NUMERO DEUX URO

UROTANGE DISC REVIEW 27.September


"URO"は札幌の音楽情報発信グループ。おもな活動としては、フリーペーパーの発行や、毎週月曜21時より音楽情報プログラム「週刊U-ROCK(ウーロック)」を FMラジオカロス78.1MHzにて担当。









PRIMAL SCREAM / EVIL HEAT

ビートルズはなぜスゴイのか。確かにあれだけ完成度の高い楽曲を世に送り出した功績はスゴイ。だが、それだけの理由で今も世界のトップバンドとして名を馳せている訳ではないはずだ。ジョン・レノン、ポール・マッカートニー、ジョージ・ハリスン、リンゴ・スターというそれぞれのポップメイカーが解散後も数多くの名曲を創り出し、活躍した結果がビートルズというバンドを今の地位に君臨させている。ジョンもポールも解散後にさほどのヒットも放たず、消えてしまっていたら、こんなにもビートルズは愛されていないのではないだろうか。そんなビートルズのようにバンド解散後、スターが生み出されることは非常に多い。だが、スター同士がバンドを形成するというビートルズとは逆の場合、なかなかうまくいかないことの方が多い。なぜか? 理由は地位を確立したアーティスト同士が保守的に取り組んでも聞く者へ対し、何の躍動感も与えないからだろう。それはその場限りの自慰的行為で終わっているビッグバンドに例を見ることができるはずだ。元ストーン・ローゼスのマニ、元フェルトのマーティン・ダフィー、元ジーザス&メリーチェーンのボビー・ギレスピー、そしてマイ・ブラッディ・バレンタインのケヴィン・シールズを加えたプライマル・スクリームはまさにそんな「ドリーム・チーム」のひとつだ。だが、彼らは前述のバンドとは違うオーラが、そしてパワーがある。パンクという反骨精神の下、テクノやエレクトロニックといった現代サウンドを取り入れ、常に前進を続けているからだ。音楽を楽しみつつも、常に前を見続ける姿勢。それこそがプロフェッショナルであり、真の音楽であるはずだ。現代のロックがこのアルバムには宿っている。(児玉)


DEF LEPPARD / X

俺の思い。未だ一通も感想を頂いたこともないレビューを書きつづけている意味。「洋楽を多くの人に聴いてもらいたい」。これ。しかし、こう文字にするとなんと陳腐なことか。なんと、チープな表現だろうか。なぜそんな簡単なことに躍起になっているのだろうか。この俺の文章を見てくれる方々に洋楽の素晴らしさを教えて何になるのか?いや、そもそも洋楽を素晴らしいと思っている理由は何だろうか。それは悲しいことに俺が英語を理解できないことにある、という気がする。パッと聞いて意味がわからない外国の文字の羅列を和訳歌詞でチェックし、更に気になる詞については自分で訳して自分好みに解釈したりしているのだが、このように完成された彼らの歌詞に自分の意識を埋め込むスペースがあるという部分に"おもしろみ"を感じているところが、俺の洋楽を愛する原点である、と感じるのだ。俺の意義はこの楽しさを伝えたい、ということにあるのだ!良い意味でも悪い意味でも自分の意識を織り込む隙間が極端に多い作品。ただ、透けるほど目の粗い織物ではなく、とてもとても細い糸をびっしりと織ることで向こうが透ける織物、というところか。(城山)


RED HOT CHILI PEPPERS / BY THE WAY

関東は梅雨明けし、急にこれまで以上の暑さになった。関東から関西にかかる梅雨前線がそのまま自然消滅する年は平年より低めの夏となり、太平洋の高気圧に押し上げられてから北の方で消える年は猛暑になる。昨日見た天気図で梅雨前線は高気圧の張り出しで東北にあった。だから今年は猛暑になるだろう。雷、台風にはじまり、地震や災害など、自然は予期できない動きをしている感はあるが、大きな目で見ると、おおよそ一年の同じ時期に秋になり、冬になり、春になり、梅雨を迎え、こうして夏が来る。我々の人生を含め、万物は大きくとらえるとすべての事象が当たり前の動きをしているのかもしれない、と、そう感じるようになった。奇人、変人のようだったレッド・ホット・チリ・ペッパーズの今回のアルバムは大人しくなったと残念な驚きで迎える人が多いのだが、人はいつまでもナイフのような切れ味を持続するものではなく、これは来るべくして来た人間としての変化にすぎない。ここは彼らにとっての転機であり、転機でしかない。そう感じて聞いてみれば良さがわかる一枚となっている。この夏、梅雨が明けた苗場に彼らはやってくる。ライヴでの彼らはまだまだ突然我々を襲う天災のような激しさを持っていることも付け加えておこう。(城山)






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