NUMERO DEUX NEWS 16016札幌のアートなニュース。
「写真」はどこにいくのか。
シンプルな中の美しさの発見。モノクロ・ポートレート。
プロのフォトグラファーの世界では「撮影後、いつものラボに頼む」から「自分でコンピュターをつかって写真データーをレタッチ(修正や加工)する」という工程が生まれ、信じられないほどの高度な処理がパソコンで可能になっている。この複雑さは何なのだろう? そんなことを考える暇もなく、デジタルカメラの新製品は発表され、フォトレタッチのソフトウェアはアップデートされていく。ただ、この流れに乗っていくだけでいいのだろうか? ひとついえるのは、テクノロジーの発達は必ずしも、魅力的で美しい表現にリンクするとは限らない、ということ。
伏見行介は、都内在住の写真家。広告写真プロダクションMASHの代表であり、カメラ誌への作品発表、撮影会の指導、そして個展も精力的におこなっている。今回の展示では、フィルム時代のモノクロ・ポートレートの魅力を伝える内容の展示を国内4ヶ所のキャノンギャラリーで開催。札幌でも3月10日より予定されている。伏見行介は今回の展示について「デジタル写真は面白い。しかし、フィルム時代から撮影している私の年代の写真家は、正直デジタルに少しお疲れ気味な面もあります」と語る。そんな時に目にしたフィルム時代のシンプルなモノクロのポートレート。そんなシンプルで美しい世界に挑戦したのが今回の企画である。テクノロジーに流されそうな写真という世界で、過去にも未来にもつながる魅力が発見できる展示になるようだ。
Text by 石 川 伸 一 (NUMERO DEUX)
「伏見 行介 写真展:Old fashioned portrait 先達へのオマージュ」
会期 :2016.2.6(土)- 2.27(土)
会場:キヤノンギャラリー札幌