NUMERO DEUX UROTANGE

UROTANGE DISC REVIEW 18 September.2001


"URO"は札幌の音楽情報発信グループ。おもな活動としては、フリーペーパーの発行や、毎週月曜21時より音楽情報プログラム「週刊U-ROCK(ウーロック)」を FMラジオカロス78.1MHzにて担当。2001年8月よりグループ名を"UROTANGE"がら"URO"(ウーロ)にあらためました。









NEW ORDER / GET READY

http://www.newordergetready.com/

ついにニュー・オーダーが還ってきた。70年代後半にジョイ・ディヴィジョンとしてキャリアをスタートした彼ら。その後、ボーカリストであるイアン・カーティスの自殺という悲劇を迎え、残されたメンバーで結成されたニュー・オーダー。数々のヒット作を生み出しつつも93年の『リパブリック』以降、活動休止状態となっていた彼らが再びシーンに戻ってきたのである。ピアノの旋律に静かに重なるシンセサイザー、それをバックにスキャットする女性。「美しい」と感じた瞬間、それをかき消すかのようにバスドラムがリズムを刻み、ギターがかき鳴らされる。CDをセットすると聞こえてくるオープニング曲「クリスタル」のイントロに、往年のファンならずとも思わず背筋にゾクッとするものを感じるのではないだろうか。パンク、ニューウェイブ、ロック、テクノといったジャンルが決して新しいものではない現代で、彼らの音はみずみずしく力強く響いてくる。常に新しいものに感動し、古いものは懐古として扱われる心の奥底に突き刺さるニュー・オーダーという存在。前作が発表された93年には19才だった自分が27才になった今でも愛すことのできるバンドのひとつだ。ゲット・レディ。英国の古豪が踏み出した新たなるスタートに触れる準備を皆さんにもしていただきたい。(児玉)


MO SOLID GOLD / BRAND NEW TESTAMENT

http://www.mosolidgold.com/

僕はほぼ毎日のようにビリヤード場へ足を運ぶほどビリヤードが好きなのだが、そんな僕にビリヤードの楽しさを教えてくれた恩人が休暇で札幌にやってくる。その恩人・Uさんは僕が以前勤めていた会社の先輩であるのだが、世間一般の常識からいえば非常に変わった男で、サラリーマンながらスーツは一着か二着持っているくらいで、腕や背中には刺青が入っていた。本人はいつも自然体で立ち振る舞い、人一倍の好奇心がそうさせたようだけの話だった。20代の終わりが近づきつつあるときに自分の進むべき道を見つけ、やはりフラリと数日かそこらでで身支度を整え、東京に行ってしまったのであった。彼はどんな人に対しても忌憚のない態度で接し、そのため非常に多様な人種の友人がいつも彼の周りにいるのだった。そしてそれまで真の平等や社会の黒い部分への疑問が大きく頭をもたげていた僕は思ったものだ。細かく深く考え、人と意見を交えようとする前にまずは気楽に色々な人とつきあってみるべきなのだと。それから僕は多くの人と話し、他人を楽しませることで自分という人間やこの世界をひとつのつながりとしてみることが出来るようになった。この貴重な出会いに近い体験を最近の音楽ですることができた。それが黒人・白人混合のバントが奏でる音楽だったからそう感じたのかも知れない。彼らの演奏や歌は完全にひとつにまとまっていた。「色」の特性(リズム・技術の黒人、メロディ、アイデアの白人)などという意識も感じさせない、それでいてやはり大きなスケールのある音楽だった。なにか爽快に魂が開放される感覚を覚えた。そしてそのバンド、モ・ソリッド・ゴールドのデビューアルバムのタイトルは『ブラン・ニュー・テスタメント(真新しい遺言)』と書いてあった。


BEN FOLDS / ROCKINユ THE SUBURBS

http://www.benfolds.com/

ベン・フォールズ35歳、元気になって帰ってきた! このたび日本の芸能界では華原朋美がテレビ「電波少年」でめでたく復活したけれども“ヒヨコ頭の吟遊詩人”ベン・フォールズも再生の道を着実に歩んでいる。2000年11月に突然、成功したバンド、ベン・フォールズ・ファイヴを解散し、通算3作目である『ラインホルト・メスナーの肖像』がひどく重たかっただけに、残念ながらこのまま先細りか・・・と忘れかけていたのが正直なところだった。しかし、この記念すべきソロ1作目で不安は解消。ベン特有のどこか胸の懐かしい部分をくすぐるメロディーは健在で、ダイナミックに連打されるピアノが一層みずみずしく感じられた。苦しかったバンド解散に正面から向き合い、乗り越えられた今だからこそ作ることができたアルバム。ほとんどの楽器をベンがひとりで演奏し、リズムマシーンを使った「アニー・ウェイツ」、ピアノを弾かずギターに持ち替えた「ヒロ・ソング」。ほかにもDJ参加の楽曲ありと、新しい試みも面白い。(玉手)








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