INTERVIEW

036 セレクトショップ「Stilly」オーナー阿部薫」

2007.07.10


"refine " 洗練について知っている2、3の事柄

    Stillyは、札幌パルコから歩いて10分ほどのところにあるセレクトショップ。"SOPH." "F.C.R.B." "-phase"の3つのブランドを中心に展開している。天井が高く、壁面が白一色の内装はショップというよりコンテンポラリーアートのギャラリーを思わせる。そんなイメージを喚起させるとおり、ショップ奥にある縦型のネオンボードは、アーティストのエキシビションに使用されるために設置されていて、定期的に作品が変わっていく。また、最近、"Proform"というブランドの家具の販売もスタートした。常に服をアートや音楽などのカルチャーとの関連性を意識させるお店、Stilly。オーナーの阿部薫にインタビューしてみた。

text by NUMERO DEUX

NUMERO DEUX SPECIAL 036 "refine" Interview With Kaoru Abe(Stilly)
取材日時:2001.2.26(tue) 20:00-21:30 / 取材協力 Stilly
Interview by SHINICHI ISHIKAWA(NUMERO DEUX)
Photograph by NUMERO DEUX)/ Art Direction & Design:NUMERO DEUX
NUMERO DEUX Copyright.

「このブランドをやります。」ではなくて

    僕はいくつかのショップで働き、洋服のバイヤーとして海外での買い付けの際に他の国のバイヤーの仕事の仕方を見て感じたのは、「このブランドをやります。」ではなくて、そのブランドを自分の店のカラーに合せてセレクトできる人が本当のバイヤーなんだなということです。欧米ではデザイナーがいて、プレスやセールスマネージメントはその業務を専属で行う会社がデザイナーと契約するというかたちが多く、皆がとてもプロフェッショナルなんです。デザイナーのクリエーションを理解してセールスをするのに必死です。現にイタリアのブランドで、オーダー数が少なかったのですが僕がピッキング(商品の選択)したアイテムを見てのウチのプレゼンテーションをわかってくれてるだね、ありがとうという言い方をしてくれたこともあります。うちのお店に置く服もルーツやどういう人が作っているかが垣間見えるようなセレクトがしていければと思っています。

正直なところ、若い子達には危機感を感じています。

    客層は20代前半の方が多いです。やはり30代前半くらいのお客さんに関しては服だけでなく周りに関わるアートや音楽などの部分も理解し、共感されて買ってくれる方が多いですね。正直なところ、若い子達には危機感を感じています。ファッションって自己主張のツールのひとつだと思うのですが、一部の若者の間では単なるモノ収集のひとつになってきているのが怖い。物はきっかけであって、洋服に関して言えば、そのデザイナーがどんなコトに影響を受けているかとか見えない部分のルーツをもう少し掘り下げて勉強してくれたらなと思っています。

「カジュアルな上物に下はウールのパンツを履いたらどぉ?」

    ファッションでいうと同じベーシックな物を着ててもちょっとしたスタイリングで面白さやその人らしさが出てくる。うちで提案したいのは「カジュアルな上物に下はウールのパンツを履いたらどぉ?」というような「ちょっとだけ品を持とうよ。」ということなんです。メンズの服は結局デティールの部分でしか個性は出せないですから。女の子ならミニスカート履いてた子が次のシーズンはパンツを履いたりとか出来ますけどね。メンズの服に大きなうねりが無いのはわかるけどクローン人間みたいに皆同じなのはよくないですね。

自分の好きなものは、シンプルだけど意匠のあるものですかね。

    好みによると思いますが、見た目が子供っぽいものに興味はありません。自分の好きなものは、シンプルだけど意匠のあるものですかね。洗練されたものというと、どうしてもストイックなものと思われがちなんですが、うちで扱ってるブランドや店構えについては、僕は単にスッキリ見せたかっただけなんです(笑)。お店の内装という部分に関して言うと、僕がパリやロンドンでみたお店ってこういう感じなんですよ。むこうって古い建物じゃないですか、でも入ってるお店だけがモダンでその景観がよかった。裏通りにあるひっそりとしてるんだけどオーナーのセンスが感じられるお店が結構あったりして僕はそういうのがカッコイイと感じたんです。

もちは餅屋でという考えが強いので。

    家具(Proform)に関しては露出の仕方に気をつけたいと思う。あくまでお客さんの受注・販売の窓口という立場なんです。決してうちのオリジナル家具ではないということです。もちは餅屋でという考えが強いので。家具を扱うきっかけはうちのお店の内装デザインをしてくれた人と、それを作った人が家具をやりたいというのがはじまりです。服だけじゃなくライフスタイル全般を洗練されたものにしようよ、というお店でありたいとオープン当初から思っていたので家具を扱うのは自然な流れなんです。

バランスが上手く取れればなと思います。

    ヒト・モノ(商品)・コトのバランスが上手く取れればなと思います。うちが扱う商品をいいよねって集まってくれる人達が共有できる空間を…それがコトという部分で、単発のイベント的なことになるんですが…提供していければいいなと思っています。



Stilly 札幌市中央区南3条西8丁目11-4
TEL011-223-0660
営業時間12:00 -20:00(定休日第2・3水曜日)
★新しいアイテムの入荷情報などは
http://www.stilly.co.jp/

   

● After Hours
取材を終えて Stillyの取り扱いをはじめた家具、"Proform"は。レコードサイズのシェルフ"ASLF"を基本として、それに、引き出し、脚、デザインパネル、などのオプションを用意。複数組み合わせてキャビネットにもすることができる。無料のパンフレットも用意されているので入手しておきたい。店正面奥のネオンボードは現在、ドイツ・ハンブルグのHeadchargeに在籍している磯貝浩一郎による書き下ろしグラフィック。3部作のストーリ仕立てになっているとのことです。
   

   


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