NUMERO DEUX NEWS 16032 札幌のアートなニュース。
時間が風景をつくる。
風景が時間をつくる。
いつもではないけど、夕焼けや夜明けを見て心が動くときがある。それは多分、感動とも言い換えることができる。子供のころは、もっと夕焼けは見ていた。そして、さらに昔、照明のない時代ではもっと人々は見ていたのだろう。人は暗闇でできることとは少ない。暗くなる前に働く、遊ぶ。光と、それに照らされた風景が生活のリズムをつくり、時間を測る時計のような役割があったに違いない。今、僕達の生活は照明というテクノロジーのおかげで、夜でも昼のできる大部分のことはできる。それでも、時々、僕は夕焼けや夜明けに心が動く。その光景は巨大な、時間(タイムライン)のビジュアルだと考えることもできる。僕はそれを眺めていると、どこか幻想的な気持ちなる。風景の「動き」に魅惑されるのだ。
国松希根太は 彫刻家。1977年・札幌市生まれ。多摩美術大学美術学部彫刻家を卒業。2002年より飛生アートコミュニティー(北海道 白老町)を拠点に制作活動を行なう。近年は地平線や水平線、山脈といった風景の中に存在する輪郭(境界)を題材に彫刻や絵画、インスタレーションなどの作品を制作。本展示では、風景の中に存在する「時」を主題にした展示を試みている。作品を見ると、僕は静的であり動的な印象を受ける。そこに時間を感じる。それは、個展タイトルから影響を受けたのかもしれないけど、それだけでなくて、自然な風景には静かに、そして確実に時間の経過を感じさせる、なにかがある。それは地球がはじまってからの歴史が隠されているからではないか。風景には時間があるのだ。きっと。
会場はグランビスタギャラリーサッポロ。市内中心部にある老舗ホテル「札幌グランドホテル」内にある本ホテルが運営するギャラリー。2013年にオープン。場所は1Fメインロビー内の目立つ場所にあり行きやすい。独立したギャラリーのあるホテルは札幌では他にみられないと思う。宿泊客だけではなく、市内に住む人にも魅力的なアート・スポットである。
Text by
アート・メディアライター 石 川 伸 一 (NUMERO DEUX)
国松希根太個展「TIMESCAPE」
会期:2016年5月12日(木)~5月31日(火)
会場:グランビスタギャラリー サッポロ
(北1条西4丁目 札幌グランドホテル1階ロビー内)