NUMERO DEUX URO

UROTANGE DISC REVIEW 24 APRIL.2002


"URO"は札幌の音楽情報発信グループ。おもな活動としては、フリーペーパーの発行や、毎週月曜21時より音楽情報プログラム「週刊U-ROCK(ウーロック)」を FMラジオカロス78.1MHzにて担当。









ALANIS MORISSETTE / UNDER RUG SWEPT http://www.alanis.com

昨日という日を過ごし、今日という日を迎えることで明日はやってくる。昨日という日を無駄に過ごした者は今日という日に何も残らず、空虚な明日という日を迎える。未来を見据えることはただ単にビジョンを示すだけではいけない。今日までその素養を培ってこそ、土台を固めてこそ、夢は現実になり、私たちは生きることの素晴らしさを感じる。  アラニス ・モリセットの3rdアルバム「アンダー・ラグ・スウェプト」のライナーノーツには彼女の言葉が載っている。1stは「自分の中の感情を白黒はっきりさせて吐き出した作品」、2ndは「灰色のままの感情を吐き出した作品」であるという。3rdアルバムは「さまざまな感情が描かれた虹色」だという。その昔「コンセプトアルバム」という言葉があった。それまでロックにはアルバムに曲を入れた、というだけのモノであったのだが、ピンクフロイドなどがアルバム全曲を通してひとつのテーマを表現することにこの名前が使われた。時が経ち、この意識は当たり前のものになった、と言われている。しかし実際は明確な意識をもってアルバムを作り出すアーティストは少ない。アラニスはアルバムごとに自分の感情を主題としたテーマを提示している。昨日を生きて、今日を生きて、明日に活かす。このアルバムを含めた3作品を聴くことで、その意味を知る。(城山)


HUMAN LEAGUE / SECRETS http://www.papillonrecords.co.uk/frameset1.html

ロックの歴史は楽器の進化である。これは僕がずっと思い続けている音楽観である。ここ数年はパソコンというツールが誕生し、それを駆使したサウンドが台頭している世の中である。皆さんもわからなくもないであろう。歴史をさかのぼるといわゆるシンセサイザーという楽器が生まれたころに“テクノ”というジャンルが生まれた。エンヤや喜多郎ら“ニューエイジ”も同様だ。80年代に入り、ポップソングにシンセサイザーを取り入れたサウンドがアメリカを席巻した。いわゆる第2次ブリティッシュ・インベイジョンである。そして、そのムーブメントの時にデュラン・デュランやペット・ショップ・ボーイズなど人気グループが世界的にブレイクするきっかけを作ったのがこのヒューマン・リーグだ。「愛の残り火」という全米No.1ヒットを送りだし、引導を他のグループに引き渡した。そのヒットからきっかり20年。コンピューターという新しいツールを用いたサウンドはどこか懐かしくもあり、そして新しい。新たなツールを手にしたエレクトロ・ポップ。オシャレに対する感覚は80年代の当時のまま。しかし、ヒューマン・リーグの音楽は楽器ともに確実に進化している。(児玉)


TEENAGE FANCLUB & JAD FAIR / WORDS OF WISDOM AND HOPE http://www.teenagefanclub.com/

イギリスはスコットランド出身のギター・ポップ・バンド、ティーンエイジ・ファンクラブ(以下TFC)が久々に新作を出した。ワクワクと試聴すると…何なんだこのトホホなヴォーカルは、と一瞬驚く。それもそのはず、本作は70年代からアメリカのアンダーグラウンドで活動していたジャド・フェアーという、いわゆる“アーティストズ・アーティスト”が作詞を担当し、歌っているからであった。この“往年の吟遊詩人”ジャドの上手いのか下手なのかよくわからない、つまりは微妙に味のある歌声を触媒にして、TFCは演奏に心底楽しんだのであろう。いつになく肩の力が抜けた状態で生み出された旋律は、ジャドのヴォーカルの横で自然に鳴っている。「あぁ、僕はキミのスーパーマンになりたいよ」「愛こそはすべてなんだから」などとこんなにメロメロな世界でどうしよう、というくらい愛の歌が14曲。ボーナストラックにはビートルズの引用も登場するハッピーな1枚なのだ。(玉手)






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