● 写真家からの最初の挨拶
「畠山雄豪 個展『First Contact』」
会
期:2010年3月12日(金)~3月27日(土)
会 場:CAI02(大通西5丁目昭和ビル地下2階)
ケータイのカメラで撮影をする。今の時代、撮影とはありふれた行為にも思える。でも、それだけでは「作品」にはならない。写真を「作品」にするには、コンセプトやセンスが必要であり、それはカメラの中にあるのではなく、撮影者の中にある。撮影する行為と写真家には、想像以上の隔たりがあると僕は思う。
これまで数々の受賞歴があり、展示実験集団「OUREYES」のメンバーである畠山雄豪の初個展が開催された。その様子を本人のお話を含めて、紹介していこう▼
▲ 空の景色。作品は、ポジ、ネガ、デジタルで撮影したものが混在している。
畠山雄豪は、北海道大学にて建築を学び、都市計画について大学院まで専攻した。その中で、街のさまざな場所を調査のため撮影することから、写真に興味を持ったという。
そこから、「OUREYES」としての活動やグループ展の参加をやってきて、さまざまな反応もらい、それを参考にしたうえで、個展をしようと考えた。
個展となると、テーマはすべて自分自身で考えなければならない。そこで畠山は、最初ギャラリーの縮小模型を作って、そこから個展の作品配置を考えたという。この話は建築を専攻した人間の発想な気がした。
▲ 木のように見えるが、雪から出た植物の小さな幹を接写撮影したもの。
結局、最初の個展から複雑なことをすると、伝わらない可能性を感じてシンプルな構成にしたという。作品自体は北海道の光景を素材にした風景。これは、北海道に住むひとにむけて、という意味と、畠山雄豪は出身は東京だが、写真をやるきっかけは北海道にあったことから、自分の写真のルーツを紹介する意味もあるようだ。
▲ これは北大構内にあるたい肥を撮影したものだという。
作品写真をみてみると、空の景色や、雪の中の植物を接写したもの等、一目で北海道らしいものはない。しかし、「北海道らしくない北海道の光景」によって、違ったかたちで北海道を感じさせることができるのではないか。
今回の個展にて、スタンダートな表現をみせた彼が、次の段階でどんな展開をみせるか楽しみである
Photograph & Text by Shinichi Ishikawa (NUMERO DEUX)