NUMERO DEUX UROTANGE

UROTANGE DISC REVIEW 23 FEBRUARY.2002


"URO"は札幌の音楽情報発信グループ。おもな活動としては、フリーペーパーの発行や、毎週月曜21時より音楽情報プログラム「週刊U-ROCK(ウーロック)」を FMラジオカロス78.1MHzにて担当。









PUDDLE OF MUDD / COME CLEAN http://www.puddleofmudd.com

「ニルヴァーナの再来か!!」-CDの帯に書かれたこのキャッチコピーにやられた。だから聴いてみた。リンプ・ビズキットのフレッド・ダーストが発掘し、昨年に全米で大ヒットした新人バンドの日本デビュー盤。果たしてどうか? 残念だが、ニルヴァーナがこの世に存在していたなら、こうはなっていなかったであろう。クリードやインキュバス、リンプ・ビズキットといったいわゆるアメリカン・モダン・ロックバンドが台頭する現代のアメリカのミュージックシーンに迎合はするが、なんの一石も投じられないのではないだろうか。なぜならそれはニルヴァーナすぎるから。子供が立ち小便しているあたかもニルヴァーナの『ネヴァーマインド』を狙ったかのようなアルバムジャケット。シャウトする声に故カート・コバーンのテイストがチラリ。どれもこれも新しくないのだ。なにより残念なのはサウンドのメジャー感。フレッドがかんでいる以上、仕方のないことなのだろうが、もしもニルヴァーナが今も存在しこんなサウンドだったならカートは今のようなロックスターにはなっていなかっただろうに。決して悪いアルバムではないのに残念である。「ニルヴァーナの再来か!!」などというキャッチコピーがすべての元凶だ。時代が新たなスター探しをしているのはわかるが、すぐに第2、第3という名を持ち出すのはもうやめにしてほしい。期待に対するガッカリ感は良いバンドの価値を下げてしまう。(児玉)


THE CHEMICAL BROTHERS / COME WITH US http://www.thechemicalbrothers.com/

これまで若干28年生きてきて、いろいろな音楽を聴いてきた。最初から洋楽を聴いていたわけではない。むしろ周りの友人より洋楽に出会った時期は遅いくらいで、小学校の頃は音楽などに無頓着、毎日泥まみれになって遊ぶことが生業であった。中学に入りTM NETWORKを、BOOWYをこよなく愛し、ブルーハーツやジュン・スカイウォーカーズの洗礼を受け高校に進む。それでもなお、米米クラブや筋肉少女帯なんかをウォークマンで聴きながら気分良く自転車で登校するような生徒だった。これらの音楽がすべてだった。しかし、(BOOWYににわかなるリバイバルの火がついているとしても)ここまで挙げた音楽は色褪せている。俺の中では終わっている。いや、洋楽に関しても。例えビートルズの「ヘイ・ジュード」だろうが、デレク・アンド・ザ・ドミノスの「いとしのレイラ」だろうが、ジミヘンだろうがニルヴァーナだろうが、今の俺の琴線をつねに揺さぶりはすれどもそれは決して新鮮ではない。 音楽(ここでは音楽に絞るが)はどんなに素晴らしい曲も色褪せる。とくにテクノやハウスなどに代表されるサンプリング中心の曲は時代の中枢、奥底に誕生するものである分、時が経つと古さが目立つ。だからこそその手の曲はリリースされてすぐに聴いてこそ価値があると感じるのである。音楽的人生の贅沢の粋を味わう神髄はここにある。全世界的に最先端中の最先端をいくケミカル・ブラザーズの新譜『カム・ウィズ・アス』。きっと賞味期限は短い。だからこそ楽曲すべてに直視できないほどの輝きを受ける。贅沢の極致、音楽界のキャビア。旬を味わうことはあなたの感性を磨くことでもあるということを噛みしめながら聴いて欲しい。(城山)


NO DOUBT / ROCK STEADY http://www.nodoubt.com/

「なんじゃコリャ〜!」と松田優作扮する“ジーパン”は殉職する前に叫んだ。同じように私がこのノー・ダウトの新しい4作目を聴いたときも、「なんじゃこりゃ〜!」の心境であった。つまりノー・ダウトは変わってしまっている。ノー・ダウトといえば、米・カリフォルニア州オレンジカウンティ出身。他の同郷バンドよろしく青空とタンクトップが似合い、スカ・ポップを勢いよく演奏していた。しかし、今度は太陽光線の代わりに“ミラ−・ボール”が煌々と輝き、その真下にはボーカルのグウェイン・ステファニー姐さんがアゴをつんとしながら踊り続けている。結成15年目にして、自分たちのルーツと考えるレゲエを新旧まとめて取り入れ、初めての海外レコーディングで本場ジャマイカにも行った本作。スライ&ロビーやプリンスまでも起用した豪華プロデューサー陣に身を委ねても、しっかり“ノー・ダウト色”に染められている。好き嫌いこそあれ、この“変わらなきゃ“っぷりは潔くてよろしいなぁ。(玉手)






|urotange TOP| |CONTENTS|