"BLOCKを組みながら"
ある人にはとても懐かしく、ある人には新しいアイテムがリバイバル発売する。その名は「学研電子ブロック EX-SYSYTEM EX-150(復刻版)」。黒を基調としたヘビーで武骨なデザイン。その中に組み込む透明なブロックの組み合わせによって可能になる150種類もの電子実験…良くも悪くもすべてがデジタル化されフラットになっていく現在、電子工作というアナログ感覚満載の「電子ブロック」は僕達の心をヒットするものではないだろうか。本アイテム復刻担当者、学研大人の科学編集長である金子さんにインタビューした。
text by NUMERO DEUX
NUMERO DEUX SPECIAL 037 "BLOCK" Interview With 金子 茂(学研 大人の科学 編集長)
取材日時:2002.3.26(tue) 10:30-11:00 / 取材協力 学研
Interview by Kenichi Onodera(101/proc)
Photograph by 学研 Art Direction & Design:NUMERO DEUX
NUMERO DEUX Copyright.
まず、電子ブロック復刻のきっかけを教えて下さい。
2年前から「大人の科学」というシリーズを現在まで6つほど出しています。その中に購買者カードというのがあって、そのお客様の意見の中で「電子ブロック」の復刻を望む声が1番多かったんです。こちらも今の「大人の科学」シリーズをやるにあたって「電子ブロック」も当初からラインナップにありました。しかし、昔の製品ですし、15 年前に製造中止になっていたものですから正直いって売れるかどうか判断がつきかねていました。ところが、逆にお客様の方からそういう声があがってきて、それに後押しされるような形で復刻を決めたという感じです。
web上だけで先行予約をおこなってみると、2000個からスタートしたら即日で完売してしまいました。「なんで2000個しか用意してないんだ」というクレームのメール、電話が殺到してすぐ1000個追加。それもすぐ完売しまして、すぐ増産が決まりました。
復刻の要望は特に30代前後の男性が多かったと思います。1番多い理由としては子供の頃買えなかったから、復刻してほしいという声です(笑)
「電子ブロック」について簡単に説明してください?
簡単にいいますと基本になるのは1つ1つのプラスチックのブロックなんです。各ブロックにはトランジスタ、コンデンサ、トランスなど、それぞれ異なる電子部品が入っていて本体ボディの基盤に組み込むことによって「ラジオ」とか「お風呂ブザー」とか「嘘発見器」など150種類のちょっとした電子玩具が自分で自由に組めるものです。
150種類の実験のうち、おすすめは何でしょう?
自分がやって面白いと思うのは「嘘発見器」です。単純にいうと人間嘘をつくと手に湿り気が出るのでそれによって抵抗値が変わるという、そんな厳密なものではなくそれを通して遊びの道具として使えるというものです。
開発元の電子ブロック機器製造株式会社さんとは昔からのおつきあいですか?
あちらは主にプロ向けでずっと発売されていました。今回、中国生産ということが決まっていて検品の面で不安がありましたので、電子ブロック機器製造さんにも検品をおこなってもらいました。
苦労なさった点は何かありますか?
当時の電子部品が無かったということですね。同じ部品であれば基本的に同じ回路を組めば当然動くはずです。しかし、特にトランジスタなどは相当品で集めたので全部150回路組み直して1つ1つチェックしていきました。その過程でこのトランジスター使えないというのがいくつかあって、違うものをチョイスするとトランジスターってほとんどの回路でひっかかってくるので、もう1度150回路を組み直すということになって、僕個人で4回テストをやりました。電子部品の核になる部分がゆらいできたので、それを確定するのに2、3ヶ月位かかりました。最初は復刻版だから、そのままやればいいと思っていたのですがこんなに苦労するとは(笑)
開発期間は実質何ヶ月くらいですか?
発売が4月27日で、ゴーサインが出たのは9月なので実質1年ありませんね。定価は当時は 1万3千円でした。最初は復刻版も同じ値段で、という話だったのですが、今はデフレの時代ですし、今のお父さんが出せるお金で1万円といったらイッパイイッパイかなと(笑)。なんとか1万円を切る価格設定にしました。
最後に「電子ブロック」についての思い出、読者にメッセージをお願いします。
ファミコンもなかった時代、小学生だった私たちが一生懸命遊んだ記憶があります。僕は今43歳なんですが小学校4年生の時にNASAの月面着陸がありました。僕らにとっては歴史的快挙という感じで強く印象に残っています。科学というのはバラ色の未来を提供するものだというのが頭の中でガツンと結びつきました(笑)。当時は科学/電子の世界のことを知らなきゃこれから先の人生渡っていけないよ〜という感じが多分に強かったんじゃないですかね。「電子ブロック」が当時ブームになったのも、そういう時代背景はかなりあったと思います。
それから20年近く経って今、デジタルの世界になりましたが、それは全部がブラックボックスになってきているので、逆に「電子ブロック」のようなアナログの部分を次の世界に伝えていきたいという声も聞きます。「電子ブロック」は、お子さんがいらっしゃる方はご一緒に遊んでいただければ 企画者として大変うれしいです。なんといっても150種類も組めるのでたっぷり楽しめると思います。
学研電子ブロック EX-SYSYTEM EX-150(復刻版)
【商品構成】
●電子ブロック本体●ブロック●その他のパーツ
・マイクロホン・アンテナ線・イヤホン・ 60cmコード・テスター棒
●160ページのマニュアル(AB判変形) 9,800円(税抜き価格)
2002年4月27日(土)発売予定
*more Information
http://kids.gakken.co.jp/kit/otona/