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NEWS No.16026「Okoimatsu個展『誰かのあとで少し見える♯2』」

2016.05.26

オコイマツ個展「誰かのあとで少し見える#2」

NUMERO DEUX NEWS 16026札幌のアートなニュース。

「試し書き」のアートと編集的可能性、潜在意識。

僕は文房具店が好き。良く行く。売場で一番好きなのが筆記具のところ。ある程度の専門店だと「試し書き」の紙がある。そこで、自由に書き味を確認することができる。同時に見知らぬ人が書いた「試し書き」を見ることができる。図形だったり、具体的な文字の場合もある。これらは、伝えるための表現ではなくて、無意識の表現だと考えることができる。これは実に興味深いことで「試し書き」をしている気持というのは、メモでもなく、コミニュケーションでもない。もちろんアートとしてでもない。ただ、書いた当事者が、そう思っていなくてもアートに近いものがあるのではないだろうか。人は「試し書き」には何を書くのか、なぜそれを書いたのか?実に興味深いことではないだろうか。日常に隠された非日常。

Okoimatsu(オコイマツ)は長野県生まれ。東京・ロンドンを経て、現在、札幌を拠点に活動するアーティスト。その表現は日常の中にある、なにげない、さりげない変化を捉えて作品づくりをしている。本展示は、ロンドン・東京・札幌で集めた「試し書き」を集めて、それを素材にした各都市の風景を描く、大変ユニークな表現だ。この行為はアーティステックであり、同時にとても編集的なのが興味深い。コラージュや、サンプリングより、より抽象的なのが作品の深度をあげている。

試し書きの中の「無意識」というのは、考えてみると実に興味深い。例えば、僕は自分は試し書きで書くのは四角を書くことが多い。僕にとって、四角形とはコンテであり、ページネーションであり、チェックボックスだといえる。つまり、自分のクリエイティブが四角から、いつも始まるのと関係があるのではないか。試し書きには、その人の「なにか」が隠されていると思う。つまり、人なのだ。そして、人が風景、そして都市を作っていく。または、風景から影響を受けていく。つまり、人から発せられるイメージ=「試し書き」で都市を描くことは可能性のあることだと思う。

世界中に存在する「試し書き」。その可能性に着目したOkoimatsuの視点は鋭い。それは、アートであると同時に、僕にはメディアを作るような編集的な行為があるのが、今後も目が離せないところである。「試し書き」による都市の風景、見に行ってほしい。

Text by 石 川 伸 一 (NUMERO DEUX)

「Okoimatsu個展『誰かのあとで少し見える♯2』」
会期:2016/05/02(月) ー 2016/06/30(木)・10:00~24:00
会場:クロスホテル札幌(北2西2)2階ロビー・ミートラウンジ
入場無料



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