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’14NEWS No.32「音楽をキュレーションすること VHVA01 」

2014.09.10

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“VHVA01″ リリース。
音楽を「キュレーション」していくこと。

 

■ キュレーターの時代

キュレーターとは、作品の情報を整理、編集し、コンセプトを立てて、さまざまな発表手段を考え世の中に伝える役割。情報過多の現在ではキュレーターが良いセレクトをして、コンセプトを立てて、わかりやすく伝える、という行為がないと、せっかくの良作も情報に埋もれてしまう。「音楽」はそれ自体単独で魅力的であるが、それが単に「存在する」だけでは足りなくて、なんらかの紹介行為(キュレーション)がないと世の中に届かない。僕は編集者もキュレーターも、基本裏方だと思う。だから、あまり表に出過ぎるのよくないと思っている。キュレーションは、さりげなく。でも、しっかりとしたコンセプトがにじみ出てくるのがいい。あくまで主役は作品自身なのだから。そんな、僕の好きな「さりげない」キュレーションが光るアルバムがリリースされたので紹介したいと思う。

■ VHA01 - Vertical Hoizontal

“Vertical Hoizontal”とは、市内のサウンクリエイター、加藤智諭が主宰する北海道をバックグランドにしたアーティストによる電子音楽の魅力を発表していくプロジェクト。今年2014年にスタート。同年4月に市内のギャラリーカフェにて、道外をふくむ6組のアーティストのライブ・パフォーマンスがおこなわれた。そして、その第2弾の活動として今回は11組のアーティストによるコンピレーション・アルバムをリリース。本作はフリーでダウンロードできる。本アルバムは、それぞれ魅力的にアーティストしてのキャラクターが立った電子楽曲でまとめられており、全体のトーンは静かめな曲調。なので、リビングやベッドルームで聴いても楽しめるものとなっている。こういったジャンルの音楽に馴染みのない人にも聴きやすいと感じた。

本作が北海道らしいかどうかは、北海道生まれの僕にはわからない。でも、自分が編集者として音楽にかぎらず、さまざまなジャンルの作品の取材の中で「北海道らしい」といわれるイメージとして、「おとなしめで趣味がいい」というフレーズがよく聞く。それが北海道らしさというなら、本作はまさに北海道らしい作品といえるかもしれない。

■ 主宰者のテキスト

主宰者の加藤智諭にいくつかの質問のメールをしたところ、
思慮深いテキストが届けられた。それを以下に紹介したいと思う。
その内容には彼の本作のキューレーションの味を感じとって欲しい。

—–第一回のイベントを経て、今回アルバムをリリースした理由は?

まず、Vertical Hoizontal発足時のステートメントで宣言した通り、我々は北海道というバックグラウンドを持つアーティストの作品の露出機会を増やしたいという想いをもった活動体であるという前提があります。

その活動の第一歩としてライブイベントを2014年4月に開催した訳ですが、ライブという一期一会的な表現には時間や空間の共有、空気の振動感や実際の視覚的な刺激といった様々な実体験が得られる一方で同時に制約となる要素があり、露出としてみた場合には一過性のものです。

仮にそれをビデオやオーディオデータとして記録し、それをオンデマンド的に扱える様に設えたしても、それは100%の体験には繋がらないですから、それだけにライブパフォーマンスという表現は非常に貴重だと考えます。

では、記録物には価値が無いのか?と問われればそれは全くNoで、逆にじっくりと時間をかけて作り上げられた作品を何度も、そして色々なシチュエーションやシーンで楽しんでもらえるという点で非常に優れています。

ステートメントの内容に話を戻すと、我々は当初から個性的な作品を世に広く知らしめたいという意図を持っており、その意図に添えば、今回の様なコンピの配信という形態が容易に伝播しうるという事がリリースに至った大きな理由です。

また、北海道外の方々から、北海道のアーティストの作品には「北海道的」なテイストのようなものがある、という様な話を何度も聞いていて、当の我々にはそれが何なのかイマイチ良く判らない(笑)ので、では、集めてみれば何か判るかも知れない、という単純な興味がコンピリリースへの強いモチベーションにもなっています。

ーーー 本アルバムのコンセプトは?

今回のコンピは、北海道にゆかりのあるクリエイターたちが紡ぎだす音に織り込まれた北海道らしいテイストを採集し、できるだけ多くの方々の耳に届けたいというのが最大のコンセプトです。

我々はネットレーベルとかイベント企画といったような固定の活動形態を自らに規定している訳ではないので、どういう形態も自在にとれるのですが、それ故に特定の所属レーベルや活動形態などの垣根を越えて複数のアーティストが集ってコンピを作る事ができたという点や、出来るだけ多くの人に聴いてもらいたいので、あえてFree DLで配信しているという点もアピールしたいポイントです。また、専業音楽家ではないアーティストが参加者の多くを占めているのも特徴と言えるかもしれません。

参加してくれた一人一人のクリエイターはそれぞれに違う作風なのに、コンピとしてまとめてみると、なんら違和感無く共生できたというのは非常にラッキーだったと思います。

ーーージャケットのアートワークについて、教えていただけますか?

コンピに関わる全てを北海道にゆかりのある人の手で作りたいという想いがありましたので、色々と検討なり交渉なりを重ねてきたのですが、最終的に、第一回のイベントに参加してくれたY:E:Tというユニットのメンバーで、ウクライナ在住のv4w.enkoというアーティストにアートワークを担当してもらいました。

彼は、本来はサウンドクリエイターなのですが、メディアアート系のクリエイティブでも才能を発揮している人で、非常にすばらしい作品を提供してくれたと感謝しています。

ウクライナは今、非常に政情が不安定で緊迫した状況にあるにも関わらず、我々のオファーに快く応えてくれた事にリスペクトと深い感謝の意を表すと共に、一日も早く平穏な日々が訪れる事を祈っています。

ーーー次回のイベントの予定など。

具体的な日程などは決定していませんが、あまり遠くない先に何らかの企画を実行に移したいと考えています。まだかなり柔らかい状態ですが、前回のイベントで得られたものや反省点などを活かしつつ、すでにいくつかのアイデアは温めているので、良きタイミングに至ったところで何かやりたいと考えています。

イベントの形になるのか、コンピのような形になるのか、それとも全く別の何かになるのかはまだ明言しませんが、ステートメントで宣言したコンセプトに対してブレることなく、我々しかやらないような何か面白い事をやりたいと思っていますので、是非注目して頂きたいです!

 

■ 僕は北海道発の魅力的な作品として、同時に良質の「キュレーション」の形として、Vertical Hoizontalの活動に今後も注目していただきたい。この活動は多くの人に扉が開かれている。

Text by Shinichi Ishikawa(NUMERO DEUX)

 

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“VHVA01 / Various artists”
Digital Album Free Download

1.Takeko Akamatsu – beyond the shell (ver.2.0) / 2.commoncycle – cc-1403
3.anasazi technology – around / 4.Shohei Takata – blaupus
5.kazuhirooikawa – 4102remmus /6.sanmi – North Field 9
7.Yamaoka – fire place / 8.Anokos – stuttering
9.Tetsuya Hikita – ADSR / 10.Naoyuki Sasanami – rain
11.Mitsuru Shimizu – 1s

released 01 September 2014
Compiled by Vertical Horizontal
Mastering by Ryusuke Sasaki (Anokos)Artwork by Evgeniy Vaschenko a.k.a. V4W.ENKO

more Info -
vertical-horizontal.com/grid_test

 


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