NEWS: Sapporo Art & Culture
「山本祐歳展觀光 SITE.N2.W2」
会 期:2014年3月31日(月)~4月20日(日)
会 場:STV北2条ビル エントランスアート (北2西2丁目15 STV北2条ビル)
—–「偶然みるアート」 オフィスビルのエントランス。
動物と人間のフォルム。つくること、見せること—–
僕は「偶然みるアート」というのに興味を持っている。それをつくりたいし、関わりたいと思う。それはなにかといえば、ふつうのアート展示はメディア等に告知され、それに興味を持った人が会場に足を運ぶ。そこには偶然性はほとんどない。対して「偶然みるアート」とは、人が訪れた場所に「偶然」アートがあり、結果的に鑑賞することである。ある意味、なにかのついでに、アートを体験することになる。そういう機会がたくさんあるのがいいと思うのだ。何でもそうかもしれないが、アートもそれを体験した機会が多ければ多いほど興味は深まるし、いろいろな作風を見たほうが楽しみも広がる。そして、今の生活スタイルにおいて、美術館等に専門施設に足を運ぶというのもなかなか手間である。僕は美術館を否定するつもりはまったくないけど、それ以外にアートを楽しめる場所もあったほうがいい。それが「偶然みるアート」。
クラシック方法としては公園にある銅像等かもしれない。ただ、それだけだとあまりに作品が固定的で、みる人も限定的だといえるか。僕は考える「偶然みるアート」の場所は街中のとっても人通りのある路上や、駅やホテル、シヨッピングエリア等にあるのがふさわしい。そして、今回紹介する展示会場となっているオフィスビルのエントランス(入口周辺)もとってもいいと思うのだ。なぜ、オフィスビルのエントランスがいいかといえば、他の場所に比べて、空間的に落ち着いているからである。これには2つの意味があって、ひとつは物理的に単色的でフラットな場所が多い。これはアートの展示がしやすい。2つめは、その場所自体がもともとなにかを発信している訳ではないので、そこの置いたアート作品が注目を集めやすいということだ。
山本祐歳は札幌在住の美術作家。動物と人間のフォルムを融合した木彫作品等を制作し、精力的に展示を開催している。その作風は一見奇異な感じもするが、その違和感はしばらく作品を眺めていると心の中から消えて行く。そして、そのかわりに安心感と少しの奇異な感じも復活してくる。でもこの段階の奇異な感覚は気分の良いものだ。そして、どこかユーモアも感じられる作品もある。僕はデザインやアートにとってユーモアというのも不可欠ではないが、重要な要素だと思っている。
展示会場は、STV興発の運営するSTV北2条ビルエントランスアート。本展示は街中のオフィスビルという「偶然出会えるアート」になっているのもいいなと思う。今回の山本祐歳の作品はそのフォルム自体は観る側にわかりやすし、落ち着いているのでこうした空間に特に馴染んだ感じがした。用事に立ち寄ったビルのエントランスにこうした作品があれば僕は足を止めて観ると思う。そうした体験が街中のいたるところで、できればいいなと思うのだ。
Text & Photo by Shinichi Ishikawa(NUMERO DEUX)