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NEWS No.17023「ジャパン・アヴァンギャルド ー アングラ演劇傑作ポスター展』

2017.04.26

ジャパン・アヴァンギャルド

 

「おっ、アングラな活動していますね?」

「アングラ」という用語を知っているだろうか?「アンダーグラウンド カルチャー」の略である。僕の感覚だと、この言葉使いは自分より上の世代の人が使う感じ。僕は世代的には「サブカルチャー」という言い方がしっくり来るかな。といっても、自分で「サブカルチャー」として、メディアづくりをしています…なんてことは言えない訳ですよ。まぁ、立ち位置を示すためにインディのメディアづくりをしています、ということかな。そして、今は「オルタナティブ カルチャー」という言い方が最新だろうか。いや、それも結構時間がたっている気がする。ここまで書いてカタカナ用語を多様する文章は読みにくいなぁと思った。

と書いてきて「いったいどういう意味なんですか?」と思う方いるはず。簡単にいえば、今出てきた3つの用語は「一般的ではない文化芸術分野」ということだと僕は思っている。さらに簡単にいえば「誰でも知っているとは限らない文化芸術分野」ということか。なんかぼんやりとした感じだが、細かく考慮するとこうとしか書きようがない。定義を曖昧にすることによって、定義が成立する。なぜ、曖昧なのか?

こうした文化・芸術分野の用語の定義を正確におこなうのは難しい。だから、これを数学的なロジックで捉えようとすると理解が逆に難しくなる。結局、これらは時代の空気感とリンクしている。定義を文字で理解しようと思わず例えば「アングラ」を理解したいと思ったら、そう呼ばれた作品をできるだけたくさん鑑賞してみるのがいい。たくさんの作品を観る、そして作品について書かれたものも読んでみる。この繰り返しが大事なのだ。

本展覧会はポスターハリス・カンパニーの 2 万点以上所蔵する「現代演劇ポスターコレクション」から「アングラ演劇」の傑作ポスターをセレクトして展示。同時に当時の資料や関連商品の販売をおこなっている。

「アングラ演劇(小劇場運動)」は、1960~1970 年代にかけて、日本の演劇界は新劇(ヨーロッパ流の近代的な演劇)をとはまるで異質な世界を創造することを目指して、寺山修司、唐十郎、鈴木忠志、佐藤信、串田和美らが実験的な演劇を作りだしていった。その告知のポスターは、単なるおしらせの機能を超えてアングラ演劇のイメージを広く伝えるための強力な「メディア」となっていた。まだ、インターネットの無い時代。ポスターは貴重なメディアであったはずだ。

繰り返そう芸術の理解は、作品を観ることからはじまる。本展示を観ることは「アングラ」を理解するのに一番いいと思う。空気感を捉えることができるから。「アングラって、こういう感じね」と。その「感じ」が大事なのだ。そして、テキストを読む。そうすることによって、いろいろなアート用語の定義も肌でわかってくる。

ishikawa

Text by
アート・メディアライター  石 川 伸 一 (NUMERO DEUX)

アングラ演劇傑作ポスター展「ジャパン・アヴァンギャルド」
会期:2017年3月9日(木)~4月11日(火) 11:00~19:00(最終日17:00)
記念トーク&レセプション:3月9日(木)18:30~20:30
会場:グランビスタギャラリー サッポロ(北1西4 札幌グランドホテル1階)
入場無料

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NEWS No.17022「モルエラニの霧の中(第一部・特別試写版)』

2017.04.22

モルエラニ

ひとつの「地方」を全面的に舞台にした「映画」をつくる。
その作品の成功はどこにあるのだろうか?僕はそれは「その地方なんだけど、そこではないどこか」という印象を感じさせる架空の物語(フィクション)となった作品になることだと思う。

その詳細を文字で説明するのが難しい。実存する地方にフィクションが引っ張られ過ぎない、と言い換えることもできる。実存する地方は強力な存在だ。その土地を知れば知るほど、フィクションが動きにくくなるかもしれない。そのジレンマを調整してフィクションを構築していく。

そうした映画が、観光PRとしての効果もあるのは嬉しいこと。でも、それは映画に求められる1番じゃない。それなら観光地紹介ムービーになってしまう。雑な言い方になるけど、ただその地方の観光場所を映画に中にインサートしていっても、その地方の映画になる訳ではない。そこに映画特有のフィクションとリンクして作品としての映画になる。その結果として「行ってみたくなる場所。映画というフィクションによって、地方の一部が新しい意味を持つのだ。

繰り返せば特定された地方の舞台の映画であっても「いかに良質のフィクション」をつくるかが、重要だと思う。そして、ポイントとしては現実の地方とは、少し距離感があったほうがいい。そのほうが良いフィクションがつくることができる。なぜなら、その距離感の中に観る側は感情移入する隙を見つけるのだ。

監督の坪川拓史は室蘭在住。東京で劇団、映画づくりをおこなう2011年より家族とともに室蘭に移住。現在は登別の「日本工学院北海道専門学校」で講師を務めながら、映画づくりをおこなっている。 2017年4月15日(土)と23日(日)の2日間に坪川拓史監督作品上映会が開催された。「アリア」(2007年)「ハーメルン」(2013年) の過去の2作品に加えて、現在、まだ制作している室蘭を舞台にしたNPO法人 室蘭映画製作応援団制作の室蘭を舞台にした「モルエラニの霧の中(第一部・特別試写版)』が上映された。

「モルエラニの霧の中(第一部・特別試写版)』を観たので、その感想を書いてみたいと思う。

本作の基本的なプロットは「室蘭」を舞台として、情緒性を強く感じるストーリーが展開されている。静かなリズムの中で映画は進行していく。人物たちのセリフは少なく、同時に多義的。軸になる物語はシンプルなので、置いていかれることはない。ただ、ひとつひとつのシーンが非常に丁寧に撮られていて、いい意味で僕は少し息が詰まる感じがした。その間が惜しいのだ。

なんか、ひさびさに「映画」の表現をたくさん観たような気がした、というのが一番短めな感想。モノクロの映像がより映画というフィクションの深度を高めてくれる。室蘭を在住の人なら、おなじみの場所が次々と登場していくが、そこに不思議な距離感が生まれている。「知っているところだけど、ちがうような」。そんな印象が僕の心に生まれる。

室蘭は北海道でも不思議な場所だ。自然と、巨大工場群(と港、船)が同居していて、北海道生まれの僕でもどこか特殊な場所だと意識する。そして、歴史を感じさせる場所もたくさんある…これらの要素はフィクションをつくり上げるには絶好の場所なのかもしれない。

とりとめのない感想になってしまった。その理由はまだ感想を語るより、この映画をもう一度観たいと思っている。つまり好きな映画なのです。また観られる機会を楽しみにしたい。「映画」っていいなと思い出した機会だった。

ishikawa

Text by
アート・メディアライター  石 川 伸 一 (NUMERO DEUX)

「坪川拓史監督作品上映会」

会 場:
社会医療法人 製鉄記念室蘭病院 がん診療センター 3階大講堂
(室蘭市知利別町1-45)
http://www.nshp-muroran.or.jp/s01/s01-04.html

■上映日時
●4月15日(土) 12:30開場
第1回 13:00~14:50 『アリア』
第2回 15:20~17:40 『ハーメルン』
第3回 18:10~20:30 『モルエラニの霧の中(第一部・特別試写版)』
●4月23日(日) 12:30開場
第4回 13:00~15:10 『ハーメルン』
第5回 15:40~18:00 『モルエラニの霧の中(第一部・特別試写版)』
■料 金
●前売券
1枚のみのご購入 1,200円
複数枚のご購入 1,000円/回 (任意の上映を選択可、一括購入の場合)
●当日券
上映1回のみ鑑賞 1,500円
上映2回以上鑑賞 1,200円/回 (任意の上映を選択可、一括購入の場合)

 

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NEWS No.17021「シュゥン個展『エレメンツ』」

2017.04.16

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抽象的に生き方を語るなら、ポップがいい。クールよりも。表現において「クール」と「ポップ」。どちらが好きかといえば、僕はクールです。ただ、それに完全な自信を持って言い切ることはできない。なぜなら、その定義をキッチリすることができないから。定義できないことに自信は持てない。でも「クール」の方が好きだ。では、クールとは何なのか?と考え、思考を深くダイブさせていくと、だんだんわからなくなってくる。それは同時に表現のおもしろさ、複雑さにつながっていく。そして、行き着くのはポップとクールとは、メビウスの輪のような関係性が見えてくる。

SHUUN(シュゥン)は、日常と非日常の間に潜む生き物とその世界をモチーフを平面作品として描くアーティスト。2010年頃から本格的な活動始め、クラークギャラリー+SHIFTの所属作家となる。2012年に海外にも作品を発表。「コメディやSFや怪獣映画、ローファイなものが好き」と語る、その作風は力強い多彩な色遣い、可愛さと怖さ、愛嬌と不気味さがユーモアとゆるやかに同居している。

本展では、新作「エレメント」を中心に、人気の「モジャモジャ」シリーズを含む大小のアクリル画、そして彼が制作初期から描き続けているデジタルペインティングが展示。彼の作品を観て思うのはポップの深度ということである。ポップのアート性の高い表現は、決して簡単なものではない。そこに僕は「深度」がなければいけないと思っている。

SHUUNの作品にはポップな中に、正体の知れないスリラーな刺激がある。もちろん、それは表現の中だけのことで、現実の不安につながる訳ではない。例えるなら映画の良質な演出のような表現。それが僕が好きなポップの深度であり、それをSHUUN(シュゥン)の作品から強く感じる。そして、ポップでクールなのだ。

ishikawa

Text by
アート・メディアライター  石 川 伸 一 (NUMERO DEUX)

「シュゥン個展『エレメンツ』」
会期:2017年4月4日(火)〜30日(日)11:00〜19:00(月曜日・第三火曜日休廊)
会場:クラークギャラリー+SHIFT(南3条東2丁目 MUSEUM 2階)
http://www.clarkgallery.co.jp
http://shuun.me/

 

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