NUMERO DEUX NEWS 16006
札幌のアートなニュース。
石の持つ安定感は、不安的はなにかを
永く暗示できるのではないだろうか。
石を意識することがある。登山をした時石を拾った。海辺に行ったときも石を拾った。山の石は角ばっていたが、海辺の石はまるかった。札幌にも場所によって都心部に石造りの建物をみかける。石は自然する。きっといつまでも形をかえながら、そのままの形でも。
野村裕之は札幌在住の美術家。石を素材とした彫刻を作り続けている。会場に入ると家をイメージしたと思われる彫刻作品が展示されている。そのフォルムを見ると、彫刻で単純に家をつくったというよりも、石によるイメージの「家」なのかな、と僕は思った。なぜなら、作品は単に建築物としての家を表現する以上に作家のイマジネーションが加味されているのがわかる。では、それは何なのだろう。そこから、僕は展示全体のタイトル ”家ヲ壊スモノ”ということを考えてみる。それは少しドキッと文字列だと思う。直感的にここでいう「家」とは、家を構成する人の関係性を示すことなのだろうか。
一見、表面上では多くを語らないように見える石の彫刻。その姿は可愛らしくも感じる。しかし、それをよくよく、いろいろな方向からみてみると、シンプルではすまされない、なにかが隠されている気がするのだ。「家」が「人」を示しているとしたら、それを「壊スモノ」とは何なのだろうか?石自体にはとても落ち着きがあり、硬い。でも、あらゆる形になることもできるし、そのままでもいられる。家はどこから「壊れて」いくのだろうか。それは、僕は単純にはここで説明はできない。多分それは誰にもできないことだと思う。ただ、ここで展示されている石の家たちは、家の壊れた方を暗示しているような気がした。なにかが壊れるには、なにか暗示がある。静かにみえる石の彫刻から、いろいろ感じさせるアートの表現を感じさせる展示だった。
会場のギャラリーミヤシタは1984年からはじまった古民家を改装した現代美術のギャラリー。その立地は、は中心部から円山の間にある静かな住宅街の中にある。
Text by メディア・プランナー 石 川 伸 一 (NUMERO DEUX)
「野村裕之solo exhibition ”家ヲ壊スモノ”」
会期:2016年01月06日(水)〜01月17日(日)
会場:ギャラリーミヤシタ(札幌市中央区南5西20)