NUMERO DEUX NEWS 16019札幌のアートなニュース。
ギャラリーとは「誰が何をする」空間なのか?
ギャラリーには貸しギャラリーと企画ギャラリーがあるのはご存知だろうか??前者は要するに、お金を出してくれればアーティストに展示場所として貸しますよ、というギャラリー。その場合、原則展示作品の内容や、展示レイアウトの仕方にギャラリーが口を出すことは少ない。ご自由にどうぞ、という感じ。後者は、ギャラリーがキュレーション(作品の内容・展示の仕方や広報までアーティストと話し合って進めていくこと)をおこなうギャラリーのことである。もしかしたら、この2つのギャラリーの違いにピンとこない方もいるかもしれない。でも、実はアーティストにとっても、ギャラリーに行く美術ファンにとっても、この2つのギャラリーの違いはとても重要なことなのだ。
企画ギャラリーは、音楽でいうならプロデューサーみたいなもの。アーティストを世間に対してどう見せて行くか?というのが企画ギャラリーの役割であり、その「見せ方」がアーティストの評価に大きく影響するのだ。アーティストは、まず自分なりのオリジナルの表現を確立するのが大切で、そこを通過した時に、自分を世間にどう見せて行くか?というのを意識しないと、ステップアップが難しい。その「見せていく」ひとつの方法として、有力なパートナーになってくれるのが企画ギャラリーの存在なのだ。市内にあるクラークギャラリー+SHIFTは2011年にオープンした企画ギャラリー。60〜70年代の版画コレクションの他、北海道の現代作家のマネージメントを行っている。今回、本ギャラリーの所属作家の山本稔による展示が開催された。
山本 稔は1984年生。北海道旭川出身。ポップなアプローチを独自のスタイルで表現。モノクロで人物等を描いた象徴的なグラフィック・アートを制作している。クラブのフライヤー、CDジャケット、ウォールペインティング等にも作品を発表しており、自身の作品が新たな形、新たな活動の場で表現できる事を日々追求し続けている。
会場では、作品がランダムに壁面に展示され、ギャラリーを訪れたお客さんも自由に山本稔の作品を壁面に設置できるユニークなしかけになっている。それはまるで、アーティスが街中でこっそりと作品を展示するようなアンダーグランドな感覚が楽しいし、ポップな作風がそんな感覚に実に似合っている。整然よりランダムが似合うユニークな展示ではないだろうか。こうした「見せ方」も企画ギャラリーならでは見せ方ではないか、と僕は思った。モノクロの中のポップな世界を味わい、感じて欲しい。そこにはなんらかの「救い」があるのかもしれない。
Text by 石 川 伸 一 (NUMERO DEUX)
山本稔 個展「MINORITYが世界を救う。」
会期:2016年3月1日(火)~30日(水)
時間:11:00~19:00(月曜・第3火曜日休廊)
※21日は祝日のため営業、22日が振替休廊
会場:クラークギャラリー+SHIFT (南3東2 MUSEUM 2F)