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NEWS No.16023「齊藤智仁『123」展』 《第2章》123を描き続ける男」

2016.05.04

齊藤智仁

NUMERO DEUX NEWS 16023札幌のアートなニュース。

数字とアート。僕は数字が苦手。でも、この「123」は好きになれる。

僕は数字は苦手だ。根っからの文系人間。そうボヤいても、仕事にプライベートに数字から完全に逃れることはできない。仕事で数字を扱う、買い物をしたり、寸法を測ったり。最低限との数字のコミニュケーションはそれほど難しくはない。それでも苦手意識があるので、着手して終わるまでは気が重い。数字は残酷だと思う。いつも同じラストが用意されている基本構造。「必ず答えがでる」というのが好きな人は数学が好きになれると思う。「数字は裏切らない」というが、その潔癖さが僕は重く感じる。「答えなんて出ない」または「答えは変わる」なんて、いつも考える僕は数字という存在に少し距離を置いている。嫌いな訳ではない。

でも「123」という響きは好きだ。どこか、かけ声のような、文学的な感じがある。はじまりの予感。これには難しい数式が絡みつくことなく独立している。「123」までなら数字を好きになりたい。「123を描き続ける男」という本展示のコンセプト読んで「123」までなら、僕は好きになれそうな気がして、心が軽くなる。

齊藤智仁は1984年釧路生まれ。高校生時代にブレイクダンスをはじめる。29歳までダンスや舞踏など身体表現のフィールドで活動。現在では舞台演出や振付などを手掛けながら、身体表現で培ってきた哲学を基礎に「123」という数字をテーマに、アーティストとして作品制作もおこなっている。2015年に札幌市内で行なわれた「123展」の第1章に続くのが本展。1枚の紙に1~2mmの「123」を様々なフォルムで描いた平面作品や「123」をモノに書いたもの、紐で縛ったもの、音楽作品などが展示されている。

会場は「123」の数字に囲まれている。でも、とても気持ちがいい。ここには数字から僕が感じる「冷たさ」がない。なぜなら、学問的にはひとつしかない「123」が、いろいろな表情を持ってここに存在するからだと思う。額装された「123」。クリアケースに入った「123」。立体になった「123」。音楽になった「123」。これらのバリエーションが、本展示を親しみやすく、魅力的にしている。2次元から3次元を行き来する「123」。そして、これは足すことも引かれることもなく、同じ数であることが僕にとっても安心できる。「123」という数列については、僕はなんにも考えなくてもいいいし、深く考えててもいい。数字とここまで自由な関係性を持てるのは、今回の齊藤智仁の「123」が初めてである。

アートで数字をテーマにすること自体は、珍しいものではない。ただ、それらの作品は提示されて数字について、受け手は否応無しに考えなければならないものが多い。しかし、本展示はアーティト自身も数字の意味について明確に言及していない。だから、受け手は自由に考えることができる。数字をオブジェとして考える。そうした発想があると、自分自身が楽しくなってきた。僕はもっと数字とラフにお付き合いしたいのだ。

Text by 石 川 伸 一 (NUMERO DEUX)

齊藤智仁「123」展 《第2章》123を描き続ける男
会期:2016年4月2日(土)~30日(土)/11:00~19:00(月曜・第3火曜日休廊)
会場:クラークギャラリー+SHIFT(南3東2  MUSEUM 2階)

 


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