増え続ける「メディア」とは何なのか?
僕たちは常に考えなければならない。
僕は紙メディアやウェブメディアの制作をしながら、わりと自然な形で「メディア・デザイン」の一部を理解していったと思っている。インターネットの出現、特にimode(懐かしい!)から現在のスマートフォンに至る「インターネットの使える携帯電話」は、僕たちの生活を一般させてしまった。「新規契約なら機種料金タダ!」なんて場合もあり、自然な形で、無理なく広まったいった。そのため劇的変化を感じにくい。でも、ふと考えてほしい。今、携帯電話(スマートフォン)の無い生活が考えられるだろううか?自分はスマホ利用しているのだろうか?、それともスマホに利用されているのだろうか? インターネット、携帯電話は僕たちのまわりにある「メディア」をもの凄いスピードで変えて、増えていったのは事実だと思う。そして、それがは今でも進行中だ。
『メディアデザイン展(通称MD展)』とは、北海道情報大学 情報メディア学部 情報メディア学科を中心とした、卒業制作等の学生優秀作品を発表する展示会。平成20年よりスタート。今年で8年目を迎える。この展示の運営は、作品管理から広報、会場スタッフもすべて学生がおこなっている。
写真はその中の出品作品のひとつ、スマートフォン用の片手入力をしやすくする、ソフトウェアを入れたスマホが展示されていた。たしかに、思うのはいわゆるスマホ以前の携帯電話は「片手だけで、すべての操作ができる」という利点があった(電話を持つ手で、操作もおこなうこと)。
しかし、それはスマートフォンの出現でやりにくくなっている。本作品は、そこを考え直す作品。ある意味地味ではあるが、僕はとても大事だと思う。なぜなら「今」が「最良」だとは限らないということだ。先にも書いたがメディアの発達のスピードは速い。そして、僕たちはすぐ忘れてしまう。しかし、過去のメディアを思い出して、現在を考えるのも大事なのだ。本作品はその好例だと感じた。
こうした学生展示の良いところは、プロやビジネスよりの展示とは違う、学生の作品やコンセプトを通して、現在のメディアについて感じてることがわかることだと思う。学生は間違いなく現在のマルチメディアの主要ユーザーであり、そして本展示では同時にメディアを学んでいる学生。そんな2つの視点つくられたもの。そこには、現在のメディアを捉える、または先のメディアを考える機会となっている。その意味で定期的におこなわれる「メディアデザイン展」は貴重な展示だと思うのだ。
「北海道情報大学 メディアデザイン展2016」
会期:2017年 2月 21日(火) ~ 2月 26日(日)
会場:大丸藤井セントラル7Fスカイホール(南1西3)
Text by
アート・メディアライター 石 川 伸 一 (NUMERO DEUX)
「500m美術館vol.21 第5回500m美術館賞 風間天心/わにぶちみき」
会期:2017年1月28日(土)~3月29日(水)
会場:札幌大通地下ギャラリー 500m美術館(札幌市営地下鉄大通駅内)