札幌のアートなニュース。
多数作家の楽しさ。
アートの森がつくられた。空と水。
アート作品にむかことは疲労感がある。それは、表現より刺激を受ける代償ではないか。さて、アートのある空間。ギャラリーとは、美術を楽しむための基本的な「メディア」だと思う。当たり前のようだが、決して自然に存在していたものではない。「発明」されたものである。ルネッサンス期(14世紀〜16世紀)において、イタリアの銀行家であり美術家の支援者であったコジモ・デ・メディチが、邸宅の回廊を市民に開放し、その収蔵品を閲覧させたことからはじまる。そこから、はじまり、ひろまっていった。
現在では、ギャラリーではない場所でアート表現をおこなう「脱ギャラリー」という動きもあり、それは僕も賛成できる。でも、ギャラリーを否定する訳ではない。共存していけばいいと思う。ギャラリーとは今後も残すべきアート作品をみせるメディアのひとつだと思う。
札幌在住の作家16名による「空や水、循環」をテーマにした展覧会が開催された。立体造形・絵画・写真・版画など様々な方法で共通のテーマを表現している。大きめの空間であるが、その場がフルに活用され、展示も三次元的で、テーマにある水や空のようにアートの自然がある「森」のようであった。僕はアートの森の中を歩いていった。観察し、発見もあった。こうした多数のアーティストの参加する展示には、一度にいろいろな作品を楽しめるという利点があり、そこに思いがけない出会いもある。このアートの森を抜けた僕は心地よい疲れと一緒に外に出た。
Text by
アート・メディアライター 石 川 伸 一 (NUMERO DEUX)
「空(クウ)なる水(スイ)は待ち侘びて」
会期:6月14日(火)~19日(日)
場所:大丸藤井セントラル(7Fスカイホール)(南1条西3)