Sapporo Art & Design NEWS
「栗谷川健一展 ―北海道をデザインした男」
2014.2.1(土)―3.23(日) 北海道立近代美術館
D(デザイン)の基本を「北海道をデザインした男」から感じる。
今月「さっぽろ雪まつり」が開催された。僕は毎回、ポスターのデザインを楽しみにしていて、「今年の札幌を代表するお祭りのデザインはどうかな?」と思いながらデザインを見て、いろいろ感想を頭に浮かべる訳です…はっきりと素晴らしいと思うデザインがある。それは、1950年の第一回のポスターだ。これは、とても好きなデザイン。このポスターを手がけたのが今回展示を紹介する栗谷川健一である。
栗谷川健一は北海道のデザインを語るのに欠かすことのできない存在だ。その理由は2つある。北海道出身で道内を中心に数々の素晴らしいデザインの仕事をしたこと、そしてもうひとつは北海道造形デザイン専門学校の創立者であるということだ。デザイナーであり、その教育者であった栗谷川健一の功績は、ずっと記憶されべきことだと思う。
そして、僕は素直にそのデザインの仕事が好きである。今回の展示を見てあらためて思った。デザインはアートとは異なる。アートとはアーティスト自身の表現の発信である。しかし、デザインは広告として伝えたい結論があり、それをいかに効果的なビジュアルにするか、というテーマの取り組みだといえる。僕はいつもそこを考えながらデザインを見る。
僕は「第1回さっぽろ雪まつり」のポスターが素晴らしいと思うのは、初回なので誰も知らないこの「まつり」の楽しさの予感、歴史の浅いことが魅力となる北海道らしいモダン、それを包み込む娯楽やユーモアが感じれることである。ある意味、とても鋭い作風でありながらイメージはいつも暖かく、楽しい。この点については栗谷川健一が若いころ客を呼び込む映画看板の仕事をしていたことも深く関係しているのではと僕は思う。
なんだか、展示の様子はさっぱり伝えてはいないが、それは観に行ってのお楽しみにしてほしい。デザインの素晴らしと同時の北海道の歴史も感じさせてくれる展示である。2倍楽しめるよ。
Text & Photo by Shinichi Ishikawa(NUMERO DEUX)