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Chiharu MK – “Moere”NEWS’14 No.9

2014.03.20

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NEWS: Sapporo Art & Culture
Chiharu MK – Moere
Yugen Art

モエレによる、モエレのための音楽。
Chiharu MKの音響作品  ”Moere”をめぐって。

「音」はあまりにも日常にあふれる。視覚は目の届く範囲しか捉えられないが、音は後ろからでも、数キロ離れたところから聞こえる。「音」は音楽になりうる。なぜなら、音楽とは「音」だからである。レトリックだと思われそうだが、僕は音楽というのは「音」なんだ、と気楽に考えるのがいいと思っている。だからといって、日常にあふれる雑音のすべてが実は音楽なんだ!とはいわない。「音」が音楽になるには、アーティストのセンスとこだわりが必要だ。そこにアートがある。他は形式や楽器等は一切問わないと考える。シンプルに言い直せば、音に意図があれば、音楽になりうる。音響作品というと難解なイメージをあるかもしれないけど、ただ自分なりに音を楽しめばいいと僕は思う。気楽に考えたい。

Chiharu MKは札幌在住の実験音楽、電子音楽アーティストである。その新作がYugen Artよりリリースされた。フリーのダウンロード作品である。

そのコンセプトについては、アーティスト自身の説明文を以下引用しよう。

この楽曲の着想はブログにも書きましたが、カナダの作曲家 R. Murray Schafer の作品「星の王女」(1981)から得ました。
「ハートレイク湖」を会場に湖岸を取り囲む奏者達によって演奏されるオペラです。
逆の発想で、湖や沼そして回りの環境をフィールド・レコーディングして、その音響がオペラの様にShymphonicに聴こえたら….という気持ちで制作しました。
色々な水辺を作品にしていきたいのですが、まずその1つとしてイサム・ノグチのモエレ沼公園を取り囲む様に存在する「モエレ沼」周辺、ガラスのピラミッド内でもレコーディングしました。オペラのプロローグ的に聴こえるといいなと思います。

僕の聴いてみた感想は音響の中に奥行きのあるランドスケープを感じた。自然、冷たい単一色のイメージ、アート施設としてのモエレ沼公園の空気感、といったものがこの作品にあると思う。そして、サウンドが自然音を素材にしながらも、明確なアーティストの意図を反映させた、独立したシステマチック(またはドラマチック)な「音楽」を感じさせる強度があるのが魅力だと思った。そう、本作の空気感の中にあるドラマ!僕はそれが気に入っている。

Text & Photo by Shinichi Ishikawa(NUMERO DEUX)


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