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2023年への札幌国際芸術祭へ。声を重ねる。

2020.10.12

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アートとボランティア〜話すのは楽しい〜新型ウィルスの影響により中止となった札幌国際芸術祭(SIAF)。大変残念ですが、2023年開催にむけた取り組みがはじまっています。

そのひとつが「SIAFラウンジオンライン」。これはZOOMを使ってSIAF関係者と市民がSIAFやアートについて話し合う無料の登録制オンラインサロン。第一回目が10月10日土曜の20時より90分の枠で開催。今回20名あまりの参加者が集まりました。

ホストに本ラウンジを管理運営する 漆 崇博さん、ゲストには、SIAF2020コミュニケーションデザインディレクターの 田村 かのこさんと北海道でボランティアプロジェクトをおこなうNPO法人ezorock代表の 草野 竹史さんが登場しました。

前半では、草野さんは田村さんからSIAFのボランティアについて相談を受けたものの、自分は現代アートについてまったく知らなくて、つきっきりで教えてもらったということです。

その中で「ネイルアートは、アートではない」という説明を受けたという話があったのですが、田村さんがネイルアートも現代アートの持つ意味性を持つ表現になっていればアートになりうる、というフォローをしていて、この話は実はアートの定義についてコンパクトに説明している興味深い話でした。

後半は、ゲストごとに参加者がグループに分かれて、自由に話し合う時間になりました。私は田村さんのグループに入って、ここではSAIFのあり方や、札幌の魅力ある場所などについての意見交換がおこなわれました。

最後に再び、全員が同じグループになって2人のゲストのお話になった時に、草野さんが日本人には「ボランティア」という言葉が入って来る前から、近所の野球好きのおじさんが無償で教えている、といった独自のボランティア文化があり、そういったところが自分は好きだ、という話は大変印象に残り、共感できました。

僕はアートも人と人をつなげる「メディア(媒体)」だと考えています。そう考えると、ボンランティア(=人)の話題が出たのはとても良かったです。

今回のSIAFで予定されていたボランティアであるアートエデュケーターについて、もっと詳しく知りたいなと思いました。

本企画は、次回は11月10日(火)の20:00時から予定されています。事前登録をすれば、どなたでも参加できるので、興味のある人は以下のURLを参考ねがいます。https://siaf.jp/news/information/p13157/ 

第1回 SIAFラウンジオンライン
2020年10月10日(土)20時~21時30分
テーマ どうなる?SIAF2020/どうする?SIAF2023

 ishikawa
Text by  メディア・プランナー  石 川 伸 一 (NUMERO DEUX)
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「盗めるアート」は盗めるのか?

2020.07.11

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お店にいくと、「万引きは警察に通報します」という張り紙をみる。
通報しません、というのはみかけない。

所有者が「盗んでいい」と言った時点で、それは「盗めなくなる」。残るのは持ち主を失ったモノの寂しげな状態。

東京のギャラリーでの「盗めるアート展」。それを僕はネットで知った。詳しい内容を調べてみると、まさにタイトルとおりで来場者が勝手に持っていっていい、という内容だった。

ここで思ったのは、これは「自由に持ち帰っていい展」ではないか、ということ。はたして「盗める」というのはどういう意味だろうか。

「ご自由に持ち帰られる」ならわかりやすい。なぜなら、僕たちはこの表現に慣れている。街を歩けば、そういったものはたくさんある。家電店のカタログ、映画館のチラシ、カフェのフリーペーパー。

僕自身もフリーペーパーを作っているので「ご自由にお持ちください」とは喜んでアナウスする。でも「盗んでいいですよ」という表現には抵抗がある。

「盗んでいいですよ」とは、普通言いにくい。というかいいたくない。自由に持って帰ってもいいけど、盗んでは欲しくないよ。

さて、今回の本展示はタイトルからして「盗んでいい」訳だから、ギャラリーも出品者もスッキリしている。だから、僕の嫌な気持ちはどうでもいい訳なのである。

昨日開催。ニュース記事を読むと結果として開場前にギャラリーには凄い人だかり。近所迷惑になるので開場を早めたところ、すぐに作品全部キレイさっぱりなくなったそうだ。

正直、著名出品者が少ないアート展示では、開場前から人だかりができるなんて滅多にないことである。それがすごい人が集まったのは「盗める」だからである。というか、来た人は「盗む」といいより「タダで持っていっていいなら」という気持ちだと思う。

それを読んで「うーん、情緒のないエピソードだなー」と思った。お客さんが(もし)アートファンなら、もっと余裕を持って鑑賞しようよ、と感じた。

でも考えてみれば持っていった人アート好きでもなんでもなくて「盗んでいいから」という理由で持っていった人なのかなと思った。

そもそも、アート作品って、ちいさいものでもかさばるから僕は慎重に選ぶタイプ。入手したら自宅飾りたい。だから、そのスペースがあるかと考えてしまう。基本一壁面にひとつ。そうなると意外に買うのは難しいものなのである。飾れない!楽しめない!

まぁ、今は「転売」の時代でもある。持っていった人は自己所有の喜びより、転売での儲けを考えている人が多いのかと思う。いや、この場合仕入れは0だから転売とはいわないのかな。単なる販売か。

でも気分的には転売だと思いたい、そう考えながら半信半疑でメルカリを見ていたら盗めるアート展と堂々と名乗り、いくつも販売されている。そして結構SOLDもしている!

おうおう、少し驚いた。なるほど、ネット時代以前なら知識も人脈もない人がアート作品を売りさばくのはなかなか大変だったと思う。でもメルカリなら簡単だ。しかも原価は0。高利益率。

さらに深読みするなら、メルカリから買ってさらに転売する人もいるだろうね。これが新しいアートの流通か、昔からあることか。ルパンやキャッアイは転売しないと思うけど。

この流れは当然、本展示のキュレーターやアーティストが予測していたことだと思う。いわゆる、現代美術的な「盗めるアート作品は、どんな末路を迎えるのか」という流れをふくめてのコンセプチュアル・アートということだろうか。

この騒動を本展示でのお客さでもない部外者である自分が眺めていると、あまりにも24時間以内に生まれていった「展示→開場→メルカリ」の流れがあまりにも淀みなくキレイに流れすぎていって、なんかあまりおもしろくないなーというのが正直な感想。凹凸がない。

逆に本展示はネット以前の時代にやったほうが、面白みがあるのかなと思った。そうなると、展示の告知も含めて人にどう伝わるのか。「盗まれた」作品はどんな末路を描くのか。想像する楽しみはまだある。

最後に、もし僕がキュレーターだったら「無料でもらえるアート展」でいいと思う。だって、結局本展示はなにも盗まれていないのである。

「盗んでもいい」とアナウスした時点で、それは所有権の放棄であり、盗みの対象は盗みの対象ではなくなってしまう。タダのモノである。

だから、メルカルにあるものも盗品ではない。盗むよりインパクトは減るとは思うけどアートが「無料」を語った時にどんな運命をたどるのか、という検証実験という意味では最初から「無料でもらえるアート展」のほうがスッキリする。

それとも僕はなにか誤解しているのだろうか?

「盗めるアート展」
会  期:2020年7月10日(金)
会  場:me gallery(セイム・ギャラリー)

 ishikawa
Text by  メディア・プランナー  石 川 伸 一 (NUMERO DEUX)
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アートと教育。教えるのは大変ではないですか?

2020.06.21

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教えるのは大変ではないですか?
と質問すると
「慣れですよ」と答えをいただく
つまり、それは言語化が難しいことだと思う

教えるというコミニュケーションは
迷路のように大変だ。そう言ってもいられない。
雑談じゃないのだから。

僕は時々前に立つ。プロジェクターの接続はOKか、配布物は足りてるのか、Wi-Fiはあるのか、机は可動するのか教える時は、そんなことを考える。教育って難しいよね。僕が目標にするのは生徒に「きっかけ」が作れればそれで最高だと思うのだ。

だから、僕はキーワードや短いフレーズを考えて、記憶に残ってもらう。あと、少しインパクトが残せればいいかなと思う。素材でいえばね、映像は経験から使うと心に残るようだ。

これが相手が子供になるとさおさら。子供のアート教育と書くと、少し特殊だったり、高尚なイメージがないだろうか?

だけど、僕は工場見学とか、遠足とか、そういったこと同じだと思う。僕は子供や専攻ではない大人に関するアートプロジェクト体験というのは、ほんの頭の片隅に残る程度でいいかなと思っている。いきなり難しい話をしても、それは教える側の自己満足で終わってしまうのではないだろうか。

いや、そんな教える人はいないと思うけど難しいことを噛み砕く手間よりも、心にひっかかかるフレーズなり体験があればいいのではないだろうか。

アートの入口を感じでもらって、そこで、本当に美術教育を受けたいなら、専門的な学校に進んでいけばいいと思う。単発的なプログラムで、学術的に教えられることは知れている。

それなら、アートについて、ひとつでいいから体験者に「想い出」を持ち帰っていただければ十分ではないかと僕は思っている。

想い出をバカにしてはいけない。僕がしゃべったほんの破片でもいいから、聞いてくれた人の記憶に残ってくれれば、僕は本望だ。

写真の作品は「へんてこな形に名前をつけよう!」という子供と大人の共作によるワークショップでありアート制作。素晴らしいクリエティブがあふれてる。

制作のプロセスはこうだ。子供が紙にクレヨンで好きな線をひく。そして、好きな形をみつけて切り取る。切り取った形を大人がプロジェクターで投影しトレースして壁面に描いていく。

自由に線をひくというのは、実は結構大変だと思う。今の僕には大変だ。それをすいすい書く子供を眺めるのはとても意味がある。また、子供の自由に描くという体験も大事なことだろ思う。なぜなら「自由」ということを考える機会になるから。

「自由に線を引くのは楽しい」それを子供たちにおみやげに家に帰ってもらえれば、
この企画は成功ではないだろうか。きっとそうなっている。

500m美術館 vol.32 「おとなもがんばるこども壁画」
会  期:2020年1月25日(土)~3月25日(水)7:30~22:00
会  場:札幌大通地下ギャラリー500m美術館
共同運営 :CAI現代芸術研究所/CAI02、一般社団法人PROJECTA
作家:笠見康大

 ishikawa
Text by  メディア・プランナー  石 川 伸 一 (NUMERO DEUX)
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