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NEWS No.15021 「杉田光江展 ”森・生命体・再生”」

2015.11.08

杉田光江
WEB MDEIA NUMERO DEUX  NEWS No.15021
札幌のアートやカルチャーに関するニュース

空間がないと、生きていけない。
空間でできること、感じること。

「空間」を芸術表現としたことは素晴らしいと思う。なぜなら、自分がそれを体験することができるのだ。僕は誰かのつくった「空間」に入ってみたい。入っている。

インスタレーションとは美術の表現方法のひとつ。アーティストが屋内や野外で、様々な素材を使って空間を制作する。その「空間」そのものが作品になる。1970年以降に一般的になっている。それまでの美術、例えば絵画はあくまで平面のキャンパス中だけの2次元の表現であり、その中でアーティストの世界がすべて完結していたのに対して、インスタレーションは3次元の空間の表現。かつ場合によっては、その場に最初から存在した自然や人工物とリンクして表現される。そこにはアーティストの表現と既存の現実世界が重なっている部分のライブ感が、僕はとても興味深く好きな芸術表現である。

杉田光江 は市内在住のアーティスト。1990年頃からインスタレーションの表現を精力的におこなっている。その表現は植物を素材にしたインスタレーション。今回の展示では、乾燥させたガマの穂を床面に敷き、イネ科の植物であるホリジュームの穂部分を組み合わせて天井からつり下げている。自然という素材をつかいながら人工的につくられた空間世界はSF映画のワンンシーンのようだ。

そんな、第一印象が薄すまってくると、次になんとも心地良さと同時に力強さも感じてくる。それは不自然なことではなくて、自然の素材には優しさと強さが共存しているものだと僕は思う。そして、その空間に観る側が同時に存在している感覚、それが「空間」をつくるインスタレーションの魅力だと思う。観る側のライブ感のおもしろさがある。

自然の中の自然、自然を素材にしたインスタレーションによる自然。この2つは、まったく違うものである。自然はただ自然なだけでも十分に魅力的である。それを「表現」の素材とした時、どんな可能性があるのか?それが杉田光江が追求していることだと思う。自然の中にアーティストの作為(=不自然)は入り込む。そこを感じることが僕の楽しみがある。

会場であるギャラリーレタラは地下鉄円山公園駅をおりて5分程度のところにあるビルの3階にある。このビルは作家性の高い雑貨のお店や、カフェ、フレンチレストランもある魅力的なビル。楽しみに足を運んでほしい。

Text by メディア・プランナー 石 川 伸 一 (NUMERO DEUX)

「杉田光江展”森・生命体・再生”」
会期:2015/10/31-11/16 12:00~18:00 火曜日定休
会場:Gallery Retara(北1条西28)


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