大通公園のおしまいにある資料館の裏側仲通りに、なんだか気になる建物があった。14丁目にひっそり佇んでいるその臙脂色の建物には「まめぐら」と書いてある。扉を開けるとなんだかなつかしいにおいがした。そこには色とりどり、柄とりどりの着物や小物たちが出番をまっている。すこしだけ日常から離れた空間、アンティーク着物や小物をあつかう「はぎれ・リサイクル着物 まめぐら」の店長さんにお話をうかがった。Text by mato.
NUMERO DEUX SPECIAL 053 Wisdom and a margin.
Interview with Miho Koikawa
取材日時:2004.5.22(Sat) 16:00-17:00
取材協力:はぎれ・リサイクル着物 まめぐら
Interview & Photograph by Aiko Yamamoto & Yoko Yoshioka (mato.)
—-お店をはじめるまでの簡単な経歴を教えてください
1996年、今から8年前に「まめぐら」をオープンしました。
実家が商家でしたので、小さい頃からお店を手伝っており、当時は朝から夜中までとても忙しく働いていました。短大卒業後はOLとして働いていましたが、結婚した相手の体が弱かった事を機に商売をしようと考えました。とにかく何か手に職をつけようと色々と習い事に行きましたが、どれも自分には合わないと感じて長続きせずにいました。
ちょうどその頃、友人のお母さんが和裁を教えていて、やってみないかと誘われた事が着物の世界に触れるきっかけでした。元々は着物に興味など全くなく不器用な私でしたが、和裁をやっていくうちに着物の奥深さを知り、どんどん好きになっていきました。そのうち、自然の成り行きでアンティーク着物の店を作りたいと思い始めて、すぐに物件を探し出しました。今の場所は新聞の広告で見つけて、実際に見に行って即決しました。大家さんがとてもいい人で、偶然が重なった出会いでしたね。
—-どのようなアイテムをあつかっていますか?
扱っている商品の内容はどんどん変わってきていますが、現在はアンティーク着物(明治・大正・昭和前半)・中古着物(昭和後半・平成)・新品着物・帯・履物・小物・はぎれなどを扱っています。他に、着物や帯の生地を使った手作りのバックや小物も何点か置いています。
オープン当初は仕入れ先などもわからず、取引先のない状況でしたので、旭川などの地方に行って古着を購入し自分で洗い張り、仕立て直しをしたものが中心でした。当時はまだ反物を買う余裕がなかったですから。しばらくたってから、東京や京都に飛び込みで買い付けに行くようになりました。状態の良いものを揃えていきたいので、アンティークを集めるのはなかなか大変です。
また、商品販売だけでなくアンティーク着物のレンタル、着付けも行っています。最近はレストランウエディングで着ていただくことも多くなりました。ウエディングだけでなくパーティなどにも着ていける物もご用意しています。
—-客層やよく出るアイテムを教えてください
学生さんからご年配の方まで幅広いですが、私と同じ年代、20代・30代の女性のお客さんが多いです。
小物や帯などを買っていかれる方がとくに多いですね。その方が持っている着物や帯を利用して、足りないものを揃えていって欲しいと思います。着物はとても高いイメージがあると思いますが、着物入門として安い着物からから買い始めて、そのあとで徐々に良い着物、高い着物へと移行していくといいのではないかと思います。
—-店長さんにとって「着物」とはどんなものですか?
着物は「文化」だと思います。私は24歳で和裁を習い始めるまで着物という世界には触れることなく過ごしていましたが、こんなにも知恵がつまっている物は他にはないと思います。一枚の布から作られていて、適度に余裕を持たせている。そして最後にはハタキとして最後まで無駄なく使うことができる。着物の奥深さを知れば知るほど、日本人として生きていることへの誇りを持つことができました。他の仕事をしていたら、ここまで誇りを持てなかったと思います。
—-最後に、今後の予定やお知らせがありましたら教えてください
6月にセールを行いますので、是非一度お店をのぞいて見てください。ウエディングやパーティの際に着ていけるアンティーク着物をご用意しておりますので、興味のある方は是非一度お店を覗いていただきたいと思います。
after Hours
店長さんは、いつ伺っても話しやすい空気感をもっていて、今日の取材でもそうだった。取材中もお客さんにやさしく目を配り、オススメしたり、その人に合わないものはオススメしなかったり、包容力のある信念を感じた。もっとサラリと着物を着て、どこかにおでかけしたい。そんな時にはまたフラリとまめぐらへ行きたいな、なんて思う。
「はぎれ・リサイクル着物 まめぐら」
住所_札幌市中央区大通西14丁目3資料館裏仲通り
営業時間_11:00〜18:00 / 定休_月曜日,第2・4火曜日 / 電話_ 011-272-6788
http://www.mamegura.com