NUMERO DEUX NEWS 1675-4 札幌のアートなニュース。
服の持つメディア性。
新しいステップを持った服。
映画「さらば青春の光」では、モッズとロッカーズが対立が描かれる。両者はファッションも違う。フード付きの軍用コートと革ジャンパー。つまり、服装が一番わかりやすく、彼らの立ち位置や思想を示している。そう考えると服装は「メディア」だと考えられる。この例だけではなく「ファッション」は常にメディアであった。最近はファッションは少し元気がない。ファストファッションは僕は否定はしない。でも、そこにはどうもメディア性が感じられない。今は、自分の立ち位置や思想は服装で示さなくても良くなった。なぜならSNSのアカウントを入手して、自分の好きなグループや仲間を「検索」すればいい。そこに服装のメディア性は不要。では、もう「メディア」としての服は成立しないのだろうか?
研壁宣男(すりかべ・のりお)はファッションデザイナー。1966年岐阜県生まれ。桑沢デザイン研究所卒業。在学中より受賞歴あり。イタリアに渡りミラノのセレクトショップ「10 CORSO COMO」にてオリジナルブランド“NN STUDIO”のチーフデザイナーを務める。その後も数々の活躍を経て1999年よりブランドsupport surfaceを立ち上げて国内外に展開をおこなっている。今回そのアイテムの展示がおこなわれた。北海道ではなかなか現物を見られない。貴重な機会だったと思う。
support surfaceの服を直にみる。魅力的なセンスに加えて、僕が感じたのは「優しさ」。それは、和と洋の服装の利点を活かした「着やすさ」を追求したデザイン。そこから伝わるものかもしれない。そう、服装の「新しいメディア性」が感じられた。鋭い、尖った個性というよりも、着る人のことを考え、確かなコンセプトから生まれたデザイン、そこからにじみ出る「優しさ」。その服を着る人への信頼感と安心感。僕は思う。これからの服は他者へのメディア性をもちつつ、着る人への気分にも影響(人生)を与える…そんな、服が昔からもっていた機能…でも、今どこか忘れがちなまところを、思い出させる服であって欲しい。それは(積極的に)「着てみたい!」という気持ちにさせる服が嬉しい。support surfaceにはそれがある。
Text by
アート・メディアライター 石 川 伸 一 (NUMERO DEUX)
「pass:age support surfaceの世界展」
会 期:2016年10月20日(木)〜12月6日(火)11:00~19:00(最終日17:00)
会 場:グランビスタギャラリー サッポロ(北1西4 札幌グランドホテル1階ロビー内)
http://www.supportsurface.jp/