NUMERO DEUX NEWS 16031 札幌のアートなニュース。
建築はメディアだと思う。
僕は建築家の頭の中を覗いてみたい。
考えることが自分を作っていく。そして、それはクリエイティブにもつながる。確実に。僕はあたまの片隅でいつもメディアについていろいろ思う。建築というのはある種、究極のメディアだと思っている。建築家が技術やコンセプトによって、建築とそこに住む・利用する人をつなげていく建築という名の「メディア」を作り出していく。建築という無機物と人を有機的にコミニュケーションする仕組みをつくる、というのはなんと大変な作業だろう。建築家とお話する機会があると、いつも興味深い話が聞ける。おもしろくない訳がない。なぜなら、建築は「衣・食・住」という人間の三大(絶対)要素のひとつなのだから、重要だし深い。深いコトには必ずおもしろさにつながる。そして、自分のクリエイティブにも参考になることが多い。
北海道を拠点に活躍する建築家五十嵐 淳。本展示はその貴重な設計のプロセスを記したスケッチが、アート作品のように展示されている…というよりこれは、ひとつひとつがアート作品だと思う。建築とは、技術や理論であり、同時にそこを使う「人」の気持ちも考えないといけない。なんという複雑さだろうか!ただ、これは僕が普段つくっているメディアづくりにもいえることで、基本は技術が必要。そして、技術だけでも作れる。だだ、そこに気持ちについての思考が入れないと、いいものをできない気がするのだ。今回、五十嵐 淳のスケッチをみていると、予想よりもはるかに人間味のある内容に、ついロジックに頼りがちな自分の反省点にもなった。技術と人間味(センス)をどう配置していくか。クリエイターの制作過程は、いつもおもしろい。
五十嵐 淳(いがらし じゅん)建築家
1970年 北海道生まれ 1997年 株式会社 五十嵐淳建築設計事務所 設立 2005〜2010年 北海道工業大学非常勤講師 2006~2008年 東北大学非常勤講師 2006〜2013年 名古屋工業大学非常勤講師
オスロ建築大学客員教授。慶應義塾大学非常勤講師。
眺望ギャラリー[テラス計画]は、札幌駅前通で、札幌の観光スポットのひとつ北海道庁旧本庁舎(赤れんが庁舎)が見えるテラスに隣接したアートギャラリー。赤レンガテラスという、2014年にオープンした4階建ての飲食店を中心に賑わう商業ビルの5階にある。
Text by
アート・メディアライター 石 川 伸 一 (NUMERO DEUX)
「アイデアのかたち展2|五十嵐淳」
会期:2016年4月8日(金)~6月14日(火)
時間:10:00~20:00
会場:眺望ギャラリー[テラス計画](北2条西4)