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NEWS No.17036「ART BOX 越澤秀『WONDERFUL HOKKAIDO』」

2017.08.06

ART BOX 越澤秀「WONDERFUL HOKKAIDO」

地元の人間が、地元の魅力を書く。今の時代、これはなかなか難しい。世界遺産でもあれば、それを書いておけばいいのか。ネットで高スコアのお店があればそれでいいか。そんな「点」の紹介でいいのかしら。そもそも、地元の魅力とは「ほかに地にないもの(または優位なもの)」を紹介すれば足りるのか。「点」の魅力の紹介って、有効でもあるし、これからも主流かと思う。では、B級グルメでも考えればいいのか? 間違ってはいない、でもどこか疲労感がないだろうか?

僕はもっと抽象的に、その地(地方という表現がやめておこう)の魅力を紹介できないかと考える。新しく作らなくていい、魅力は既にあるものではないか。それを「気がつく」のが観光ではないか。観光って、もっとデリケートなところもあってもいい。全国紙(誌)、TVキー局、インターネットのフラット化をのがれた、奇跡的なその地方の空気感「面」を捉えるべきではないか。これは旅行者の感受性も大事で、もっと繊細に観光をするのがいいと思う。「地」を「知」でイメージして楽しもう。それが観光だ。

越澤秀の本作品。一見、北海道だとすぐわかる明確性は薄い。素材も通常のアートの画材ではない、捨てられていた「洋書」に書かれた作品。そこもメッセージを難しく感じさせる。でも、その違和感が逆に作品自体を際立たせている。描かれているのは、北海道の魅力のイメージ。それは、この地に住んでいる者、住んでいない者も、作品をよく「観る」ことによって、観光を楽しむのだ。

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Text by アート・メディアライター 石 川 伸 一 (NUMERO DEUX)

「ART BOX 越澤秀『WONDERFUL HOKKAIDO』」
会期:2017年6月1日(木)~31日(木)
会場:JRタワー1階 東コンコース(JR札幌駅隣接)

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NEWS No.17035「ツボカワ カオリ ドローイング展『 B.Rex氏の或る日の午後』」

2017.07.30

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北海道も短い夏がきた。いろいろ遊びたい季節。ひとつ頭の中で遊びましょう。

僕がアートが好きな理由はいろいろある。そのひとつが「作品の世界で遊べる」ということ。空想、想像の世界で遊ぶ。これはとっても大切なことだと思う。現実の世界も、想像の世界も同じくらい価値がある。なぜなら、想像のない現実世界ってひどくつまらない。それに僕は想像こそ現実じゃないか?と考えるのが好きだ。すると人生をやり過ごせる気がする。想像の世界を軽視しちゃいけない。想像から現実が生まれることもあるのだ。

想像は自分だけでもできる。しかし、良いアート作品は、自分だけでは難しい、楽しい世界に誘ってくれる。今回そんな作家との出会いがあった。

ツボカワ カオリは、神奈川県藤沢市生まれ。2011年より北海道室蘭市在住。美術系の学校を卒業後、作品をつくり続けながら、映画の美術スタッフや、専門学校講師、 ワークショップの開催、雑誌広告、映画のグッズ製作などを手がけてきている。

15年以上のキャリアをもちながら、今回がはじめての個展。展示全体のコンセプトはタイトルのとおり、大学教授のB.Rex氏(人ではない?)が不思議な博物館に訪れ、その中の収蔵品が作品として展示されている。つまり観る側はカフェエスキスの中でB.Rex氏と同じ体験を共有することになる…作風は古い外国絵本のような雰囲気をもちつつ、よくみると無国籍調でもありユニークで観るごとに発見があって楽しい。想像の中でストーリーが浮かぶ。B.Rex氏は何を観て、何を感じたのか?平面作品のほかに、ランプや実験容器に入ったちいさな作品もある。これらは自宅にもかざりやすく、手頃でおすすめだ。

はじめての個展…というのが信じられない素晴らしい完成度。嘘ではないかなと思った。しかし、在廊中の本人とお話を少しさせていただいて、わかってきた。個展は初めてあるけど、彼女は卒業後、さまざまな現場で作品を作り、絵画、イラスト、フライヤー、グッズという形で発表し続けてきた。その中で作家としての力、そしてプロデューサー(キュレイター)としてのセンスも作られていったに違いない。そして今回の個展では、それまでの経験から自然な形で完成度が高く着地していったと感じた。

作品はコンピューターを使わないすべて手書きの緻密なドローイング作品。額装も作家自身が額縁店と細かく打ち合わせたつくった、オリジナルなもの。それも完成度の高さにつながっている。作家の地力を感じる。でも、それが暑苦しくないのがまたいい。クールな距離感がある。

不思議で楽しい展示だと思う。お茶をゆっくり楽しみながら、作品を観て想像の中で遊んでみてはどうだろうか。ギャラリーカフェで頭の夏休み。

Text by アート・メディアライター 石 川 伸 一 (NUMERO DEUX)

「ツボカワ カオリ ドローイング展『 B.Rex氏の或る日の午後』」
会期:2017年7月20日(木)~8月15日(火)
平 日 12:00~24:00 /  日祝日 12:00~21:00
定休日: 水曜日
会場:カフェエスキス(中央区北1条西23丁目1-1 メゾンドブーケ円山1F)

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NEWS No.17034「『箱からはじまる物語』展」

2017.07.26

「『箱からはじまる物語』展」

「いいハコだね」。音楽のライブをおこなうライブハウスのような小規模な場所。それを「ハコ(箱)」ということがある。いい表現だと思う。「会場」というと堅いし「ホール」では味気ない。「空間」というのは好きだけどクールすぎる。敬意と愛着をこめて「ハコ(箱)」がしっくりくる。これには単なる呼び方だけではなくて「ハコ」の魅力も隠されている。いいハコでライブをやりたい。それはミュージシャンの夢のひとつ。ハコとは単なる設備ではなくて、音楽(表現)を間接的に構成する要素だということだ。そして、これは作家とギャラリー(ハコ)との関係と置き換えることも可能なのである。

本展示では、札幌市円山にある家具工房が制作した「箱」に8人の作家を作品を「展示」している。これは大変おもしろい試みだと思う。同時に意外に見たことのない企画である。本作では、作家はコンパクト(持ち運び可能な)な「ギャラリー(=ハコ)」を手に入れたことになる。つまり、作家は作品とそれを展示されている「空間=(ハコ)」を手に入れているのだ。つまり、作家はもう、変化するギャラリーの構造や雰囲気を考えねなくてもいい。この「箱」を置いた場所がギャラリーとなる、と考えるの楽しい。観る側にとっても、こんなコンセプトの作品があるのはコレクションする楽しみを増やしていくものではないか。箱には素敵な可能性がある。

ishikawa
Text by アート・メディアライター 石 川 伸 一 (NUMERO DEUX)

「『箱からはじまる物語』展」
会期:2017年7月12日(水)~23日(日) 11:00~19:00
会場:ト・オン・カフェ(南9西3)
[箱製作]  Zoo factory
[出品作家]  jobin. ・ReguRegu・wataru.N・本田征爾・森迫暁夫・林美奈子・山本祐歳・中村得子

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