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2014.02.23 「さっぽろ雪まつり」のアイディア-NEWS ’14 No.3

2014.02.23

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Sapporo Art & Design  ”Idea”
2014.02.23「スノウエッジ〜さっぽろ雪まつりへのアイディア」


01—僕の中。過去と残像の中のさっぽろ雪まつり

正直に話そう。僕にとって近年の「さっぽろ雪まつり」は残像であった。「見かけて」いたが、「観て」はいなかった。鮮明にあるのは親につれられて観た過去の記憶。「今の」この札幌を代表するお祭りを知るために検証してみる。そして、ひとつ「スノウエッジ」の提案をしたい。

02—「さっぽろ雪まつり」と何だったのか?(何なのか)
おさらい。さっぽろ雪まつりは1950年にはじまった。当初は市内の中高生が雪像を制作する小規模のものだった。そこから年々発展していく。自衛隊の協力を得てからは迫力ある大雪像も作られるようになった。現在では札幌市と商工会議所等が主催。毎年2月に7日間開催。今年(2014年)で65回目をむかえる。会場は大通公園(雪像)、すすきの(氷彫刻)、つどーむ(すべり台などアトラクションが充実)。観客数は近年では200万を超える。おさらい終わり。

02—さっぽろ雪まつりの今年
さて、今年の印象(大通会場)を簡単に書いてみよう。大通公園のテレビ塔のある1丁目から12丁目まで公園全部が会場として使われている。最大の見物は雪像。大雪像はやはり見応えがあり芸術的な美しさがある。ほかにも世相を反映した無数の小中雪像もユーモラスなものが多く、市民参加の雪像もある。雪像は夜にはライトアップされるし、昨年よりプロジェクションマッピングもいろいろな雪像でおこなわれているので、夜に観るのがいいかも。実際、思ったのは夜のほうが大通公園に面した建物が目立たなくなるので、ライトアップされた雪像が幻想的な気分を味わえる。雪像のほかには迫力のスノーボードやフリースキーを観たり、小規模ならがスケートや歩くスキーを体験できるところがあって、まさに雪を楽しむコトがまとめられている。また、国内外の味が楽しめるフードコーナーやおみやげコーナーもある。会場の距離は1.2キロ。ゆっくり足を止めながら楽しむなら、それほど疲れないと思う。最後の12丁目会場から、地下鉄で1駅で大通中心部まで戻ることもできる。

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03— 観光としての楽しみ方
暗くなってからがいいかもしれない。夕方のライトアップされた時間から大通会場を歩き、フードコーナーでちょこちょこ食べ、その後すすきの会場で氷像を楽しむ。そして、すすきの周辺のお店でゆったりがいいのではないか。札幌の東京ドームホテルは大通公園に面しており、雪まつりをの光景を見ることができる客室のある数少ないホテル。雪まつりを満喫したいならおすすめ。

04—「スノウエッジ」(仮名)の提案
札幌市は昨年(2013年)はユネスコ(国際連合教育科学文化機関)の創造都市ネットワークにおける「メディアアーツ都市」(デジタル技術などを用いた新しい文化的、クリエイティブ産業の発展を目指す都市)として世界で2番目に認定を受けた。これは札幌の歴史として重要なことであり、メディアアートの要素をぜひさっぽろ雪まつりつなげてほしい。

それによって雪まつりは、もうひとつ上のフェイズ(局面)にいければいいなぁと思う。それは、具体的には雪まつりとメディアアートをテーマにした、現代アートやサブカルチャーとの接続である。

話を進めよう。僕はさっぽろ雪まつりにはもっとエッジの効いた現代アートやサブカルチャーの企画展示(スノウエッジ)があればいい。そう思いながら大通会場を歩いていく。具体的に考えるのが好きなので、スノウエッジの場所を探そう。大通会場はフルに使われており、なかなかさらに新しいことをする物理的な空間がないなぁと思う。最後の西12丁目まで来た。そこで印象的なコトがあった。

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05–第2の会場
それは観光客らしい家族ご一行という感じの人たちが西13丁目にある札幌市資料館を指差して「あれはなんだろうね?」と声にだした。札幌市資料館もとは控訴院(現在でいうなら高等裁判所)であった歴史的な建物。教えてあげたかったが人の流れの中タイミングを逃してしまった。結局、ご一行は資料館に足をむけることなく会場を折り返して行った。

札幌市資料館は、ギャラリースペース等もあるが、さっぽろ雪まつりと直接コミット(連携)していない。これはもったいなぁ、と思った。期間中だけギャラリーを雪祭りにあわせてアートの企画ができないだろうか。また、そう考えると資料館のすぐ北には札幌市教育文化会館がある。ここでは展示や、ライブや演劇の公演も可能である。

この2つの施設をさっぽろ雪まつりのアートやサブカルチャー発表の会場である「スノウエッジ」(仮名)の場にできないだろうか。テーマは「雪とメディアアート」後は自由がいい。平面、音楽、演劇、立体、インスターレション。一番大事なのは、お客さんに楽しんでもらう作品であること。この2つの建物はちょうど雪まつり会場の最後にあるので、ちょっと屋根のあるところで、休みながら、展示等を発表するには最適だと思うのだ。

06—- なぜ、「スノウエッジ」なのか?
なぜ、僕が現代アートやサブカルチャーにこだわるのか。理由は、そこには創造都市としての札幌の未来があり、潜在的な商業マーケットが存在するからだと考える。「でも、それは札幌国際芸術祭でやればいいのではないか?」という意見もあるかもしれない。

札幌国際芸術祭は、そのコンセプトがある以上、評価の定まったものが選定されていくと思う。僕は「スノウエッジ」では、それがお客さんに楽しめる要素がある限り、サブカルチャーだったり、評価の定まっていない実験的なアートをどんどん出せばいい。そして、もっとも大事なのはさっぽろ雪まつりという中でやることによって、アートにそれほど接点のない人に観てもらうことである。

さっぽろ雪まつりにはまだまだ可能性がある。今までの歴史に新たなページを追加したい。

Text & Photo by Shinichi Ishikawa(NUMERO DEUX)


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