功以降、着実にステップアップを続け、人気を不動のものとしてきた。今作でももちろんそのパワーは衰えることはなく、むしろますますエネルギッシュなものになっている。そんな今作での注目はやはりプロデュースを自らの手で行なっているところとだろうか。87年の転機以来「パンプ」(89年)、「ゲット・ア・グリップ」(92年)とプロデュースをしてきたブルース・フェアバーンを病気で失い、その後多くのプロデューサーと仕事をしてきた彼らがバンド結成以来初めてプロデュースに乗り出してきたのだから。アルバムタイトルが彼らのアルバムへの自信を明確に伝えてくれている。ジャスト・プット・プレイ。「まずは再生ボタンを押してみな!」と。(児玉)


DAFT PUNK / DISCOVERY
http://www.daftpunk-virginrecords.com/

フランスでいったい何が起こっているのか? 昨年、来札を果たしたタヒチ80、フェニックスが見せてくれたフランス・ロックの現在形。そこには80年代に登場したバンドの多くが持っていたわかりやすいサビがふんだんに散りばめられていた。90年以降、歌のサビがどこなのかがわかりづらいという曲が増えてきた中、フランス・ロックの存在はある意味懐古で、そして新鮮であったように思う。ダフト・パンクはフランスの覆面テクノユニットなのだが、彼らもまた同じようにサビで盛り上がり、甘酸っぱいメロディを得意としている。あくまで個人的だが、懐古的な部分が80年代ユーロビートの雰囲気にも感じられ、ヨーロッパや日本でも人気があるのも頷ける。この人気をぜひとも世界へも昇華させて、今後の音楽シーンを大きく変える存在になって欲しいものだと思っている。1789年に国民の自由を求めたフランス革命が起こったフランスで、21世紀は音楽の自由を求める革命が起こりつつあるのかもしれない。(児玉)


DEATH BY CHOCOLATE / DEATH BY CHOCOLATE

タイトルを見て「必殺チョコレート!」、または「チョコレート殺し!」、もしくは「食べ過ぎ&鼻血出すぎて死ぬのか?」と思ったアナタ。チョコレートが相当お好きなんですね。「体に塗りたくなって殺るんじゃないの?」と思った進歩的なアナタも、きっと気に入るデス・バイ・チョコレート。このアルバムの"必殺仕事人"であるマイク・オールウェイという人物は、80年代初冬にエブリシング・バット・ザ・ガールを発掘し、後半には英インディーズ『エル』レーベルを主宰するなどで、世に数々の60年代風カラフル・サウンドを送りだした人。日本でも人気者で、コーネリアスやファンタスティック・プラスティック・マシーンに影響を与えている鬼才だ。曲でつぶやきヴォーカルを聴かせてくれるアンジェラはなんとまだ10代の女の子、彼女の本当の職業は「女中」だとか…。彼らを知らずに一聴したら、頭の中でジャケット同様のチョコレート&赤&桃&橙&黄色のらせんがゆっくりと回りだしてきた。時折、ドアーズやモンキーズを思わせるオルガンやギターが入ってきて、なんともなま暖かい春の気配を感じる。(玉手)






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