NUMERO DEUX URO

UROTANGE DISC REVIEW 25 .JUNE


"URO"は札幌の音楽情報発信グループ。おもな活動としては、フリーペーパーの発行や、毎週月曜21時より音楽情報プログラム「週刊U-ROCK(ウーロック)」を FMラジオカロス78.1MHzにて担当。









KING CRIMSON / LEVEL FIVE

"ニューメタル"などという言葉で表現されるバンドがある。いきなり本題だが、今回のキング・クリムゾンはニューメタルへのアンサーなのか「ヌーヴォーメタル」を標榜し、アルバムを発表した。

クリムゾンを崇拝するというニューメタルの旗手・トゥールへの解答なのか、それはわからない。さらにいうなら、何が「ヌーヴォー(新しい)」なのかわからない。ただ、このアルバムは90年代クリムゾンのまるで理解できなかった音楽性からは脱却し、かなりハラハラするテンションを感じ、キレがありながらも深く重厚な音が終始織りなされている。

さて、皆さんはクリムゾンをご存じかどうか? 恐らくそれほど馴染みのあるバンドではないだろう。まるで知らなかった、という方が多いんじゃないだろうか? 対して「ボジョレー・ヌーヴォー」と聞いて、それがワインであることを知らない方は少ないと思う。毎年毎年、まあワインに限ったことではないが、旬のある食品は「新作」が出る季節がある。それは一年限りの「新しさ」であることは誰もが理解できるだろう。新米は2年経てばただの米。

今回のヌーヴォーメタルという言葉。まさに俺のイメージはここにある。現時点での新しさを追求していても、それは本当の新しさではない、という裏付けとして、この言葉を使っているのではないだろうか? クリムゾンのフロントマンであるロバートフリップは「ロック」というものを終わらせようとしているのではないか? という程、ロックを追求し続けていたと思っていたが、その「終焉の予測」に対する解答と考えてもこのテーマ(ヌーヴォーメタル)はおもしろい。(城山)


ジョン・スペンサー〜(以降ジョンスペ)は妙なバンドである。 1.バンド名を日本語に訳すと"ジョン・スペンサーのブルース大爆発"
2."ブルース"と掲げているのにパンクからヒップ・ホップまでを網羅したサウンド
3.ギター2本でぶっとい音を出しているので、ベーシストが不在

これはジョンスペ流・男の美学であり、ゆるぎない個性。これってすごく格好いいことで、時に悩める青少年というものは「自分は何がしたい? 何をできるのだろう」と部屋の天井を仰ぎながら涙を流す生き物。

だから「イエー!オーライ、ロールしようぜ」となりふり構わずロックできるジョンスペは私たちの憧れの的である。そもそもジョンスペは80年代にNYのアンダーグラウンドで活動していたジョン・スペンサー中心の3人組。一触即発、火花がパチッと出そうな刹那に思い切りギターをかき鳴らし、ブンブンとグルーヴを生み出すバンドは唯一無二。

まさに90年代を代表するジョンスペが、今回3年ぶり6作目にきて原点に戻ってきた。曲ごとに違う7人のプロデューサーを立てた実験的な前作「アクメ」から、明らかに単純化の方向へ。プロデューサーにキース・リチャーズの仕事で知られる黒人ドラマー、スティーブ・ジョーダンを迎えて、削ぎ落とされた音はまさに骨と皮状態。男30半ば、まだまだ「ロックオン!」という気負いが伝わってくる。来る6月のZEPP札幌が楽しみだ。(玉手)


BAZAR / ひょうろくだま

僕が彼らと出会ったのは一昨年のことだ。とあるライブハウスに出かけ、知人の対バンとして登場してきた彼ら。数組出演していたどのバンドよりもしっかりとした演奏力、そして楽曲の心地よさ。それらはすぐに僕を魅了した…それから約2年あまり。BAZRAは全国へと船を漕ぎ出した。

元々は"熱唱歌謡ロック"と銘打っていた彼らのサウンドも、今ではカテゴライズ不能のオリジナルなアーティストへと昇華している。この「ひょうろくだま」から聞こえてくる彼らの鼓動は強く、そして勢いがある。ビートを刻む三枝拓也のドラム。うねる三浦謙太郎のベース。そして歌い狂う井上鉄平のボーカル&ギター。

4月後半に発売されたROCKIN' ON JAPAN、BOUNCEなどなど主要な音楽雑誌でも大きく取り上げられていることからも彼らに対する全国的な注目度をうかがい知ることができる。イースタン・ユースやカウパーズらの台頭で札幌のインディーズシーンが再び注目を浴びていた今日。

BAZRAはますますそれに拍車をかけることとなりそうだ。初めて出会ったときは札幌の音楽大好き青年だったBAZRA。このレビューを見た人はぜひとも彼らの音楽に触れてみて欲しい。音楽がいかにすばらしく楽しいものかを彼らは素直に体現している。自らを「ひょうろくだま(このひょうろくだまめが!みたいなろくでなし的意味)」と名乗る札幌出身の3人組のこれからの活躍を心から応援したい。(児玉)






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