● 「おしぼり」から始まるコミニュケーション
「S-AIR MORGAN展」
日 時:2010年3月2日(火)~3月6日(土)13:00-19:00 ※6日は17:00迄
場 所:OYOYOまち×アートセンターさっぽろ(南1西6第2三谷ビル6F)
入 場:無 料
Morgan Wong Wing-fatは1984年生・中国北京在住の現代美術作家。北京798地区・香港などで展覧会を行っている。
現在、市内のアーティスト支援事業を行っているICCとS-AIRの招へいアーティストとして、今年1月より2ヶ月間札幌に滞在し作品制作を行っている。彼のとりくむテーマは、中国の伝統美術や文化、彼の家族やそこから発展する世代間格差などである。
彼の札幌での体験を生かした展覧会が開催された。本企画は札幌で出会った、うなぎ屋のご主人とのコミュニケーションからうまれた。中国語と日本語を母国語とする2人の出会い。そのかかわり合いは「漢字」という共通の文字を頼りに信頼関係が作られていったという。その経験から、本企画展示のアイディアに発展したそうだ。会場の様子を以下に紹介していこう▼
▲ 会場の入ると、来場者用におしぼりが置いてある。これを見逃してはいけない。これが実はモーガン・ウォンウィン‐ファンのアート作品なのだ。手にとってみよう。
▲ おしぼりを開いてみると、モーガンによる中国語の言葉が刺繍がしてある。この言葉はおしぼりによって、それぞれ違っている。上記写真の「晩安」とは「おやすみなさい」の意味。モーガンにとって、おしぼりとは、「コミニュケーションのはじまり」としてのツールを意味している。
おしぼりの文字を見て、会場にモーガンがいたら刺繍の中国語の意味を話しあって欲しいということ。そこからコミニュケーションが生まれる。
▲ 会場奥には、「うなぎ料理人物語」と題された本企画のテーマのヴィデオ作品が展示されていた。この映像を投射しているスクリーンは実はおしぼりが使われている。テーマとの一貫性を感じさせるユニークなアイディアだ。
▲ 会場では過去に作られた音や映像、テクノロジーを使ってコミュニケーションを行うインスタレーション作品の展示も同時に行われていた。
「中国語」と「日本語」という二つの言語。ご存知のとおり日本語の漢字のルーツは中国の漢字である。ただ、現代の日本ではそのことを意識する機会はほとんどない。しかし、実は共通している部分も多い。
上記のおしぼりの刺繍「晩安」の「おやすみなさい」という意味。このことは中国語がわからない日本人でも、思いつきやすいのではないだろうか。だから、モーガンとうなぎ屋さんのご主人とのコミニュケーションも進んでいったに違いない。
Photograph & Text by Shinichi Ishikawa (NUMERO DEUX)