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NEWS No.16017 「 星野麻美・土岐美紗貴二人展「IMMORTAL」』

2016.03.06

IMMORTAL2
NUMERO DEUX NEWS 16017 札幌のアートなニュース。

失う、失わないから離れること。
美しい永遠の発見。

ゴダール映画「気狂いピエロ」のラスト。ダイナマイトを巻きつける男。マッチと導火線、爆発。ランボーの詩の朗読。「また見つかった、何が、永遠が、海ととけあう、太陽が」。 これを観て僕は思った永遠とは「みつける」ものだと。

永遠ではないものは時に失われる。僕は「失うこと」を常に恐れていて、「失われない方法」をつねに考えている。おおざっぱな話だけど、自分の行動原理はこれでほとんど説明できてしまう。失わないために僕は生きている。でも、失うとははどんなコトなのだろうか。世の中には確実になにか失ってしまうことはある。でも、時には失っていないのに、そう感じてしまうこともあるにちがいない。そして、そうしたものには「永遠」が静かに隠されている。「美しさ」を伴いながら。

東京と札幌で活躍するフォトグラファー星野麻美と、札幌を中心に版画作家の土岐美紗貴。2人の作品から「花」をテーマにした2人展が開催された。作品制作において「花」というテーマは、とてもスダンダートなものであるが2人の取り組み方は特長がある。星野麻美はカメラを通して枯れ果てた花に、華やかな生命力を発見した作品をつくる。展示された作品には、華やかなエネルギーが実に品よく表現されていて、あくまで自然な生命力を感じさせるのが気持ちいい。土岐美紗貴は、花という華やかな存在について、静かで穏やかな魅力を閉じ込めた、まるで棺を思わせる作品をつくっている。展示された作品には、標本のような整然として美しさがあり、それは永遠を保証するような落ち着きがある。

永遠なんてない、と僕は考えていた。多分、それは半分は合っている。でも、半分は違う。永遠ではないと思っているものに、実は永遠が隠されているのだ。美しい永遠が。失われることを恐れる自分。実は失われない永遠。本展示では失われない永遠について、実に緻密に考えた2人の作家による作品展示会になっている。2人の作品は向かい合わせの壁面にそれぞれの作品が配置されている。それは、まるで合わせ鏡のように、永遠を作り出しているように感じた。ここに僕は永遠をみつけた。

会場のto ov cafe(ト・オン・カフェ)は、地下鉄中島公園駅から歩いて3分程度の場所にあるギャラリーカフェ。コンパクトな空間ながら、独立したギャラリー空間のある、しっかりとしたアートスペースとなっている。お茶を飲みながらアートを楽しめる魅力のある空間だ。アートについてのレクチャーイベントも開催している。

Text by 石 川 伸 一 (NUMERO DEUX)

「 星野麻美・土岐美紗貴二人展『IMMORTAL」』
会期:3月1日(火)〜3月13日(日)
時間:10:30〜22:00(日曜日は20:00まで
会場:to ov cafe/gallery(札幌市中央区南9西3-2-1)

 


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