安西水丸のカッコ良さ。
ユーモアと、その背後に隠されたもの。
僕は、自分のクリエイティヴにユーモアや可愛らしさ、どこが力の抜けているイメージをつくるのが苦手です。昔はそのことは気にならなかったのだけど、だんだん気にはなっている。現在は、それは「憧れ」の気持にもなっている。今から目標にしても達成できるかどうか。優れたクリエイティヴには、ユーモアや、一見したところ、どこか抜けている感じがするものがある。それを一番に思い起こすのが安西水丸の作品なのです。
安西水丸は、イラストレーターであり、漫画や絵本、小説も手がけている。村上春樹との仕事が多い、書くとわかる人は多いかと思う。その経歴は、もともとは広告代理店である電通のAD(アートディレクター)であったが、後にイラストレーターとなる。80年代からフリーとして活躍。昨年、72歳で亡くなった。
今回、市内中心部にあるギャラリー「Kita:Kara Gallery」(キタカラギャラリー)にて「安西水丸1974-2015」展示が開催された。この場所は北海道のアートや文化を発信する「Kita:Kara 」が運営。2014年にオープン。企画展を中心としている。ちなみに本ギャラリーのあるビルには、北海道文化財団の展示スペースや、大通美術館があり、街中のアートスポットとして魅力のある場所となっている。
本展では、原点ともいえる「青の時代」。20年ぶりに復刊された村上春樹氏との共著「夜のくもざる」 「日出ずる国の工場」の表紙や挿絵。「ガロ」に掲載された漫画。初期作品「Toy Series」からの新作版画など、初期〜現在に至るまでの版画作品と原画および、Tシャツやマグカップ、バッグなどのグッズも販売。コンパクトながら、安西水丸の「歴史」が凝縮されている企画で見ごたえがあり、優れたクリエイターの思考と進化が興味深く感じ取れる。
安西水丸の作品にあるユーモア、可愛らしさ、抜けた感覚。それは裏と隠された厚みがあると僕は思う。それは、感覚と同時に考え抜かれたクリエイティヴがではないか。だから、作品はユーモアと可愛らしさとクールさが同居している。つまりかっこいい。ぜひ、足を運んで感じて欲しい企画である。
Text&photo by Shinichi Ishikawa(NUMERO DEUX)
「安西水丸1974-2015」
会場:キタカラ・ギャラリー(大通西5 大五ビルヂング3階)
2015年2月16日(木)~3月28日(土) 10:00 〜 19:00 日・祝休み