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NEWS No.16024「北川陽稔 作品展 Okhotsk#01」

2016.05.07

北川陽稔

NUMERO DEUX NEWS 16024札幌のアートなニュース。

アートは風景から、過去と未来を考えさせる。

平日。家の外に出る。いつも見ているシーン。それは目で捉えていても、日常の中に埋もれていく。つまり馴染みすぎていて目で捉えても、頭で考えない時がある…オフに遠出をする。みなれていない風景でも頭まで届かない場合がある。もちろん、気分転換にはなる。ただ、そこで終わる。風景は時に意識しないと思考に及ばない。時には、僕は風景について考えないといけないと思う。考えなければ「それ」は無いに等しい。

気がつかないことを、気づかせる。ありきたりだけどアートの役割は、そこに重点があると思う。気づかせること。それは心を動かすこと。情報が多すぎの現在ではいかに、風景の背後に隠れていることを、気づくのが大切なことだと思う。今の世の中は実は大切なことが、どんどん背後に隠れてしまっているのではないか。自分の身の回りが多くのレイヤーに囲まれていく。スマートフォンはもちろん便利だ。でも、時にはそれは思考を曇らせる。なぜなら、それはあまりにも「今」だけを捉えて、過剰に情報が発信されるからかもしれない。

生きているのは「今」。でも過去があるから「今」がある。そして「未来」を考えるのに「過去」を振り返るのが大事なことだ。なかなか、それはうまくいかないのだけど。そこにアートの出番はある。

北川陽稔は札幌出身の写真家/ビデオアーティスト。東京にて映像作家として活動し、短編映画の制作等を行っている。最近では、北海道を制作の場として、歴史的な背景をテーマに時の多層性をコンセプトとして写真やビデオによる作品に取り組んでいる。

約1万年前の氷河期。北海道はシベリアや中央アジアと陸路でつながっていた、と考えられている。よって、諸民族の移動や交流があった。人々は凍った海を渡って北海道に辿り着き、日本に定住したのかもしれない…そんな歴史的な想定をもとに本展示は構成されている。具体的には冬のオホーツクの風景と、先住民族の資料を複写・収集。それを風土の昔と現在を二重写しにしたイメージした作品を展示。それは「写真を用いて私たちのDNAに秘められた『仮説』を辿る行為」だという。僕も立体的に展示された二重のイメージから、風景について思考を巡らすことができた。それはよくできた映画から受ける感銘のようだった。

過去と現在が重なった時、未来への発想が生まれるのではないか。本展示は、そんな非日常を体験させてくれる。ここには過去と未来を考える「今」を作り出していると思う。

Text by 石 川 伸 一 (NUMERO DEUX)

北川陽稔 作品展 Okhotsk#01
会期:4月21日(木)~5月10日(火) 時間:11:00~19:00(最終日は17:00迄)
会場:グランビスタギャラリーサッポロ(北1西4 札幌グランドホテル1階)
入場無料

 


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