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10.03.06-03.20「大黒淳一 音の彫刻展」

2010.03.12

●「音の彫刻」の中で。

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「大黒淳一 音の彫刻展」
会 
期:2010年3月6日(土)~3月20日(土)13:00-23:00

会  場:CAI02(大通西5丁目昭和ビル地下2階)
主  催 : CAI現代芸術研究所
協 力:Tamagawa kasei Co., Ltd / TriState Co., Ltd / Sound Project Co., Ltd / 43d

  「音」は身の回りにありすぎて意識する機会は少ない。室内でも室外でも、音が氾濫する現在。僕たちはどこまで音を感じて、理解しているのか。音に意識的になるのには、独自の表現が必要なのかもしれない。

 大黒淳一は、市内で活躍するサウンド・メディア・アーティスト。国内外で音楽制作を行い、映像や空間のサウンドデザインを手がける。Marlboro,Playstation3などのCM音楽から、2009年北京オリンピックadidas art projectの音楽制作北アイルランドのベルファーストでのサウンドアートの滞在制作など、その活動は幅広く、自身による最新プロジェクトとして43dというアンビエント・レーベルも進行中だ。

  市内のギャラリーにて大黒淳一のエキシビションが開催された。「音の彫刻展」という、一見内容の想像がむずかしいユニークなタイトル。その意味・コンセプトについて大黒淳一に聞いてみた。

「音の彫刻展では『耳で見る』というコンセプトで目には見えない音という存在にスポットを当てています。普段の生活では殆ど意識する事のない聴覚とはどういう事なのか? という問いを出す為に、特殊なスピーカーを使用して音の線を空間内で作り出す事で『聞く』という感覚そのものを体験してもらう事が目的です。

 そして人間の耳には聞こえない低い周波数領域の音を形にする事に よって、その美しさや見えない価値観というものを作り出しています。
音楽の最小単位である音という事柄を作品として用いて、空間内でサウンドインスタレーションとしても機能させる時それは新しい音楽の表現にもなり得ると考えています。そういった意図で今回のサウンドアート作品を制作しております。」

 本展示についてイメージはわいただろうか?
音について日常では体験できない「なにかが」ここにはあると感じられたと思う。

 会場には、上記コンセプトに基づく3つの作品が展示されている。次に、その作品ひとつひとつについて大黒淳一に解説をしていただいた。以下、写真と一緒に紹介していこう。▼

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「『sonic line』という作品です。特殊な超指向性スピーカー を用いて見えない音の直線を空間に作り出しています。今回の音の彫刻展では、この作品を用いて見えない音の直線で空間を彫刻しております。」

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「『Phase +/- 』という作品です。特殊な振動モージュルを 用いて、人間の耳には聞こえない低い周波数を用いて純粋な音の形を浮かび上がらせています。左右、同じ音を用いてい るのですが片方には反転させた逆位相の音を入力しており、スピーカーに挟まれた中間の空間領域が無音になるというコンセプトで作品制作しています。」

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「『sound shadow』という作品です。音の影というタイトル通り、こちらも低い領域の音を使用して普段聞く事の出来ない音で鏡を振動させて、その反射光が音の形として見ることの出来る作品になっています。」


▼ 会場に入って、まず驚くのは全体がとてもにシンプルに構成されていること。余計なビジュアル的要素を排して、3つの作品に、すべての来場者の意識が集中するように配置されていると感じる。そこにストイックな魅力があり、作品世界に入り込みやすい。

 僕は3つの作品を何度もぐるぐるとまわりながら「音」というものを考えた。音楽以外で、これほど「音」について考えるのも珍しく、そうさせる空間がここにはあった。

 会場等にある本展フライヤーの裏面にあるテキストを目を通すと、本展示を体験するのに役立つ思う。機会のある方はぜひ足をはこんで欲しい。

Photograph & Text by Shinichi Ishikawa (NUMERO DEUX)


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