INTERVIEW

027 札幌フリーペーパー事情

2007.07.02

札幌のホットなフリーペーパーを調査

    札幌のカルチャー系フリーペーパーをチエックしているだろうか?残念ながら、あまり盛り上がっている状況とはいえない。これは情報がないというよりも、そのへんのインディペンデントなカルチャー情報はどちらかといえば、インターネットのウェブサイトの形で提供される場合が多くなっている。しかし、「紙」という実体をともなう媒体も非常に魅力的ではないだろうか。現在、札幌で意識的に「紙媒体」に取り組んでいるフリーペーパー「TATAMIX」のエディター後藤道子さんと、売り物であるカルチャー誌「タイガーマガジン」と平行してフリーペーパー「TIGER FANG」をリリースしたタイガーコーポレーション濱元代表に「おたがいの野望」についてコメントをいただいた。最後にプレゼントのお知らせもあります。
text by Shinichi Ishikawa(NUMERO DEUX)


NUMERO DEUX SPRCIAL 027
Sapporp FreePapaer Re-search
取材日時:2001.06.01(fri)
取材協力 (株)下岡事務所/(有)タイガーコーポレーション
Photograph by NUMERO DEUX
NUMERO DEUX net magazine Copyright.



「TATAMIXの野望を教えてください」

Michiko Goto(TATAMIX)

    制作の立場からいうと野望と呼べるような明確な目標はないのです。企画は思いつきですし(笑)。今回はTシャツを作りたいね、と皆で話してみてやってみたという感じです。大体デザイナーの佐々木さん(extra design)との話し合い…というよりヒラメキ合いというか、かなり行き当たりばったりでエディターとデザイナーの境界も曖昧な形で制作しています。そこが刺激的に感じることもありますし、ゼロから思いついたものをどう作っていくか、というのは好きな作業です。「タタミクス」は大きなムーブメントを作ろうとして始めたものではないので、逆にこっそり反応が返ってくるのがうれしいです。ターゲットは最初は、高校生くらいのハイティーン向けに作ろうと思っていたのですけど、実際の反応はもっと世代に幅があります。最近は札幌に限らず、関西や九州からもメールを頂いたり、「私もフリーペーパーをつくっているんです」 という方からペーパーをいただいたりして、それは本当に嬉しいです。(メディアとして)インターネットのウェブサイトと、フリーペーパー全然違うものだと思います。やっぱり実際手に取ってみれるモノって物欲をかき立てると思うのです。大きさやデザイン、色だとかさわり心地がというのはペパーの良さですね。そのへんの楽しさを追求していきたいです。「タタミクス」のような小さい媒体が身近に他にもたくさん出てきたらおもしろいなあと、思います。子供の頃に友達と雑誌を作って空想でインタビューしたりして遊んでいたことがありました。でも、その頃はそういう仕事をしたいとかは考えていなかったのに、今こういう仕事に流れ着いたのが不思議です。昔から、自分がみて面白いと思ったことを人に教えたいという性格ではありますね。

「TIGER FANGの野望を教えてください」

Masahiro Hamamoto(TIGER FANG)

デジタルの進化と普及により紙媒体は消えていく、それは当然のことです。社会的に考えても、紙媒体の消滅は廃棄材を減らすことに繋がり、個人的にいうと、親戚のおばさんの家からチラシで作ったへんてこなインテリア雑貨(?)が消える。すばらしいことなのです。なのに何故「紙」なのか?紙媒体は情報流通の手段たけでない気がしている。うまくはいえないが「紙=時代感覚」、おっさん風にいうと郷愁(?)のように思う。なんでも鑑定団の影響を受け、巷では骨董品と共に古いマンガや雑誌も高値で取り引きされている。そこに情報を求める人はおらず、単純にその時代を感じて楽しんでいる。なんかほのぼのしてていいじゃないですか。フリーペーパーは、捨てられる可能性が非常に高い。しかし、素敵に「今をパッケージ」していければ、それは残るものになって、30年後に笑えるものになるんじゃないかと思って、ごく少数のペーパーマイスターたちと制作に励んでいます。

"TATAMIX"
発行:3ケ月1度
おもな配布場所:タワーレコード・ピヴォ店、ファブカフェ、カスタネットなど。
詳しいお問い合わせ先:http://www.tatamix.jp.org
※2007.9.11現在休刊

"TIGER FANG"
発行:奇数月発行
おもな配布場所:ファブカフェ、アパレル系ショップなど。
詳しいお問い合わせ先:tiger@mb.megafit.net
※2007.9.11現在休刊

   

after hours
取材を終えて

「紙は良いねぇ、と思う」。iMODEがひとり勝ちしようが、ADSLがISDNの10倍でネットに接続できようが、僕はペーパーメディアというのは魅力的だし、無くなることは決してないと思う。特にクリエィティブなメデイアでは「紙」というスタイルが、実世界での電子化が進めば進むほど「紙」という素材をセレクトすることが、強い意味を持つことになるだろう。
inteviewer SHINICHI ISHIKAWA(NUMERO DEUX)

   


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