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NEWS No.180203「林 紗綾香 / 空ろ木の花(うつろぎのはな)」

2018.02.21


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隠されたコミニュケーション
コミニュケーションが隠される。

最近、ベッドの枕元にスマートフォンを置くのをやめた。そんなに深い意味はないが、そこにあるとついつい使いすぎてしまうからだ。使うこと自体悪いことではないし、それは好きな行為でもある。でも、好きなことが必ずしも自分に良いことにつながらないこともある。ベッドの中のスマホはそんな行為だった。僕は寝ながらSNSに反応し、メールに返事をする。そう、寝ながら。そこには風景はなく。指と液晶ディスプレイだけが浮かび上がる。

私達は、日々たくさんのコミニュケーションをおこなう。人と人は交流する。口から言葉を使って。カラダを使って。機械を使って…多くなれば、なるほど僕達の感覚は麻痺していく。きっと、大昔のコミニュケーションとは、一大事ではなかったのか。スマホどころか、電話もない手紙もない時代。その当時は「その時」に人の口から出る言葉、仕草というのは、とても大切に扱われたと思うのだ。物理的距離もこえられず、記録もされないコミュニケーションというのは、なんて貴重なものだろうか!

林 紗綾香(はやし さやか)の本作では、2つの「窓」に映る情景を描くビデオインスタレーション作品となっており、1日という時間の流れの中で昭和の日常を映し出す内容となっている。平成も終わろうとしている今。なぜ「昭和」なのか。それはきっと、わたしたちがもっともリアルに感じられる「昔」ではないだろうか。「昭和あるある」という思想は、昭和を否定するものでもなく、否定するものだはない。そこにはあるのは記憶であり、記録である。本作にミニマムな中に浮かびあがるイメージはなんとも愛しく、ノスタルジックと同時に現代的でもある。つまりここにあるは「普遍」のイメージなのだ。僕は現代のアートにおいて「普遍を表現」するというのはとても大事なことだと思っている。なぜなら、スマホ片手に生活する僕達がもっとも忘れるのが「普遍」だからなのである。僕がベッドからスマホを手放したのは「寝る」という普遍の発見だったからかもしれない。

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Text by  メディアリサーチャー石 川 伸 一 (NUMERO DEUX)

「JR TOWER ARTBOX  林 紗綾香  /  空ろ木の花(うつろぎのはな)」
会期 : 2017年12月1日(金)~2018年2月28日(木)
会場:JRタワー1階東コンコース(JR札幌駅直結)

 

 

 

NEWS

「 絵本『くものもくもくん』制作とマネジメント」<1.はじまり〜制作>

2018.02.16

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▲ 絵本「くものもくもくん」

本記事は以下5つの記事になっています(リンク先今制作中です)
<1.はじまり〜制作>
<2.プレ発表〜出店>
<3.宣伝を考える>
<4.イベント制作〜準備>
<5.イベント出店〜当日>

1.はじめに。
「絵本を自分でつくりたい」という人むけの記事です。

僕はメディアに関する活動をしております。最近の活動のひとつとして、室蘭在住の絵本作家「ちなころ」さんのデビュー絵本「くものもくもくん」制作とマネジメントをおこなっています。いろいろはじめての体験を重ねながら、作家や協力いただける方と楽しくやっています。おかげで、LINEのアカウントも作りました!これから書く記事は「自分で絵本を発行してみたい」という人には参考になるかもしれません。はじまり。はじまり。

「くものもくもくん」インスタグラム
https://www.instagram.com/moku_mo_kun/?hl=ja

「くものもくもくん」ミンネ販売サイト
https://minne.com/items/11744794


2.きっかけ
それは突然というよりも。ひとつの流れ。

私の仕事上の知人で、絵本をつくりたい!という女性がいました。彼女は特にクリエイティヴな職種という訳ではないですが、趣味で手作りアクセサリーをつくって展示販売会に参加した経験のある器用な人です。彼女は手書きで絵本を書いて、それを自分で撮影して。それをフォトブックのサービスを使って絵本の形として1冊作っていました。

ただ、この方法では一冊のコストがとてもかかります。また、文字のレイアウトにも制限がありました。そこで彼女は本格的な自費出版を考えて、インターネットをつかって絵本の自費出版の会社を探していました。このあたりで僕はこの彼女の絵本の話を耳にしました。彼女は自費出版のために結構な自費予算を考えていました。それは正しい。

一般的に自費出版できちんとした印刷で作り上げれば、かなりのお金が必要です。そこで、僕は彼女に提案してみることにしました。僕はちょっと彼女の活動に興味を持ちました。そこで、僕は彼女に提案してみました。僕が彼女の自費出版を手伝えるかもしれない。ただ、もちろん、僕にできること、できないことがありますから、そこはよく話し合って、それでもよければやります、ということで慎重に話は進めました。その結果、お手伝いをやらせていただくことにまりました。その概略は、原画から印刷データーの作成、絵本の判型、紙、レイアウト、構成等編集、印刷業者の発注。そして、印刷刷り上がり後に宣伝等のマネジメントも頼まれて、現在それもやってます。


3.絵本「くものもくもくん」
絵本の制作のプロセス
そこは似ている…いつものメディア作りと同じかな。

この絵本は、本当にちいさなお子さんをターゲットにした絵本です。そこは作家自身に確認をしました。制作のプロセスとしては、まず作家さんから手書きの原画をいただきました。これを印刷用のデーターにする必要があります。原画の性質からスキャナーでは難しそうでした。ですので簡易撮影ブースを使って一眼で撮影、データー化しました。

そして、ページ構成、文章面のフォント選び、紙の選定等をおこない入稿をおこないました。印刷業者はグラフィックです。それまでの絵本作家さんの対面の打ち合わせは3〜4回だったと思います。メールでは気がついた時によく連絡をとってました。facebookのメッセンジャーがGmailでした。色校を経て作家さんの自宅に納品しました。刷り上がって納品された時は、最初の楽しみです。でも、これは「始まり」なのです。これからいかに本を「宣伝」する、という活動に移ります。

今の世の中、絵本を作るのはお金さえあれば簡単です。それを宣伝すること、いいかえれば絵本(メディア)を作って他者とコミニュケーションすること。人と人のコミニュケーションするのが難しいように、人とメディアも難しいのです。

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▲「くものもくもくん」ストーリーは、くもの「もくもくん」と小鳥の「ことりさん」との会話で進んでいく少し不思議なお話です。A5サイズ・オールカラー26ページ。


4. NEVER MIND THE BOOKS
自主制作の発行日を守るには?ちいさなコツ 

ちょうど制作時期に、リトルプレスの出品イベントNEVER MIND THE BOOKS 2017  の開催日が告知されていたので、それに出品することを予定して制作を進めました。自主制作というのは締め切りが無いようなものですから、どうしても進行が遅れます。こういった目標があったほうが制作がスムーズに行くかと思います。作家はアクセサリーづくり等もできる人だったので、絵本と一緒にオリジナルの「くものもくもくん」グッズも作って販売をすることを勧めました。

5.絵本のために世界観をつくる。
  そのためのグッズやイベントを考える

このグッズもつくる、というのちいさな、そして同時に大きなアイディアでもありました。なぜなら「くものもくもん」を単なる絵本として捉えず「くものもくもくん」というキャラクターや世界観(イメージ)をグッズやイベントで展開して、結果的に「絵本」につなげるのがいいと思いました。絵本というよりも「くものもくもくん」というキャラクターでお客さんとコミュケーションするのです。

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▲ NEVER MIND THE BOOKSでの出品の様子(2017.10.1)
        絵本とそのグッズと一緒に展開した。

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▲ オリジナルグッズのひとつ「くものもくもくん」フェルト製。

6.PRの基本方針を考える
基本は作家の直売りだと思う。

絵本ができたら、本格的な宣伝を考えないといけません。作家自身からの頼まれたので、そのへんもやってみることにしました。まぁ、スタンダートにお店に委託販売する、ということも考えました。東京にはこうしたインディペンデンントな絵本を取り扱う専門店も知っていました。また、雑貨店等扱ってもらう、というのもありだと思いました。ただその委託手続きをして、置いてもらえたら、ただ、いきなりそれで売れると思えません。

あらためて書店の絵本コーナーを眺めてみる。すると、昔からあるスタンダートな絵本が強いな、と思いました。たしかに、世の中の母さん、お父さんは自分も読んだ絵本を子供に読ませたいと、と思うのは自然な感じがします。それで、結果的にスタンダートな本が強いのかなと思いました。まずは、いきなり委託販売先の開拓よりも、宣伝も兼ねた作家自身の手売り、イベントでの販売をを中心に進めることにしました。

なぜなら、委託の手続きをしても、それだけで売れるとはまったく限らないなことです。いろいろなお店をめぐって相談して、委託手続をすれば全国におかせていただけるお店はそれなりにあると思います。でも、それは決してゴールではありません。売れずにただ埋もれていく可能性のほうが高いです。結局、人の手にわたらなければ意味はないのです。

もちろん、知り合いで好意的に長い目で扱ってくれるお店がある。または、立地の良いお店で置かせてもらえそうなところがある、という事情があればとりあえずひとつ販売先をつくる、というのがありだとは思いますよ。後は容易に作家自身でネット販売をする方法もあるので、まずは作家自身の直販の流れで進めていって、それから書店等に委託販売を考えたほうがいいと思います。

僕は「絵本」のいいところは、流行や時代の流れの影響を受けないことです。「くものもくもくん」は、今日読んでも、1年後、10年後読んでも良い絵本だと思ってます。だから、長期的な視点で宣伝を考えることが可能なのです。

7.イベントを考える。「絵本」といえば読み聞かせ!
すべては初体験。

絵本作家においてイベントとは。ライブとはと考えると、それは「絵本の読み聞かせ」だと思いました。そこで読み聞かせをおこなえる場を考えました。インターネットで探してみると、室蘭で「タンネ」というNPO法人が運営するフリースペースがありました。

「タンネ」というフリースペースで、そこは文化的なイベントがいろいろおこなわれており、安い料金で借りれそうでした。また、いろいろなネットワークも持っていそうなところでした。そこで一度会場の見学も含めて対面でご相談することをメールでおねがいしてみました。そして、平日の夕方、お話をさせていただきました。そこで、会場を借りることについてのほか、このスペースを運営しているNPOで、今年2月17日(土)に室蘭市民会館にて「たねフェス」という主催イベントをやるので、そこで読み聞かせのイベントをやらないか?というありがたい提案をいただきました。

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▲ もくもくんの「絵本読み聞かせ」を、NPO主催の「たねフェス」という市民会館全部を借りきったイベントの中でやらせていただくことになりました。フライヤー制作タイミングの都合で、「くものもくもくん」詳しいインフォのせることができませんでした。ですので、PRのために独自のフライヤーをつくることにしました。フライヤーを作るには、おこなうことを確定させる必要があります。

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▲「たねフェス」でのもくもくんの専用フライヤーをつくりました。読み聞かせだとすぐ終わってしまうので、他の出し物も用意。いっしょに遊べる「巨大もくもくん」「もくもくんストラックアウト」「オリジナルもくもくんをつくろー」があります。

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▲「巨大もくもくん」(+絵本作家 ちなころ)
一緒にスマホ等で撮影して楽しんでもらいます。インスタ映えしますよ。

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▲ もくもくんストラックアウト。作家の知人が作ってくれました。
ちいさなお子様でも遊べるサイズです。

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▲ 作家&スタッフ用オリジナル「くものもくもくん」
エプロンを作ってみました。

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▲「オリジナルもくもくんを作ろう」のワークショップ素材と作成見本。

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Text by
アート・メディアライター  石 川 伸 一 (NUMERO DEUX)

 

 

 

 

 

NEWS

NEWS No.180202「図書館はカフェである〜 平成29年度室蘭工業大学市民懇談会 」(3)

2018.02.12

 

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平成29年度室蘭工業大学市民懇談会
そこに出席して考えたことを、
3回にわたって書いていきます。

図書館はカフェである、
と考えるとわかりやすい。

みなさん。図書館にいきますか?僕は両親が図書館好きだったので、子供の頃からよくついていって借りてました。父が転勤族だってので、いくつかの土地に住んだことがりあります。引っ越して最初のほうに確認するのが図書館の場所。それぞれ住んだ先の図書館の思い出があります。東北に住んでいたころ、そこの図書館は札幌より大きくて立派だった記憶があります。大学時代のヒマな時は大学の図書館でよく時間をつぶしてました。そこでいろいろな本を読めたことは、財産になっている。

社会人になると図書館に行く機会は少なくなりました。でも、最近増やそうかと思っています。図書館は、今の時代はなんのための場所なのでしょうか??

僕は室蘭工業大学市民懇談会の委員をしています。本会は大学と地域がともに発展するため、広く地域の方々と意見を交換することを目的した会議。室蘭・登別・伊達の3市の市長、商工会議所、教育関係者、メディア関係者と同大学の委員で構成。大学の会議室で実施されています。その内容は、大学側の地域にむけた取り組みの報告(教員の研究紹介、学生の活動報告)と委員と大学の意見交換である。今まで2回コラムとして書いてきました。リンクは以下です。お金は一番大切か?〜平成29年度室蘭工業大学市民懇談会 」(2) エビデンスがないと生きられない平成29年度室蘭工業大学市民懇談会 」(1)

本会議の後半は僕のような外部委員によって提案や議論がされる時間となった。その中で印象深い議論があった。それは図書館のことであった。登別市長から、室蘭工大の大学図書館をより外部の一般市民が利用しやすい仕組みをもってほしいという要望があった。

具体的には現在、室蘭・登別・伊達のそれぞれの市の図書館は、相互間に図書の貸出・返却が可能となっている。つまり、いつれかの3市の図書館で利用のカードを作る。すると前記3つの市の図書館でそのカードで借りることができる。加えて、返却も伊達の 図書館で借りて、登別の図書館で返すこともできる。 これはなかなか便利なこと。例えば、僕の住まいである登別は伊達と距離はある。伊達のドライブに行った時、伊達の図書館で本を借りる。返却は僕の自宅の歩いて10分くらいのところに登別の図書館分室がある。そこで伊達の図書館で借りた本を返すことができるのだ。

話を戻すと登別市長の要望はこの3つの市のネットワークに室蘭工大の大学図書館も入れて欲しいということだった。その理由としては大学図書館には市の図書館にはない専門書があり、これも市民と共有できるとメリットがあるということだった。僕は思った。現在の図書館の利便性を高めることは何の意味があるのだろうか?

読み物は今インターネットにあふれている。今はもうパソコンを立ちあげなくてもスマートフォンでどこでも読める。ネット発信の情報だけではない。電子書籍によって図書館のあるような書籍も読むことができる。では、今の図書館の存在意義はどこにあるのだろうか? まず浮かぶのは「無料」ということだろう。これは大きい。電子書籍でも図書館にあるような本はほとんど有料だと考えられる。おおきなメリットだ。

図書館はただ本を借りるが無料というよりも、図書館という「空間」を無料で利用できるのより大きなメリットではないだろうか。図書館はふらりと入って、開館時間中なら何時間いてもいい空間。僕も若いころ、図書館に半日ぐらいはよくいたことがある。それなら借りて家で読めばいいのでは?と思うかもしれない。でも、本を借りても読書する空間を用意しないといけない。図書館内なら本とそれを「読む時間」も確実に確保できる。(なぜか、自宅では読書が進まない時があるよね)。

もちろん、図書館利用のマナーには気をつける。混雑時には長居はできない。図書館によって状況は違うと思うけど、僕の経験でいえば、平日の図書館のただ椅子だけの読書スペースなら混雑することは少ない。僕の今住んでいるところの図書館なら土日でも読書スペースのほとんどの時間5割くらいは空いている。だから、安心して長居ができる。図書館で過ごすのいい余暇の使いかだと思う。

ここまで書いて図書館って、どこかカフェっぽいなと思う。ひとりカフェでおこなう行為…お茶を飲んだり、考え事をしたり、本を読んだり…それらは実は自宅でも可能である。でも、僕らはカフェに行く。それはなぜだろう。それと同じなのが図書館に行き、図書館で本を読むことではないか。読書は図書館を利用しなくてもできる。でも、僕らは利便性だけでは生きられない。

図書館に行くという行為、図書館で本を読む体験。そういった「制約」が実は行動を深く、意味を持たせることがある。読書というパーソナルな行為を、本を借りに行く、図書館で本を読む、というパブリックな空間に身を置くのは感覚が違う。例を書くなら図書館で読書をしていた時、ふと利用者の方が目に入ったり、本棚に興味のあるタイトルに気がつく。そこに読書と「プラスアルファになる気持」があるのだ。室蘭工大の大学図書館も、そういった図書館=カフェとなる存在になってくれると嬉しい。   

ishikawa Text by アート・メディアライター  石 川 伸 一 (NUMERO DEUX)

平成28年度室蘭工業大学市民懇談会
会期 : 2018年1月17日(水) 会場:室蘭工業大学

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