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2017.07.09 映画の琴(コト)「LION ライオン 25年目のただいま」

2017.07.09

lion
「LION ライオン 25年目のただいま」(2016年)

実話をもとにした作品。話はインド貧困家庭の主人公。5歳の時、ある予想外のアクシデントから家族とひき離されてしまう。危険なホームレス状態を乗り越え、オーストラリアの裕福な夫婦の養子となる。なに不自由のない生活を手に入れた主人公だが、大学生になった時。生き別れの家族を探す決意をする…。

実話ベース。そのため話に極端な転結はない。良い話をとして普通の流れだ。構成は主人公がホームレスな5歳の頃と、養子となり大学生になった2部に別れる。印象としては、ホームレス状態の緊張感と、インドの光景を美しく捉えている点で、5歳の頃のシーンが圧倒的に印象に残る。極論すれば、僕としては大学生からラストまでは、単なる答え合わせの場面だと思うのだ。どうもあまり惹かれるところがない。

そこまで違和感を感じるのは、子役と成人役のギャップが大きいところにある。ルックスの点で、まず似ているとは感じられなかった。加えて、5歳の頃の役はやんちゃながら頭が良く、ハングリー精神もあり、世の中の闇も理解している雰囲気。ところが、大学生になった主人公は、育ちの良い、親しみやすい社交的なキャラクターに加えて、ひ弱な印象もある。弱く陰がない。とても5歳で絶体絶命とも思える危機を乗り越えて、少数派といえる恵まれた家庭への養子になれた人物につながらない。

僕は、主人公の大学生時代役のデーヴ・パテールは良い俳優だと思う。養親や恋人、義理の兄弟の関係性について演技もうまい。彼自身も魅力的なキャラクターで映画の画面映えもする。シリアスな映画の雰囲気もグッと良くしている。ただ、どうしても5歳の頃の主人公とつながらない。そのため、5歳と大学生の主人公は別の人物であり、大学生の彼は他人の家族を探す行動をしているように感じられる。

僕は、もっと5歳の頃の主人公とルックスも性格も近づけたキャラクターのほうが、主人公との一致という点で違和感は少なかったと思う。ただ、そうなった場合、ラストの雰囲気は暗めとなり、カルシタスは弱くなると思う。そういう意味では、本作のキャスティングは正解なのだろう。でも、2人の主人公は似ていないと思うのだ。

ishikawa
Text by アート・メディアライター 石 川 伸 一 (NUMERO DEUX)

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2017.06.06映画の琴(コト)『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー: リミックス 』

2017.06.07

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー- リミックス
『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー: リミックス』(2017年)

主人公は地球生まれだが、父親は異星人。子供のころ宇宙海賊に誘拐される。今は銀河で、ならず者異星人たちとチームを組んで物騒な何でも屋家業。チームの破天荒なキャラクターの魅力に70年〜80年代カルチャーの雰囲気を反映させたコメディ色の濃いSF冒険作品である。主人公の母親の形見の「カセットテープ」から流れる名曲ポップミュージックも本作のとてもいいアクセントになっている。本作はガーディアンズ・オブ・ギャラクシー(2014年)の続編。

SF作品であるので、ビジュアルは魅力のひとつ。全体的にコテッとした過剰な感じの美術は 新しめ(70年台〜80年代)のレトロ風味で楽しい。基本コメディ・タッチなので安心して観ることができる。会話の応酬もおもしろい…ただ、それだけけではただのおバカ映画で終わってしまう。本作ではキャラクターたちにに「人と人」の関係性(つながり)というのを、(過剰なほど)繰り返し語らせることによって、考えさせるフックを作っている。それは、あまりにも「正論」なのだけど、それをどこまでもおバカなコメディな中に入れることのよって、印象に残ることに成功している。そこには、人生を笑い飛ばしながら「正しいことをしよう」というメッセージを感じる。正直、僕の感想は大傑作とまでいえないけど、また観たくなるのは本作の根本にある「生真面目さ」を味わいたいのだと思う。

ishikawa  Text by アート・メディアライター 石 川 伸 一 (NUMERO DEUX)

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2017.06.04映画の琴(コト)『スター・トレック ビヨンド 』

2017.06.04

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『スター・トレック ビヨンド 』(2016年)

1960年代の傑作SFテレビシリーズ。「スター・トレック」その人気から劇場映画も作らている。本作は、オリジナルを新キャストで制作したリブート版の3作目。一作目は、新キャストによる導入編として及第点+アルファな仕上がり。そして、2作目はカンバーバッチという実力派が、ノリノリで敵役を熱演。新キャストの定着もあって、なかなかの傑作になったと思う。さて、問題は3作めの本作目である。以下、重要な内容に触れますのでご注意を。

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まず、結論からいうと、3作目の中で一番つまらなかったな、というのが素直な感想。なぜか、というところを書いていく。まず、スタートレックのキャスト以外の大きな魅力となっている主人公らが乗り込む宇宙船エンタープライズ号。これが早々にほぼ完全に破壊されてしまう。破壊される自体は別に悪くないし、リブート以外のシリーズでは何回かあった。でも、それは大活躍後のこと。本作のようにほとんど活躍しないまま破壊されてしまのはがっかり。やっぱり、エンタープライズ号は本作の「主人公」だし活躍を観たかった。また、その中でしか描けないキャストのドラマもあると思う。

次に本作は、宇宙船を失った結果、ほとんど場面は敵惑星の場面となる。これもなかなかアクションが中心で見応えがある。ただ、キャストがはなればなれになっていて、どうもテンポが良くない。分かれることによって、エピソードを分散させて見どころ作っている。でも、悪くはないのだけどそんなにも良くない。スポックとマッコイのエピソードもいい感じ。これも古くからのファンには楽しいけど、はじめて観た人には感じるものは少ない感じじゃないかな。

アクションは、CG等を駆使。きっと劇場で見ればかなり迫力があるかと思う。これが本作の最大の見せ場だと思う。つまり、スタートレックを知らない人にもしっかり楽しめるというのは本作のコンセプトか。

今回の悪役について。前作(カンバーバッチ)と比べるのは酷なんだけど、それにしても魅力に乏しい。ほとんどまるごとの造形メイクで、魅力ある悪役というのはなかなか難しい。よほど、ドラマを重ねなければ。それで、ラスト近くでまぁ、悪役なりの「理由」は明らかになる。それは、本作のテーマにもつながっているのもわかる。でも、なんか弱いよななぁ。キャラも動機づけも弱い。

そう、今回のテーマ。まあ、作品の緊張感を持たせるためか、カークとスポックに「今の仕事への疑問」を持たせている。これも僕には「えっ、もう飽きたの?」という感じで唐突だった。うーん、以上辛口でした。でも、リブートのキャストはとてもいいと思う。メカニックデザインや美術もやや過剰だけど悪くない。次回はぜひぜひ「エンタープライズ」の活躍を期待したいです。

ishikawa

Text by
アート・メディアライター 石 川 伸 一 (NUMERO DEUX)

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